月の民、ムーンレィスの少年ロランは、地球帰還作戦を前に環境適応テストのため地球へ降下。地球での暮らしになじんだ頃、突然月の軍隊ディアナ・カウンターが地球に降下、地球軍と戦闘となる。ロランは月と地球の平和共存を望みつつ、地球側の人間として“∀ガンダム”に乗り、同胞たちと戦うことになるのだった。
■キャスト
ロラン・セアック:朴 璐美
ディアナ・ソレル:高橋理恵子
キエル・ハイム:高橋理恵子
ソシエ・ハイム:村田秋乃
キース・レジェ:福山 潤
フラン・ドール:渡辺久美子
グエン・サード・ラインフォード:青羽 剛
ハリー・オード:稲田 徹
ギム・ギンガナム:子安武人
■スタッフ
原作:矢立 肇/富野由悠季
総監督:富野由悠季
キャラクター原案:安田 朗
キャラクター設定:菱沼義仁
メカニカルデザイン:大河原邦男/シド ミード
メカニカルデザイン:重田敦司/沙倉拓実
音楽:菅野よう子
地球に向けて密かに降下したモビルスーツ中に、ロラン、キース、フランという3人の少年少女が乗っていた。キースたちと別れてビシニティの方角へ向かったロランは、川で溺れていたところを、キエル・ハイム、ソシエ・ハイムの姉妹に救われ、ハイム家で働きはじめる。
ロランとソシエが成人式を迎える日、市民軍のミリシャのパレードも行われる。それは、月の民ムーンレィスの襲来を予測したグエンの取り計らいによるものだった。ホワイトドールの前でロランとソシエが成人の儀式を行っていたとき、ムーンレィスのMS部隊が襲来する。
眠りから覚めた機械人形ホワイトドールを、シドの指示で隠すロラン。その存在は「黒歴史」を裏付けるものであり、グエンはまだ埋まっている機械人形で、ムーンレィスに対抗しようと考えていた。一方、ハイム家に戻ったソシエは、父の死という悲劇に直面する。
月の人間であることを名乗り出て、ディアナ・カウンターの司令部へと向かうロラン。司令部のアジ大佐やハリー中尉は、ロランからの報告を元に、グエンたちとの交渉に臨む。同じ頃、マウンテン・サイクルでは山師シドの指揮により、機械人形の発掘作業が進められていた。
ミリシャの部隊がムーンレィスの帰還地に攻撃を仕掛け、ムーンレィスの民間人に犠牲者が出る。メシェーとソシエはディアナ・カウンターの機械人形を奪取しようとするが、逆にメシェーが捕虜にされてしまう。ロランはメシェー救出のため、ホワイトドールで出撃する。
ディアナを捕らえようとするミリシャの動きは、グエンの制止により阻止される。グエンとディアナは交渉に入るが、地球側と月側の主張の隔たりが大きく交渉は難航。一方、発掘作業に当たっていたソシエたちのカプルは、フィルとポゥが乗るウォドムと戦闘になる。
地球と月の相互理解を深めるため、親睦パーティーが開催されることに。ロランはグエンにホワイトドールの女性パイロット・ローラとして、パーティーに出席することを命じられ、キエルからパーティー出席に必要な貴婦人修行を受ける。
ムーンレィスの居留地周辺で衝突が起きるのを防ぐため、ホワイトドールで警備に向かったロラン。そこで、帰還政策の不備から生活に困っている帰還民クーエンと出会ったロランは、クーエンのために家畜探しを手伝う。だが、その行為がポゥのMS部隊を引き寄せてしまう。
月で禁固刑を受けていたコレン・ナンダーが恩赦となり、その独立部隊が地球に送られてくる。“ガンダム”との対戦を望むコレンは、ガンダムをおびき寄せるためミリシャのカプル部隊を攻撃。ムーンレィスであることがバレたロランに代わり、ソシエがホワイトドールで出撃する。
ちょっとした遊び心から、キエルとディアナは互いの服を交換してすり替わる。ディアナはキエルに、キエルはディアナに扮して飛行船に乗り込み、グエンやミランを伴い空から地上を視察することに。飛行船はハイム家のあるビシニティに向かい、ディアナは戦火の爪痕に心を痛める。
