星飛雄馬は、幼い頃から父・一徹により野球の英才教育を受けて育った。父が果たせなかった夢、巨人軍の明星となるために……。青雲高校に入学した飛雄馬は、親友・伴宙太とバッテリーを組豪速球投手として甲子園大会に出場する。ライバル花形満、左門豊作との死闘。そして夢かなって巨人軍に入団した後も、彼らとの戦いはプロ野球界に舞台を移して続いてゆく。飛雄馬は、魔球・大リーグボールを開発・駆使して、数々の試合にのぞむ。
■キャスト
星飛雄馬:古谷徹
星一徹:加藤精三
星明子:白石冬美
花形満:井上真樹夫
伴宙太:八奈見乗児
左門豊作:兼本新吾
■スタッフ
原作:梶原一騎(作)
川崎のぼる(画)
脚本:山崎忠昭
松岡清治
佐々木守
辻真先 他
構成:長浜忠夫
作画監督:楠部大吉郎
原画:竹内留吉
小林治
椛島義夫
森下圭介 他
美術監督:小山礼司(前期)
影山勇(中盤以降)
編集:井上和夫
音楽:渡辺岳夫
協力:読売巨人軍
雪の降る中、星一徹・飛雄馬親子が300球の投げ込みをしている。長嶋茂雄の巨人入団に湧き返る人々の中で、星親子は、投球練習をしていたが、貧乏人が長嶋のようなスターを目指すのか?無駄無駄とからかった酔っ払いに、飛雄馬は、父譲りの魔送球を投げる。
いじめっ子・赤川が、同級生二人をいじめているのを見た飛雄馬は、石を投げ退散させる。人前で野球の腕を見せては行けないと言う一徹に、飛雄馬は反発。一徹は、強力なバネで全身の自由を奪うギブス=大リーグボール養成ギブスを作り、飛雄馬に装着する。
甲子園の英雄、王貞治の練習を見ていた飛雄馬は、花形率いるブラックシャドーズとのグランドの取り合いに遭遇する。王の為、体を張ってグランドを守ってやろうとする飛雄馬。しかし、王は、争いを起こすべきではないとし、飛雄馬を見捨てて帰ってしまう…。
ドングリーズで外野を守る飛雄馬の所に、花形達が来て、飛雄馬をからかう。無視する飛雄馬に、花形は、面白い物を見せてやると言う。ベーブルースを真似た予告打ちで、三塁と一塁ベースが宙に舞う。その上、花形は、死のノック・アウト打法を見せてやると言う…。
腕相撲自慢の矢本は、剣山を置いて腕相撲をする。危険な剣山を飛ばした飛雄馬を生意気と言い、勝負を挑んで来るが、惨敗。学校帰り、小石を蹴って悔しがる。その小石は、看板に当たり、看板は止まっていた乳母車を下り坂に押し出し暴走してしまう!
飛雄馬のクラスに、ハワイスクールから恐ろしく足の速い渚ノリヒコという転校生がやって来る。何かと飛雄馬に反抗的な態度をとる渚の父は、かつてプロ球団イーグルスに籍を置き「殺人スチール」でプロ野球界を追われた渚走兵だった…。
銭湯帰りの飛雄馬は、車に轢かれかける。そして車から降りて来た人物は、突然、ボールを投げつけた。怒る飛雄馬に単なるテストと言って、車に乗るよう言う男は、一徹の仕事場である日高重工業の社長・日高進吾であった。
中学三年生になった飛雄馬は、高校進学か就職かの岐路に立たされる。一方、ライバルの花形満は、既に紅洋高校野球部で活躍していた。ランニング中の花形に出会ったから飛雄馬は甲子園で合おうと言われる。高校には行きたいが、一徹に言い出せない飛雄馬は…。
ある日、飛雄馬は坂道で苦労する荷車引きのおばさんを手伝いお駄賃として100円をもらう。後日、飛雄馬のクラスで先生の謝恩会の贈り物を買う事になり一人100円を集める事になった。飛雄馬は、貰った100円があったが無いから明日持って来ると嘘を言ってしまう…。
ある日、花形はスポーツカーで明子の勤めるガソリンスタンドに向かった。飛雄馬が、どこの高校に通うのかと聞くが、実は、未だ志望校を決めかねていたのだ。そんな飛雄馬に父・一徹は、青雲高校に通って、団体競技としての野球を学ぶよう言い渡す。
青雲のPTA会長・伴大造は「日雇人夫の子供など我が校に入れる訳にはいかない」と言い放つ。一方、飛雄馬が野球部の練習を見学していた時、足元にボールが転がって来た。ホームへ返球し、キャッチャーすら吹き飛ばす威力に応援団長・伴宙太が声をかける。
晴れて青雲高校に入学し、野球部に入った飛雄馬。野球部顧問の天野先生は、PTA会長の息子である宙太のいいなりである。お陰で新入部員は、全員グランド50周を命じられる。次々と倒れる新入部員にさえ、水を与える事を許可しない宙太に、怒った飛雄馬は!?
