天啓15年、金帳王庭(きんちょうおうてい)の単于が急逝し、唐(とう)国から嫁いだ李漁(り・ぎょ)が殉葬されることに。彼女は逃走を試みるが、計画はあえなく露見し、すぐに追っ手が差し向けられた。追っ手の男たちは矢を射かけながら近づき、李漁の乗る馬車を包囲。万事休すかと思われたその時、呂清臣(りょ・せいしん)が放った匕首が生き物のように宙を舞い、追っ手の者たちは皆、一瞬のうちに地に伏した。うっすらと安堵の笑みを浮かべた李漁は「急いで渭(い)城へ向かうわよ」と命じるのだった。同じ頃、“柴刈り”を終えた寧缺(ねい・けつ)は、ただ1人、渭城へと帰還を果たし…。
■キャスト
チェン・フェイユー(陳飛宇)
ソン・イーレン(宋伊人)
ユエン・ビンイエン(袁冰妍)
モン・ズーイー(孟子義)
フー・ジュン(胡軍)
トン・ヤオ(童瑤)
ジン・シージエ(金士杰)
クリス・スン(孫祖君)
アダム・チェン(鄭少秋)
シー・シー(施詩)
ディラン・クォ(郭品超)
アンディ・オン(安誌杰)
ヤオ・アンリエン(姚安濂)
レイ・チーホン(李子雄)
レオン・ライ(黎明)
■スタッフ
監督・脚本:ヤン・ヤン(楊陽)
原作:マオニー(猫膩)
脚本:シュー・ルン(徐閏)
金色文学工作室
撮影監督:ホァン・イーチン(黄一欽)
編集:ツァオ・ウェイジエ(曹偉杰)
美術監督:イー・ジェンジョウ(易振洲)
特殊撮影監督:ヤン・ジー(楊志)
チャオ・フォン(喬峰)
アクション監督:ムー・ニン(穆寧)
スタイリスト:ホァン・ウェイ(黄薇)
天啓15年、金帳王庭(きんちょうおうてい)の単于(ぜんう)が急逝し、唐(とう)国から嫁いだ李漁(り・ぎょ)が殉葬されることに。彼女は密かに逃走を試みるが、計画はあえなく露見してしまう。差し向けられた追っ手に馬車を包囲され、万事休すかと思われたその時、何者かが放った短刀が生き物のように宙を舞い…。
渭(い)城の馬(ば)李将軍は、渋る李漁(り・ぎょ)を説得し、彼女を都まで護送する案内役に寧缺(ねい・けつ)を据えた。一方、李漁が金帳王庭(きんちょうおうてい)を脱出したことを知った唐(とう)国の夏候(か・こう)大将軍は、妹・夏天(か・てん)の身を案じ「李漁はお前の命を狙うぞ」と忠告し…。
「命の恩人でも、あなたのことは大嫌いよ」と言い放った李漁(り・ぎょ)だったが、寧缺(ねい・けつ)への態度には、それまでのとげとげしさが消えていた。2人は焚火を見つめながら、夜が更けるのも構わずに互いの境遇を語り合うのだった。そんななか、唐(とう)の都では夏候(かこう)が謀反の疑いで捕縛され…。
新たに清運司の長となった張貽琦(ちょう・いき)は、街の住人たちに立ち退きを命じた。しかし、そこは魚龍幇幇主・朝小樹(ちょう・しょうしゅ)の縄張り。底知れぬ実力を持った剣客と噂される彼が、おめおめと引き下がるはずもなかった。同じ頃、都に辿りついた寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)は…。
「そなたを嫁がせたことを悔いておる」――唐(とう)国の君主・李仲易(り・ちゅうえき)は、娘の李漁(り・ぎょ)に告げた。それを聞き、涙する李漁。やがて、口を開いた彼女は、夏候(かこう)の解放を要求するのだった。一方、貸家で商売を始めた寧缺(ねい・けつ)のもとに、朝小樹(ちょう・しょうしゅ)が…。
弟分の卓爾(たくじ)を殺したのは、張貽琦(ちょう・いき)の手下だった。報告を受けた朝小樹(ちょう・しょうしゅ)は、張貽琦を討ち、卓爾の仇を取ることを誓うのだった。一方、寧缺(ねい・けつ)も、15年前に起きたとある事件がきっかけで張貽琦を追っていた。明日、とどめを刺す――そう決意した寧缺だったが…。
