-
第1話 『 』(シル)
異常事態(イレギュラー)が幾重にも折り重なった、ダンジョン下層、そして深層の死闘の数々――そこから無事生還を果たしたベル・クラネルと【ヘスティア・ファミリア】の面々。仲間の昇格(ランクアップ)や、ダンジョン深層で急速に距離が縮まったリューとベルの甘酸っぱい関係性など、多少の変化はあったものの彼らも、迷宮都市もすっかり日常を取り戻していた――そこに、ただひとり、日常を脱却し、変化を望む街娘がいることなど知る由もなく……
-
第2話 調教(マスター)
シルからの恋文で女神祭デートに誘われたベル。常日頃とは異なる雰囲気に戸惑っていたところを【フレイヤ・ファミリア】の幹部、ヘディン・セルランドに拉致されてしまう。ヘディンの目的は『シルを喜ばせる』ために、ベルの対女性能力(モテ力)を引き上げること……訳が分からないまま、ベルは過酷な特訓へと引き込まれてしまう。一方、豊穣の女主人では、シルとベルのデートが気になって仕方ないリューが、己の取るべき行動に葛藤していた……。
-
第3話 伴侶(オーズ)
女神祭当日――そしてシルとのデート本番。「私を……さらってください」――その一言でふたりのデートは逃走劇に一転する。ふたりを追うのはヘスティア、アイズ、豊穣の女主人の店員……そしてどういう訳か【フレイヤ・ファミリア】の眷族たち。なんとか追手の追跡を逃れ、ベルとシルは『聖フルランド大精堂』に辿り着く。そこは古代の英雄譚『水と光のフルランド』縁(ゆかり)の場所。英雄と精霊の悲恋の物語が紡がれた地で、ふたりはデートを再開する。
-
第4話 神と娘(セイズ)
【フレイヤ・ファミリア】の激しい追撃をかいくぐり、なんとか逃げおおせたベルとシル。すっかり日が暮れ、更には逃走劇の際に運河に飛び込んだため、ずぶ濡れ……。そんな状況でシルがベルを引き入れたのはベッドがひとつしかない宿屋だった。シャワーを浴び、乾いた衣服に着替え……問答、駆け引き、葛藤、迷い――そして……。様々なものが交錯し、ふたりの距離は常に揺れ動く。だが、夜はまだ始まったばかり。夜明けは、まだまだ遠い……。
-
第5話 侵略(フレイヤ・ファミリア)
街娘から向けられた好意に、ベルは正面から向き合い……そして拒んだ。自身の憧憬から目を背けることはできないからと。――それがすべての始まりとなった。女神は神意を固め、なりふり構わずベルを『獲り』にいくことを告げる……迷宮都市(オラリオ)最強の【フレイヤ・ファミリア】の眷族たちに。迷宮都市全土を巻き込んだ『愛』の暴走が、ここに始まる――。
-
第6話 歪曲都市(オラリオ)
迷宮都市は『捻じ曲げられた』――他ならぬ女神フレイヤの魅了の権能によって。都市の人々は【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルを忘れ、覚えているのは【フレイヤ・ファミリア】のベル・クラネルのことだけ。以前の記憶を残しているのはベルとフレイヤ、彼女の幹部たち、そして都市の創設神・ウラノスと……フレイヤとの約定により真実を言い出せないヘスティアのみ。フレイヤの目的はベルの精神的な籠絡――女神の目論見は完遂に向け進んでいく。
-
第7話 別離(ロンリネス)
【フレイヤ・ファミリア】の眷族としての過酷な鍛錬と、優しき美の女神からの寵愛の日々――そんな日常に次第に馴染みつつあるベル。だが、ベル以外の『世界が捻じ曲がる』以前の記憶のある者たちは現状を黙って見過ごしているわけではなかった。ヘスティアはフレイヤの魅了の権能を弾いたであろうウラノスに接触。辛くも都市から逃れ、フレイヤの魅了による記憶改竄を避けることができたアスフィとリューもまた、行動を開始する。
-
第8話 憧憬(ベル・クラネル)
ベルを手中に収めるため、あらゆる手を尽くし、不穏分子を悉く潰し続けるフレイヤ。その範囲は『シルのお気に入り』であったはずのアーニャやリューにまで広がっていた。その一方で、どれほど傷つき、どれほど愛に絡め取られても憧憬を捨てることができず……心折れ陥落しきることもないベル・クラネル。そんなベルの様子に女神フレイヤや、その幹部たちが焦りを感じ始めた頃……都市に戻ったアスフィと、ヘスティアが遂に再会する。
-
第9話 聖火の祭壇(ウェスタ)
ミアの叱咤、そしてアイズの言葉により、自身が【ヘスティア・ファミリア】であることに確信を持ったベル・クラネル。だが、捻じ曲がった世界で監視も厳しいベルに打てる手はなく――。そんな中、【フレイヤ・ファミリア】の本拠地『戦いの野(フォールクヴァング)』に捕らえられていたリューが脱出を図り、騒動が勃発する。それに乗じ、監視の目から逃れたベルは、最初にシルの手紙を持ってきた人物――ヘルンに遭遇する。
-
第10話 派閥大戦(ウォーゲーム)
ヘスティアの権能により、フレイヤの目論見は潰えた――が、フレイヤはヘスティアにベルを賭けた戦争遊戯(ウォーゲーム)を提言する。そこに【フレイヤ・ファミリア】の存続、フレイヤ自身の天界送還すら賭けてもいいと。かくして決まった【ヘスティア・ファミリア】を始めとする有志派閥による派閥連合と【フレイヤ・ファミリア】との戦争遊戯(ウォーゲーム)……しかし、【ロキ・ファミリア】は不参加、そしてアイズの協力も得られないことがヘスティアに告げられる。
-
第11話 地獄(フォールクヴァング)
迷宮都市(オラリオ)史上最大の戦争遊戯(ウォーゲーム)『神探し(ハイド・アンド・シーク)』の幕が切って落とされた。派閥連合の全ての神が持つ花を奪われる前に、フレイヤを見つけ、彼女が持つ花を奪うこと――それが唯一の勝利条件。一柱の女神を隠し、精鋭たちが神々を見つけ狩っていく――そんな常套手段(セオリー)を無視するかの如く【フレイヤ・ファミリア】指揮を務めるヘディンが取ったのは……残酷なまでの策だった。小細工など粉砕する、都市最強の派閥が動き出す。