伴宙太は、青雲高校の英雄は、自分一人。飛雄馬など潰してやる気で、執拗なシゴキを続けるが、飛雄馬はそれに耐え抜く。その姿に影響された先輩達は、宙太の横暴さに不満を覚え始める。そんな中、宙太は飛雄馬にうさぎ跳びでのダイヤモンド一周を指示する。
野球は、もっと厳しく、かつ神聖な物だとして、伴の技術コーチ就任を反対する飛雄馬に、伴はピッチング対決を申し出る。伴の球を飛雄馬が受け、そして飛雄馬の球を伴が受ける。だが、危険を察したら逃げるだろうと投げられた飛雄馬の球は、なんと伴の体に…。
野球部に入った伴は、柔道部にはド根性を残して来たと言って、柔道部の対抗試合すら見ようとしない。惨敗という結果を聞いても今の自分は野球部の人間だと、取り合おうとしない。そんな中、飛雄馬は柔道部に呼び出され、伴を柔道部に返してくれと頼まれる。
花形のいる紅洋高校から、青雲野球部への対抗試合の申し入れがあった。燃える伴を飛雄馬が制する。青雲高校野球部で自分達は補欠に過ぎない。素直に謝る伴を見ながら、宿命のライバル花形と対戦出来ない悔しさは、飛雄馬も同じだった…。
八回裏、3対1で紅洋高校のリード。ワンアウト、ランナー一、二塁。ピッチャーは飛雄馬。対するは、宿命のライバル花形。捕手・伴の未熟さが露呈して、ピンチの連続の飛雄馬。その時、三塁ランナーが、ホームスチールを狙いリードが大きくなった!
青雲新聞部の野球部特集号で、学園中、飛雄馬の活躍に大騒ぎ。しかし、他の野球部員は面白くない。飛雄馬も気にしていたが、伴の家に招待され、御馳走を薦められて悪い気はしない。そんな飛雄馬に一徹は、他人からチヤホヤされるのは早過ぎると怒る!
長屋の裏で投球練習をする星親子。一徹が土管でやると言い出し、飛雄馬が軽く受ける。飛雄馬の全力投球は、三列に並ぶ土管の穴を見事に縫ってミットに収まる。それも1度や2度ではなく、何度も。そんな親子に紳士が近付いて来る…。
伴大造社長はご満悦だった。星飛雄馬という逸材が入部し、息子・宙太が、その相棒なのだ。おべっか使いの重役を引き連れ、大造は、青雲の練習試合の見学に向かうが、試合は青雲のピンチであった。大造は急遽、星・伴にバッテリーを交代させる。
遊園地で遊ぶ星親子。楽しげな一徹とは別に、飛雄馬は不満そうであった。父親が監督の野球部なんて、人が色目で見るに決まっている。そんな中、一徹に鬼の的当てを誘われた飛雄馬は、幼い頃、一徹に煙草のお使いを頼まれた時の事を思い出す…。
山寺の階段を何十往復。街中をうさぎ跳び。校内のゴミを埋める穴掘り、更にゴミ捨て作業をさせられ、ボールすら握らない一徹監督の練習に野球部員の不満が溜まる。飛雄馬も、自分や伴にならともかく、他の部員にとっては辛いだけだと主張するが…。
体育の授業でバスケをやる飛雄馬。転んだ生徒の代わりに、牧場という生徒が飛雄馬のチームに入る。運動音痴で役に立たない牧場を、ウンチ(運動音痴の略)と罵倒する飛雄馬。しかし、飛雄馬の強いパスを受け損ねた牧場は、その場に倒れ込んでしまった…。
ある日一徹は、レギュラーと補欠をチーム分けして紅白戦を行う。これには、小宮と飛雄馬のエースの座が賭かっており、皆、一徹が飛雄馬をエースにする為の馴れ合い試合だと考えた。しかし、一徹はレギュラーチームを指揮し、飛雄馬を打ち崩すと豪語する!