雷鳴轟く土砂降りのなか、群がる敵をたった2人で斬り伏せた朝小樹(ちょう・しょうしゅ)と寧缺(ねい・けつ)。家路を辿る足下もおぼつかないほど疲労困憊の彼らの前に、王景略(おう・けいりゃく)が現れた。矢を射かける寧缺だったが、技量の差は歴然。2人が死を覚悟したその時、思いもよらぬ助っ人が…。
魚龍幇は、唐(とう)国の君主たる李仲易(り・ちゅうえき)が、街の情報を集めるために作らせた組織なのだという。その言葉に、朝堂に集まった重臣たちは驚きの声を上げ、顔色を失うのだった。一方、王宮へと出向いた寧缺(ねい・けつ)は、秘密の任務を遂行する侍衛――暗侍衛として登用されることに…。
いよいよ書院の試験当日となった。第六王子が急病となり、王宮に留まることになった李仲易(り・ちゅうえき)の代理として、李漁(り・ぎょ)が試験に立ち会っている。しかし、その裏で不穏な計画が進行していた。当初は李仲易を書院で暗殺する予定だった刺客たちは、急遽、その標的を李漁へと変更し…。
配下の苦労をねぎらい、酒を振る舞う崇明(すうめい)。しかし、杯に口をつけた男たちは苦しみだし、やがて息絶えた。復国会の情報が洩れることを恐れた崇明が、手下を皆殺しにしたのだ。一方、「完全に落ちた」と諦め顔の寧缺(ねい・けつ)が、一縷の望みをかけて試験結果を確認しに行ってみると…。
余帘(よ・れん)教官から旧書楼の決まりについて説明を受ける寧缺(ねい・けつ)たち。彼女によると、旧書楼の2階に収められている書物は、読むことはできても記憶することができないばかりか、修行の経験がない者が学ぼうとすると大変なことになるのだという。書院の学生たちが手近にあった書物をめくってみると…。
寧缺(ねい・けつ)は、林光遠(りん・こうえん)将軍を陥れた仇の1人である陳子賢(ちん・しけん)と対峙していた。刀を手に襲い来る陳子賢に、寧缺の手にした剣が突き立つ。すると彼はその剣を握り、自らの体を刺し貫くのだった。黒幕の名前を吐けと迫る寧缺だったが、陳子賢は「冥王の子だ」とだけ告げ…。
幽閉中の衛光明(えい・こうめい)に弟子入りを直訴した隆慶(りゅうけい)。しかし、衛光明は「己の欲にとらわれる者に大任は負えぬ」と、はねつけるのだった。同じ頃、寧缺(ねい・けつ)は紅袖招の簡(かん)女将から日頃の行いを諌められていた。すると不意に彼女は、かつて書院の弟子だったある人物のことを語り始め…。
顔粛清(がん・しゅくけい)が待ち受ける臨湖小築に足を踏み入れた寧缺(ねい・けつ)。広々とした茶館に、2人の他、何者の姿もない。寧缺に問われた顔粛清は、林(りん)将軍の一件を処理したのは唐(とう)王の弟・李沛言(り・はいげん)だと明かすが、すぐさま飛刀を放ち襲いかかってくる。大念師・顔粛清の実力は凄まじく…。
顔粛清(がん・しゅくけい)との死闘、そして朱雀の出現によって深手を負っていた寧缺(ねい・けつ)は、陳皮皮(ちん・ひひ)が与えてくれた秘薬・通天丸のおかげで一命を取り留めたのだった。同じ頃、陸晨迦(りく・しんか)は、唐(とう)国へと旅立つ隆慶(りゅうけい)との別れを惜しんでいた。そこへ葉紅魚(よう・こうぎょ)が現れ…。
柳白(りゅう・はく)の弟子と名乗った男は、自分が西陵(せいりょう)の裁決司だと明かした。斬りかかろうにも、朝小樹(ちょう・しょうしゅ)の剣は男の手にある。勝ち目がないと悟った彼は、断崖から湖へと身を躍らせたのだった。一方、唐(とう)国の宮殿では、第六王子・李琥珀(り・こはく)が毒に侵され、騒動に…。
自身への暗殺を企てた報復として、夏侯(か・こう)は燕(えん)国の軍営を襲撃させた。配下の林零(りん・れい)は、夏侯の独断を唐(とう)王・李仲易(り・ちゅうえき)がどう思うか案じるのだった。一方、当の李仲易は、御書房に侵入し、“彼方で咲き誇る花”と書き残した何者かの捜索に血道をあげていた…。
