運命が、人を破壊する…
幸福も不幸も、そして人の命までも『運』が支配する世界…。幼いときに母を失った高校生の伊吹慶太は、ある夜、クロと名乗る少女と出会った。彼女は、身体能力や寿命などが人間を遥かに超越している「元神霊」だった。これは、人間の少年、慶太と「元神霊」の少女、クロが出会ったことにより始まる戦いの物語である…。
作は林 達永、朴 晟佑の漫画。サンライズと小林常夫監督が高クオリティの映像でアニメ化、日米韓同時展開展開を実現。主人公の慶太は元神霊(もとつみたま)のクロと名乗る少女と出会い、心臓を交換することで「契約」を結び、「同じ顔をもつ人間が出会えば死ぬ」という「ドッペルライナーシステム」で世の中を支配しようとする勢力との戦いを開始する。本来ありえない「サブ」との契約でクロは苦戦するが、2人の成長とともに心の絆が深まり、奇跡的なシンクロを果たしていく。この壮大な世界観と成長ドラマが最大のみどころ。殴る・蹴ると肉弾戦ベースのバトルは重力など物理的にしっかりとした作画で描かれ、華麗なエフェクトが彩る映像は大迫力だ【アニメ評論家 氷川竜介】
クロ:下屋則子
伊吹慶太:浪川大輔
佐野 茜:大原さやか
プニプニ:冬馬由美
エクセル:田村ゆかり
シュタイナー:中田譲治
蔵木大地:日野 聡
原作:林 達永/朴 晟佑
掲載:ヤングガンガン
刊行:スクウェア・エニックス
監督:小林常夫
シリーズ構成:吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督:西村博之
美術監督:吉原俊一郎
プロップデザイン:宮本 崇
色彩設計:安部なぎさ
撮影監督:和田尚之
編集:内浦良典
音響監督:菊田浩巳
幼いときに母を失い、湾岸のマンションに1人で暮らす高校生の伊吹慶太。ある夜、屋台のラーメン屋に立ち寄った慶太の前にクロと名乗る少女が現れる。代金が払えないクロにラーメンをおごってやる慶太。クロは同じ顔の人間が出会うと死ぬという話を語り始めた。慶太は「ドッペルライナーシステム」という言葉を知る…。
クロの語った『同じ顔の人間が出会うと死んでしまう』という人間の運命(さだめ)、理佐、まゆ、そして母もその運命(さだめ)に従って死んでしまったのだろうか―。思い悩む慶太が学校から帰宅すると、家にクロがあがりこんでいた。とぼけたことを言うクロに対していらだちを隠せない慶太は彼女を追い出してしまう。
慶太が学校に行っている間、クロは家で留守番をすることになった。1人トレーニングに励むクロ。そこへ新たなトライバルエンドたちが押し入ってきた。契約したばかりで戦闘能力が落ちているクロはうまく戦うことが出来ず、一方的にやられてしまう。
学校から逃げ出した慶太とクロ。レストランで合流した茜は警察に通報しようと提案するが、慶太はとりあってもらえないだろうと乗り気ではない。トライバルエンドを操っている兄を一緒に倒そうとクロは言うが、慶太はその言葉もつっぱねてしまう。その間にも新たなトライバルエンドの影が慶太たちに忍び寄っていた…。
突然現れた欧州連合組織TNO(ザ・ノーブル・ワン)の元神霊シュタイナーと決闘する慶太とクロ。タフなシュタイナーにクロの攻撃が通じず一方的にやられてしまう。そんな中、慶太はクロと共に戦おうという気持ちが芽生え始めていた。より深いシンクロを果たす慶太とクロ。そのときクロの超越(イクシード)が発動した!