紅白試合、赤組・一徹のへそ作戦に連打を浴び、膝を落とす飛雄馬。自分を潰してでも、部員の人気が欲しいのか、と一徹への怒りに燃える飛雄馬。果たして一徹の真意とは何なのか!?その時、白組・天野監督がタイムをかけた!
甲子園出場を賭けた地区予選が始まった。ライバルの花形や左門は、連日、新聞を賑わせている。青雲高校の初戦の相手は、前年度の東京代表・帝都学園に決まった。名キャプテン桂木の率いる強豪校だ。果たして青雲高校は初戦を勝利で飾れるのか!?
地区予選の第2試合は、青雲高校の11対0大量リードでコールドゲーム目前だった。関東高校ワンアウトで、五番・増田の打順を迎えた。投手はもちろん飛雄馬。弟の二郎が声援を送る。伴からのサインは内角攻め。しかし、投球の瞬間、突風が吹いてしまい…。
飛雄馬の活躍は、連日、新聞誌上を騒がしている。天才と評した新聞紙に、努力の結果だと言う一徹。明子は、地区予選準決勝、強豪旭高校戦を見るべく、球場を訪れる。そこで明子が座った席の隣には、旭高校応援団のような老人が座っていた…。
地区予選決勝の朝が来た。しかし、伴大造主催の祝勝会で食べ過ぎた野球部員達は、飛雄馬と宙太以外の全員が下痢で倒れる。部員の手前、元気に笑い飛ばしていた上杉先生だったが、天野先生と二人っきりになると、大会本部に出場停止を申し入れるよう薦める…。
甲子園大会まで、後10日。野球部は、一週間の予定で伊豆南禅寺に強化合宿へ来ていた。初日のグランド整備が終わり、風呂焚きをしていると、薪運びをしていた光田が消え、しばらくしてボロボロに傷付いて倒れていた…。
練習を終えた部員が戻ると、合宿所では、洗濯、風呂の用意、食事の用意までしてあった。一体、誰が?と訝る部員達は、突然、笛で玄関に呼ばれる。見知らぬ眼鏡の男が立っており、スパイクを片付けろと言うと、勝手に中に入って行く。この男は何者なのか!?
甲子園大会出場校も残すは、福岡、神奈川、北海道の各代表を残すのみ。天野監督は、神奈川県大会の決勝を、飛雄馬と伴の二人に偵察に向かわせる。一方、花形は、翌日の決勝での飛雄馬との対決に心躍らせている。そんな花形に、一本の電話が入った!
合宿を終え戻って来た野球部。翌日は、甲子園に出発する。打合せを終え、帰宅する部員達。青木は、母親が迎えに来ていた。二人の会話を聞き、飛雄馬は母を想う。苦労した母にとって野球とは、憎むべき存在のはず。自分は、母親を裏切っていると葛藤に悩む…。
遂に甲子園の土を踏む飛雄馬。だが、キャプテン小宮のくじ運悪く、一回戦の相手は前年度優勝校で愛知県代表・三河高校である。だが、青雲ナインは、落ち込んでなどいない。例え優勝校だろうと、最初から花形や左門と当たるよりはありがたいと飛雄馬も思った。
甲子園大会第一日目第三試合、青雲高校対三河高校戦。魔球(ドロップ)太刀川対豪速球・星の対決。前年度優勝校の名誉に賭けて負けられない太刀川。ライバル・花形の見守る中、こちらも負けられない飛雄馬。果たして軍配はどちらに上がるのか!?