「どうか漁児(ぎょじ)と第三王子を許してやってください」――唐(とう)王夫妻に直談判する李沛言(り・はいげん)。彼は渋る兄に対し、琿圓(こんえん)に軍の調練を受けさせて鍛え直してはと、重ねて提案するのだった。一方、二層楼の試験が目前に迫るなか、やる気のない寧缺(ねい・けつ)に業を煮やした陳皮皮(ちん・ひひ)は…。
華山岳(か・さんがく)に挑まれた酒の飲み比べに勝利した隆慶(りゅうけい)は、丁寧な口調ながらも唐(とう)国の者を見下したような発言を繰り返した。そして、桑桑(そうそう)に目を止めた彼は、侍女を譲るよう寧缺(ねい・けつ)に迫るのだった。「桑桑を渡す気はない」と答える寧缺。2人の舌戦は次第に熱を帯び…。
「受けてみたいんです、二層楼の試験を」。そう告げた寧缺(ねい・けつ)は、余帘(よ・れん)に指導を請う。その決意が生半可なものではないと見てとった余帘は、「そこまで覚悟があるなら挑戦しなさい」と、寧缺の背中を押すのだった。今年の試験は、夫子(ふうし)自らが考案したという。しかし、その試験の内容は一見風変わりなもので…。
符道の才能をも秘めた書の天才――その正体が寧缺(ねい・けつ)だと確信した顔瑟(がん・しつ)は、何としても彼を自分の弟子にしようと動き出す。一方、当の寧缺は書院の試験の真っ最中だった。“洞玄上境”に至っていなければ突破できないという柴門を前に苦戦する寧缺。手の打ちようのないまま、時は刻々と流れ…。
夫子(ふうし)の13番目の直弟子は寧缺(ねい・けつ)と決まった。しかし、彼を弟子として迎えたい顔瑟(がん・しつ)は、二層楼に上がるべきは隆慶(りゅうけい)だと屁理屈をこねて、周囲の人々を困らせるのだった。すると、唐王の弟・李沛言(り・はいげん)親王も、隆慶を直弟子に、寧缺を顔瑟の弟子にすべきだと主張し…。
「真の屈辱です」――寧缺(ねい・けつ)に敗れ、唐(とう)国を離れる隆慶(りゅうけい)を見送る者はいなかった。彼は、必ずや唐の都をこの手で滅ぼしてやると誓うのだった。そんななか、寧缺(ねい・けつ)が行方不明に。街中を探しても手掛かりが得られず、困った桑桑(そうそう)は李漁(り・ぎょ)に助けを求め…。
親王・李沛言(り・はいげん)、大将軍・夏侯(か・こう)、そして西陵(せいりょう)が寧缺(ねい・けつ)を狙っている。そう語った陳皮皮(ちん・ひひ)は、自分と兄弟子たちが必ず守ってやると、寧缺に約束した。新入りの寧缺を連れて、師兄と師姉たちへの挨拶回りをする陳皮皮。夫子(ふうし)の直弟子たちは、いずれも一風変わった人物ばかりで…。
天地の気を感じ取り、その痕跡を筆でなぞるのだ――神符師となるべく本格的な修行を始めた寧缺(ねい・けつ)だったが、なかなか顔瑟(がん・しつ)の教えの要点をつかむことができずにいた。一方、唐(とう)国の人質となっていた崇明(すうめい)は燕(えん)国に戻り、父である燕王と15年ぶりの対面を果たすが…。
幽閣に衛光明(えい・こうめい)を訪ねた隆慶(りゅうけい)は、昊天がなぜ“光の子”と称される自分ではなく、寧缺(ねい・けつ)を選んだのかと問うた。「“永夜”への恐れに負けたのだ」と衛光明。続けて「立つべき時が来た」とつぶやいた彼は、掌教が巡らせた陣を破り、長年閉じ込められてきた幽閣から脱獄し…。
浩然剣の修行を始めた寧缺(ねい・けつ)だったが、成果は芳しくなかった。顔瑟(がん・しつ)のもとで学んでいる符道のほうも、糸口をつかめずに行き詰まっている。後山の師兄師姉たちは、何とか寧缺の力になってやれないものか、それぞれに思いを巡らせるのだった。そんななか、寧缺は自分に合った武器を作ろうと思いつき…。
人生初の符を書くことに成功した寧缺(ねい・けつ)。この事実は、すぐさま多くの修行者たちの知るところとなる。あらゆる達人たちの名が記される「日字巻天書」に、寧缺の名前もまた刻まれたからだ。彼が強大な敵となる前に始末すべきだと考えた西陵(せいりょう)の掌教は、隆慶(りゅうけい)に寧缺殺害を命じ…。