なかなか交渉が進まないことを理由に、ミランはソレイユと全軍をサンベルトに移動することを提案。が、それよりも先に、ミリシャの部隊はディアナが乗る旗艦ソレイユへの攻撃を開始。ミリシャとディアナ・カウンターは全面衝突に至り、ノックス全域が戦火に包まれる。
キエルがディアナとは知らず、共に地下を行くロランのホワイトドール。それを追って、コレン・ナンダー独立部隊がマウンテンサイクルにやって来る。ホワイトドールとコレンのイーゲルは地下の洞窟で遭遇し、激しい格闘戦となる。
ロランたちは洞窟で宇宙船を発掘しているウィルという青年と出会う。ウィルは、遠い昔ディアナが地球に降り立ったときに出会った男性の子孫だった。ウィルと一緒にいるテテスという女性は、キエルの姿を見るなり、いきなり襲いかかる。
掘り出した宇宙船の情報をディアナ・カウンターに売り渡すのが月へ行く近道だと、ウィルにささやくテテス。一方、イングレッサのミリシャは、ルジャーナのミリシャと合流。主導権を握りたいルジャーナ側は、自前の機械人形部隊“スエサイド部隊”の実力を見せつけようとする。
ディアナへの面会を果たしたウィルは、フィルの部隊に組み込まれることに。働きを見せて月へ行こうと意気込むウィルは、宇宙船の発掘現場に向けて出撃する。それに呼応して、ギャバン率いるスエサイド部隊も出撃。ウィルは宇宙船をミリシャに渡すまいと激しく闘う。
第15話までの総集編。∀ガンダムの性能に関する解説や、キエル・ハイムとディアナ・ソレルの関係、ロランたちを取り巻くロマンスの状況など、全3章に渡ってポイントを抑えた編集がなされ、見所満載の総集編となっている。
雇い入れたムーンレィスの技術者を護送するロラン。が、途中でムーンレィス狩りをしているスエサイド部隊と鉢合わせし、ギャバンと勝負することに。一方、グエンの元にはディアナから建国宣言の招待状が届く。同じ頃、そのディアナを暗殺しようとテテスが動いていた。
建国宣言の式典を前に、ディアナは自分とキエルが入れ替わっていることをロランに打ち明ける。建国宣言の前になんとかキエルに会おうとするふたりだが、ミリシャの部隊が式典を妨害するため攻撃を開始。同時に、テテスがディアナを暗殺しようとソレイユに潜入する。
キングスレーの谷で発掘された宇宙船は“ウィルゲム”と命名された。ロランは同時に発掘された“ギャロップ”の艦長となるが、ソシエは不満を持つ。そんなとき、ポゥ中尉の部隊にギャロップが発見され、ソシエはカプルで迎撃に出る。
最前線に近い丘の上の一軒家から、断固として立ち退こうとしない老婆アニス。ロランは避難を勧めに行くが、先祖代々の土地を捨てるわけにはいかないと拒否される。そこに、地球に帰化したムーンレィス“レット隊”に追われ、ミリシャの部隊が逃げてきた。
野戦病院に入院したメシェーを見舞うロランたち。そこにグエンに伴われてリリがやって来る。キエルとグエンの関係が気に入らないリリは、彼女に野戦病院で働くよう勧め、その上でキツイ仕事が回るよう差し向ける。
ミリシャに寝返る帰還民の脱走に業を煮やし、脱走者が集まる“ヴィルゲム”の発掘現場に総攻撃が加えられることに。ディアナの身を案じるキエルは、ハリーにディアナを守るよう勅命を出す。勅命を受けたハリーはムーンレィスの技術者と身分を偽り、発掘現場に潜入する。
敵味方の区別なくパンを売るキースのパン工場周辺は、自然発生的な中立地帯となっていた。その工場で働いていたテテスは、ギャロップでパンを受け取りに来たロランたちを発見。トロイというムーンレィスの男を利用し、ホワイトドールを奪取しようと計画する。
地球に潜伏したムーンレィスの末裔で組織されたレット隊は、ディアナ・カウンターの間で差別的な扱いを受けていた。レット隊のキャンサーは、ローラのような裏切り者がいるから自分たちも信用されないのだと考え、ニセのホワイトドールで村を襲いミリシャの分裂を誘おうとする。
一両日中にウィルゲムのテスト飛行をすることが決まり、それを察知したフィルの部隊がウィルゲムの攻撃に向かう。一方、ディアナを追って町に出たロランはフランとキースのケンカに巻き込まれ、キースから「ローラの名で人を殺し、グエンの道具になっている」と非難される。