第二戦を前に、仙場が雨天練習場に体育館を借りた虹ヶ丘高校は、元女子高で男子が10人に1人という、圧倒的に女子が多い高校だ。青雲の2倍はあろうという巨大な体育館では、甲子園を湧かせる豪速球投手を一目見ようと、多くの女生徒が集まっていた。
ある日、漫画家志望の同級生・牧場が訪ねてきた。宿舎に着いた牧場は、洗濯したユニフォームを干す旅館を見てスケッチを始める。しかし、そのユニフォームは次の対戦相手・熊本農林の物だった。牧場の行動を怪しんだ熊本農林は、牧場をスパイとして捕まえる。
甲子園大会準決勝、青雲高校対熊本農林高校の二回表、飛雄馬と左門、注目の初顔合わせ。しかし、突如として飛雄馬のコントロールが乱れ始める。その原因は、昨夜、牧場より聞いた左門の壮絶な生い立ちにあったのだった…。
甲子園大会決勝の朝、宿舎の雨戸を開け、飛雄馬が顔を出した。準決勝、左門の折れたバットを叩き落し、左手親指の爪を割ってしまった飛雄馬は、一日でも二日でも試合が延びて欲しいと思っている。雨天中止が決定した時、飛雄馬は、コッソリ宿を抜け出して…。
昨日の雨が嘘の様に晴れ渡った甲子園球場。紅洋VS青雲の決勝戦の日を迎えた。球場には、巨人軍の藤田投手コーチ、荒川打撃コーチも観戦に訪れている。怪我の完治しないまま登板を向かえる飛雄馬の投球練習を見て、牧場は、飛雄馬に異変がある事を悟る。
甲子園大会決勝戦は、花形のサヨナラホームランで紅洋高校が優勝した。花形は、飛雄馬に勝った記念として、ホームランボールを、観客に頼んで譲り受けるが、そのボールは血で染められていた。それを見た花形は全てを悟り、飛雄馬のもとへ駆け寄る…。
青雲高校の会議室にて、伴大造は怒っていた。伴自動車工業なくして青雲高校はありえないと豪語し、その青雲が商売敵・花形モータースの息子の率いる紅洋高校に負けた事は、自分に恥をかかせたも同然と怒り狂い、なんと、野球部の解散を言い渡すのだった!
青雲元野球部員に集合がかかる。伴と目を合わせない飛雄馬。教頭が来て、昨夜、伴大造が、自宅前で暴漢に襲われたと語り、野球部解散を恨んだ野球部員の誰かが犯人だと決めつける。グランドに飛雄馬を連れ出した宙太は「親友の俺に、何か言う事は無いのか?」と飛雄馬に問う。
飛雄馬は、伴大造が襲われた日、野球部の解散を怒り、一徹になだめられた長屋の人達の中に、昔、隼の源と呼ばれ、元ヤクザだが正義感が強く、それ故、堅気に戻った大工の源がいたのが気になった。夜、源の部屋を覗くとドスを持ち、外出するのが見えた…。
友人・牧場の身代わりに、退学届を提出した飛雄馬。天野の口から、飛雄馬退学を知らされ、やはり犯人は飛雄馬だったかと納得する部員達。飛雄馬を、罪を認めず黙って逃げ出した卑怯者と思った宙太は不機嫌だ。そんな宙太を牧場が呼び出す。
マスコミが殺到する花形邸。記者の取材攻勢の中、花形は、甲子園には、もっと素晴らしい金の卵が隠れていると発言。その選手の名は星飛雄馬。しかし、記者達は一斉に笑い出してしまう。怪我の事を口止めされている花形は、何とか飛雄馬を援護するが…。
早朝の高速道路で始まったカーチェイスは、のんびりとした長屋の朝に乱入して止まった。東都スポーツ五段抜き大見出しに載った、甲子園での飛雄馬の負傷を知り、各球団の飛雄馬への評価が変り、スカウトが押しかけてきたのだった。
巨人軍入団テストの朝、準備を始める飛雄馬に、巨人軍は、身嗜みにも厳しいと言い、綺麗に洗濯されたユニフォームを差し出す明子。そして、一徹は、1足のズック製の古臭いスパイクを飛雄馬に渡す。それは一徹の思い出のスパイクであった…。
巨人軍の入団テストには、若年から老年まで、太ったのから痩せたのまで、単なる野球好きの集まりである。だが、飛雄馬は、父・一徹のスパイクを見て、初心を取り戻し、気を引き締める。すると、人込みの中に見知った顔を見つけた。それは、伴宙太であった。
巨人軍新人テストにおいて、第二次審査を通過したのは、47番(星)、48番(伴)、52番(速水)の三人だけだ。第三次審査は打撃テスト。9球のストライクの内、三安打が合格ラインだ。投手志望の飛雄馬は、打撃は得意ではない。緊張する飛雄馬は…。
実力を見せつける堀内。振り遅れファールになった飛雄馬の打球を、正確に堀内に打ち返した者がいる。花形であった。あまりに派手な花形の登場に、益々、甲子園球児へのライバル心を燃やす堀内が投球に入った時、花形がある言葉を叫んだ!