紅袖招を訪れた寧缺(ねい・けつ)は、簡(かん)女将に「二層楼に上がったからには、修行以外の事にうつつを抜かしては駄目」と釘を刺されてしまう。そして、女将が“古い知人”と呼ぶ柯浩然(か・こうぜん)の話を聞き、彼の人となりに興味を抱くのだった。一方、「明字巻天書」奪還の使命を帯びた隆慶(りゅうけい)は…。
寧缺(ねい・けつ)と桑桑(そうそう)は公主府に招かれた。荒原行きを断ってほしいという気持ちをにじませる李漁(り・ぎょ)。しかし、隊長として実習に参加することをかけがえのない機会だと考えている寧缺は、自分の決意は誰にも変えられないことを示し、留守にする間、桑桑を気遣ってくれるよう李漁に頼むのだった…。
「必ずや生きて戻れ」。曹知風(そう・ちふう)教官の言葉を胸に、寧缺(ねい・けつ)をはじめとする書院の弟子たちは荒原へと旅立った。同じ頃、顔瑟(がん・しつ)は、ある男の“気”を感じ取る。「朱雀が動いた。奴が現れたようだ」――顔瑟の驚神陣をものともせず、衛光明(えい・こうめい)が唐(とう)の都に姿を現したのだ…。
琿圓(こんえん)を王座に据える方法がある――何明池(か・めいち)は、そう言って李漁(り・ぎょ)に近づいた。王后・夏天(か・てん)が荒原の出身であると暴き、彼女の子である第六王子の即位を阻もうというのだ。何明池のしたたかさに興味を引かれた李漁は、その計画を遂行するよう命じ…。
寧缺(ねい・けつ)を始末せよという掌教からの伝言を聞き、夏侯(か・こう)は、「私は西陵(せいりょう)の犬ではない」とはねつけた。しかし、使者である程立雪(てい・りつせつ)は顔色ひとつ変えずにいなすと、不思議な話を始める。20年前に死んだ夏侯の師匠・蓮生(れんせい)が、魔宗の里で生き延びているというのだ…。
「これを書いた十三先生を尊敬しているわ」――「鶏の汁物」の書に心酔する莫山山(ばく・さんさん)の言葉を聞き、寧缺(ねい・けつ)は身分を偽ったことを後悔し始めていた。一方、唐(とう)の王宮内では、密かに夏天(か・てん)のもとを訪れた魔宗の長老・老三(ろうさん)の存在が、波乱を巻き起こしつつあった…。
琿圓(こんえん)を国王にするか、夏天(か・てん)を抹殺するか――何明池(か・めいち)に迫られ、李漁(り・ぎょ)は王后を討ち取るよう指令を下す。同じ頃、封鎖された御書房には、老三(ろうさん)と唐(とう)王・李仲易(り・ちゅうえき)、そして夏天がいた。老三は小六子(しょうりくし)に王座を譲るよう唐王に要求し…。
どうやら2人とも「明字巻天書」を捜しているらしい。そう気づいた寧缺(ねい・けつ)と莫山山(ばく・さんさん)は手を組むことに。一方、衛光明(えい・こうめい)の弟子となった桑桑(そうそう)は、早くも才能を開花させる。衛光明は言う。「お前は光の子で 光明殿の新たな主人――未来の大神官なのだ」と…。
魔宗の里を目指す寧缺(ねい・けつ)と莫山山(ばく・さんさん)の前に、隆慶(りゅうけい)が現れた。賭けをしようと持ちかけた隆慶は、城を3つ差し出すかわりに、桑桑(そうそう)を寄こせと言う。加えて、敗者は己の気海雪山を破壊し、それが寧缺だった場合は書院を、隆慶ならば西陵(せいりょう)を去ることが条件に…。
葉紅魚(よう・こうぎょ)が放った無数の氷の刃が、寧缺(ねい・けつ)と莫山山(ばく・さんさん)を襲う。その激しい攻撃から2人を救ったのは、あの不思議な傘だった。防戦一方の寧缺の体から滴り落ちた血が、余帘(よ・れん)に手渡された指輪に落ちる。すると大地が鳴動し、見る間に大明湖の水が引き始め…。
蓮生(れんせい)に挑む寧缺(ねい・けつ)。だが、力の差は歴然としていた。助太刀に入った葉紅魚(よう・こうぎょ)が奇策を弄して蓮生の気勢を削ぎ、莫山山(ばく・さんさん)も塊塁大陣で応戦するが、敗色は濃厚だった。薄れゆく意識のなか、壁に刻まれた紋章に目を止めた寧缺は、あることに気がつき…。