慶太は元神霊の水華魅に捕らえられてしまう。彼女はヒヨウから依頼を受けた元神霊でクロを捕らえるよう命じられていた。慶太を人質に水華魅はクロを呼び出す。水華魅は契約者の慶太を殺すつもりでいたのだが、ある重大なことに気が付き予定を変更する。※ヒヨウ=正式には漢字表記になります。
「サブの契約者は闘いの負荷に耐えられず、死に至る―」水華魅の言葉が慶太に重くのしかかる。心中複雑なまま沖縄に向かう慶太は、空港へ向かう途中でトライバルエンドに襲われていた元神霊とその契約者と出くわす。彼はクロの過去を知る獅子神一族の元神霊・揶雲(ヤクモ)で、クロを姫様と呼ぶのだった…。
クロも母親を亡くしていた。その事実が慶太に戦う決心をさせ、2人の絆も深まる。沖縄に到着し、祖父の家を拠点として母の死とクロの兄について唯一の手がかりである写真を元に調査を開始する慶太たち。数日が過ぎたある日、慶太たちはカクマ・マカナという2人の幼い元神霊と出会う。
カクマ、マカナから7年前の出来事について話を聞いた慶太は写真と黎真についてわずかなヒントを手に入れる。しかし、サブである自分に暴走する元神霊を止められるか、慶太の心に不安がよぎる。海岸で1人サウザンドの練習をする慶太の前に、母にそっくりな女性・忍が姿を現した。
慶太と合流したクロはヒヨウを振りほどき攻勢に転じるも、イクシード・魔流闘雫により再び体を拘束されてしまう。振りほどこうともがくクロだったが、シンクロが途切れてしまい力を出すことが出来ない。そのとき、慶太はヒヨウの契約者が使う禁忌の力によって容量(テラ)を奪われ、瀕死の状態に追い込まれていた…。
膨大な容量(テラ)を消費し意識を失った慶太を救ったのは4年前に死んだはずの親友、沢村だった。沢村は慶太に彼の過去を語り、慶太に協力を求めるのだった。彼はドッペルライナーシステムを利用し、理想の社会を作るのだというが…。
霊石の破壊を阻止するためにクロと慶太は黎真と対峙していた。シンクロして戦いを挑む2人であったが、黎真との力の差は歴然でクロの攻撃は全く通じない。戦いの最中、慶太はわずかに残った力をクロに送り込んで倒れてしまう。契約者である慶太の死を意識してしまったクロは彼の命を気遣い、戦うことを放棄してしまい…。
沖縄での戦いから半年後。黎真が消えた後、蔵木はマスタールートたちの力を利用して元神霊たちの支配を進めていた。蔵木の暗躍によりTNOの日本支部の解体が行われ、ヤクモたちも少しずつ追い詰められてゆく。その頃、黎真という目標を失い、慶太を意識不明にしてしまった罪悪感を抱えたクロは街を彷徨っていた…。
慶太たちはベルンハルトやTNOの協力を得て蔵木のいる魁音寺ホテルに潜入する。魁音寺一族と総帥、名士が集められた会場では蔵木の副総裁就任披露パーティが開かれていた。スピーチをする蔵木の前に現れた慶太は再び対面を果たすのだった。同時刻、利用され続けた自らの運命を呪う雪は、ある決意の行動を起こすが…。
森羅は黎真に付き従う獅子神一族の元神霊だった。黎真という絶対の主をなくした彼は、その死に場所を求め修羅の道へと身を投じていた。魁音寺最強の容量を持つ契約者の力によって凄まじい破壊力を発揮する森羅。彼を倒し、茜を救い出すことが出来るのか…!?
自身のルートと対面してしまった慶太。蔵木は衝撃を受ける彼に取引を持ちかける。それは生き残るための唯一の手段、マイナスルートになることだった。重大な決断を迫られる慶太、そして戦い続けるクロ。果たして二人を待ち受ける運命とは!?
清き処の謎を解くべく霊石を目指して進む慶太たちの前に、ナムと名乗る元神霊が現れる。彼女はこの世の創世について知る数少ない元神霊の1人だった。ナムの語る創世神話はドッペルライナーシステムと霊石の謎を解く手がかりになるようなのだが…。
霊王石の許へと急ぐ慶太たちの前に真神の力を狙う元神霊・天麻とその契約者・琥珀が立ちふさがる。天麻のイクシード・繚乱有象の厄介な能力によってクロたちは足止めを食ってしまうのだった。一方、復讐を誓うエクセルは黎真と対峙する。水華魅と契約し、新たな能力を会得したエクセルは一矢を報いることが出来るのか。
黎真とクロ、因縁の戦いの火蓋が切って落とされた。テラ循環の能力を手に入れたクロは、光球を操る黎真と互角以上の戦いを繰り広げる。互いにシンクロし、交えられる拳。戦いの果てに彼らは何を見るのか。
黎真によって破壊された霊王石は闇へと吸い込まれてゆく。呼応するように、地は揺れ、空は翳り、霊王石のあった空間に暗黒の球体が出現する。暗闇から出現する謎の魔物たち。始まる真神の力の復活、そして次第に明らかになる黎真の計画。クロたちの知ることになる真実とは何か!?
真神の力によって火炎と冷気に包まれた清き処で、真神と黎真の闘いが始まった。溶岩や氷塊の一撃を受ける黎真だったが、サウザンド・アイオライトアビスによって高められたイクシード・千尋獅咆の破壊力は真神の肉体を凌駕する。一方、覚醒したクロは慶太と共に黎真のところへと向かうのだが―。
真神の力を得たクロは慶太とシンクロし真神に闘いを挑む。黎真のイクシードによって再生能力を失った真神は、肉体をひとつに融合させ新たな力を手に入れる。闘いの終わりは間近、クロ・慶太は真神を打ち破り、全てに決着をつけることが出来るのか。
最後の闘いから数年後、とある結婚式。ウェディングドレス姿の茜の前にクロの姿はない。慶太との思い出、クロとの出会い、そして、はじまった闘い―茜の脳裏にさまざまな情景が浮かんでは消えてゆく。