玩具代わりにボールを握らされた頃よりの夢、巨人入団を果たした飛雄馬。押し寄せる記者団に気付いた飛雄馬と伴は、タクシーで逃げ出した。生まれ育ち、貧しくとも夢見て育った町。そんな長屋に到着すると、みんなが出迎え、口々におめでとうと言う。
飛雄馬の巨人軍入団が新聞を賑わせ、高校野球選抜チームのハワイ遠征に、青雲の伴宙太が選ばれる。天野先生は、これを機会に野球部復活を提案。だが、PTA会長・伴大造は、宙太の巨人入りを聞き激怒!宙太と野球の縁を切らせようとするが…。
伴が参加する、高校野球選抜チームのハワイ遠征は、大成功。第一戦では13対4の大差で勝ちを治めた。新聞でも報道され、飛雄馬のやる気を刺激する。飛雄馬が巨人の二軍の練習に初参加するその日、父・一徹は、珍しくタクシーを用意し、合宿所まで送ると言う。
合宿2日目の朝を迎えた飛雄馬は、同室の大内山と挨拶をし、合宿所が、起床や就寝時間の設定、外出の自由など他球団に比べて緩やかである事を聞く。だが大内山は、自由だからとノンビリするような者は、王者・巨人軍の練習に参加する資格はないと忠告する…。
ONを完封にも関わらず一軍昇格のない飛雄馬。夢にまで見た一軍は、投手陣が火の車だというのに、飛雄馬には声すらかからない。一方、スライディング練習で速水は誉められている。一歩リードを確信した速水は、悩む飛雄馬を更なる孤立に追い込んで行く。
巨人の優勝が懸かった大洋戦は、大洋の新人・倉木の健闘が光り、九回まで大洋リード。倉木はプロ入り後二年間の二軍生活の上での、今回の登板であった。飛雄馬は、いつの間にか倉木と自分を重ね、敵であるはずの倉木を応援していた…。
倒れても倒れても立ち上がり、千本ノックを受ける飛雄馬の姿に、先輩・大内山は、退団を決意する。入団して二年、自分は、この世界に向いていないと夜中に出て行こうとする大内山。止めようとする飛雄馬に大内山は、自分の昔話を始める…。
今日も飛雄馬は、多摩川グラウンドでシゴかれている。また、ライバル意識が強い速水の策略で、飛雄馬は、常にボロボロだ。だが、そんな飛雄馬を出迎える者があった。ハワイ遠征より戻った伴宙太だ。久しぶりの再会に、二人は友情を確かめ合う。
飛雄馬の部屋へ、突然、速水が荷物を持って来た。大内山の後釜として、速水が飛雄馬と同室になったのだ。甲子園の英雄には、ご不満でしょうがと言う速水に、冗談は止めろと言う飛雄馬。だが速水は、キッパリと嫌味だと言い切り、改めて宣戦布告をして来た!
速水は、その自慢の足でオープン戦で大活躍。TV、新聞共にオリンピックボーイの活躍を褒め称える。落球の告白を後悔する飛雄馬。人間としての正しさは、勝負の世界では通用しない甘っちょろさなのか…。一徹には、飛雄馬の焦りが手に取る様に判った…。
阪神の入団発表記者会見で、花形は、打倒・巨人の意気込みを聞かれ、あくまで甲子園の借りを返すと宣言。期待のルーキーと二軍選手では、格が違うと言う記者に、冬の青麦の様に、踏まれれば踏まれるほど強くたくましくなるのが飛雄馬の恐さだと花形は語る。
東映戦で完封勝利を飾った飛雄馬だったが、速水は早くもマンションへの引越しを宣言。一軍風を吹かしている。ライバル花形、左門を思い、飛雄馬は、部屋を飛び出し練習に向かう。そんな飛雄馬を見て、速水も一軍入りに胡座をかいてていいのか?と不安になる。