遂に対峙した衛光明(えい・こうめい)と顔瑟(がん・しつ)。碁盤を挟み、飄々とした風情で言葉を交わす2人だったが、ふとしたことがきっかけで互いの強大な“気”がぶつかり合う事態に。だが、それも一瞬のこと――やがて、食事を終えた顔瑟は穏やかな口調でこう告げた。「明日、決着をつけよう」と…。
満天の星空の下で対峙した衛光明(えい・こうめい)と顔瑟(がん・しつ)は、森羅万象の真理を理解するに至った。穏やかな表情で歩み寄り、手を重ねる2人。するとその体は光を放ち、天空へと消えていった。一方、魔宗の里の出口を探していた寧缺(ねい・けつ)たちの前に、魔宗の聖女・唐小棠(とう・しょうとう)が立ちはだかり…。
仇敵・夏侯(か・こう)に打ち勝つ方法を尋ねた寧缺(ねい・けつ)。しかし李慢慢(り・まんまん)はその問いには答えず、夏侯の居城である土陽(どよう)城に乗り込むことを勝手に決めてしまうのだった。同じ頃、陸晨迦(りく・しんか)は、自暴自棄となり雪原をさまよう隆慶(りゅうけい)に追いすがり、懸命に力づけようとしていた…。
夏侯(か・こう)は“知命”に迫る実力を持っている。その事実に慄然とする寧缺(ねい・けつ)。李慢慢(り・まんまん)は、修練を積めば5年後には勝てるだろうと励ますが、寧缺の焦りが消えるはずもなかった。そんななか、許世(きょ・せい)将軍のもとに、寧缺が張貽琦(ちょう・いき)らを殺した下手人であるとの密書が届き…。
林零(りん・れい)が寧缺(ねい・けつ)に討たれたとの知らせを受け、裁決大神官は怒りをたぎらせていた。隆慶(りゅうけい)に続き、西陵(せいりょう)の密使であった林零までも敗れたのだ。裁決大神官は寧缺を罪人に仕立て上げ、唐(とう)国と夫子の名誉をも地に落とそうと画策するのだった…。
桑桑(そうそう)の足に桑の葉の形をした“あざ”があるのを見て、曽静(そう・せい)の妻は、彼女こそが生き別れとなった自分の娘であると確信した。桑桑との同居を望む曽夫妻に対し、彼女は「私が家を守ると、若君に約束したの」と言い、老筆斎を離れようとしない。そんななか、寧缺(ねい・けつ)が唐(とう)の都に帰還し…。
後山へ戻り、師兄師姉にあいさつ回りをする寧缺(ねい・けつ)。そのなかで彼は、新しい刀と莫山山(ばく・さんさん)への贈り物を作ってほしいと依頼するのだった。然る後、山山に唐(とう)の都を案内していた寧缺は、見知らぬ僧に声をかけられる。山山によるとその男は、爛柯(らんか)寺の高僧・観海(かんかい)だというのだが…。
莫山山(ばく・さんさん)にはかなわない――寧缺(ねい・けつ)を彼女に委ねて身を引く決意を固めた桑桑(そうそう)は、こっそりと老筆斎を後にする。そして、山山のもとを訪れ、「若君のお嫁さんになってください」と告げるのだった。一方、遅まきながら桑桑の家出に気づいた寧缺は、彼女の捜索を斉四(さいし)に頼み…。
寧缺(ねい・けつ)にふさわしいのは、莫山山(ばく・さんさん)か桑桑(そうそう)か。後山では議論が白熱し、李慢慢(り・まんまん)と君陌(くんはく)が一触即発の事態に。しかし、当の寧缺自身、どちらを妻として選ぶべきか決めきれずにいた。そんな彼は、陳皮皮(ちん・ひひ)に、とある質問を投げかけ…。
「これが私の定めなのね」――莫山山(ばく・さんさん)は、寧缺(ねい・けつ)との思い出に浸りながらも、彼との別れが現実なのだと、強く感じてもいた。一方、曲妮(きょくじ)大師は、月輪(げつりん)国へと戻った道石(どうせき)の亡骸と対面し、「死をもって償わせてやるぞ」と、寧缺への復讐を誓うのだった…。
夫子(ふうし)の張った結界により、寧缺(ねい・けつ)は思過崖に閉じ込められてしまった。そこは洞窟のようになっており、寧缺が悟りを開いて結界を破らない限り、出てくることはできないのだという。その知らせを聞いた西陵(せいりょう)の裁決大神官は、あまりに厳しい処置に不信感を抱き、夫子の真意を探るよう命じるが…。