コレンと共に旅を続けていたディアナは、カラモートの町に立ち寄る。その町では、地球人とムーンレィスが協力して祭りの準備を進めていた。祭りで使うホワイトドールに似せて作った張りぼてを見て、コレンはガンダムという“白い悪魔”が天国を壊しに来たと思い込む。
ロストマウンテンで発掘作業を進めていたゼノア隊が、核爆弾を発見。スエサイド部隊と鉢合わせしたゼノアは核の恐ろしさを知る故に戦闘を回避しようとするが、核爆弾を奪取しようとするスエサイド部隊とレット隊の間で戦闘が始まってしまう。
核兵器が使われてはならないと考えたゼノアはロランに核爆弾を処分するよう頼み、ソシエたちを伴ってディアナに直訴しようとする。一方、核兵器による地球制圧を主張するフィルは、ディアナの外交姿勢を弱腰だと批判し、公然と政権の委譲を求める。
ソレイユに残ったのが本物のディアナか確信が持てないフィルは、ポゥにハリーが連れ去った女を捕獲するよう命じる。一方、ハリーとともにウィルゲムに向かったキエルは、ディアナを演じてグエンとの面談を要求。グエンたちが宇宙へ行くのを思いとどまらせようとする。
ルジャーナ海軍の協力を得て、マニューピチを目指すウィルゲム。そこに核爆弾があるかもしれないと考えたレット隊のキャンサーは、ミリシャが核爆弾を使ってソレイユに攻撃を掛けるかもしれないと危惧し、ウィルゲムに襲撃をかける。
フィルは「ハリーが裏切ってディアナを地球人に売り渡した」と演説し、サンベルト共和国の建国を宣言した。フィルに報いて功を立てたいポゥは戦艦アルマイヤーで出撃し、マニューピチへ移動中のウィルゲムを追撃する。同じ頃、ディアナも船に乗せられマニューピチへ向かっていた。
マニューピチの町はディアナ・カウンターの部隊に占領されていた。マニューピチで暮らしていたアデスカの民の王、クワウトルと出会ったロランは、アデスカの民に伝わる、世界を破壊する白い悪魔の神話を聞く。
アデスカに災いが迫ったとき、新しき王が古き王を討ち取って代わるのがアデスカのしきたりだった。しかしクワウトル王は逃亡し、新王タルカが追っていた。一方、ロランたちはディアナ・カウンターの砲台を爆破しようとする。
ディアナを乗せたジャンダルムは、ハリーの追跡を振り切って宇宙へ。一方、マニューピチではウィルゲムを宇宙に上げる準備が進む。ミリシャにより月に最悪の事態がもたらされることを恐れたミランは、ポゥにウィルゲムの攻撃を命じる。
月に向けて宇宙船を打ち出す設備“ザックトレーガー”にたどり着いたウィルゲム。しかし、ドック内で船体を固定され、動けなくなってしまう。実は、ザックトレーガーのドックには、ジャンダルムも入っていた。それに気付いたハリーは、ディアナを救出しようとする。
宇宙に不慣れなミリシャ兵の間で不満が高まる。ついには、ミハエルたちがブリッジを占拠し、ウィルゲムを地球に戻すよう要求。ハリーの提案でブリッジの空気を抜き、酸欠状態となったミハエルたちは機械人形に乗り宇宙空間へ。ロランはミハエルたちを連れ戻そうと追う。
ディアナ暗殺の動きを知ったキャンサーとムロンは、ディアナを連れてジャンダルムから脱出、廃棄されたコロニー“ミスルトゥ”へと向かう。ディアナからの暗号通信でそれを知ったロランは救助に向かうが、月の武門を司るギンガナムの部隊もミスルトゥへと迫る。
キエルをさらったハリーはキエルをディアナに仕立て上げ、ウィルゲムから連れ戻したとギンガナムに報告。一方、ロランはミスルトゥ内でディアナやレット隊と合流し、ウィルゲムもマヒロー部隊の攻撃を避けてミスルトゥへ。ギンガナムはマヒロー部隊にミスルトゥの攻撃を命じる。
ステロのマヒロー部隊にディアナが乗ったシャトルの追撃を命じるギンガナム。ディアナたちは四散したミスルトゥの残骸に隠れていたが、その残骸が月面上の都市、フォン・シティを直撃することが判明。ロランは処分を託された核爆弾を使って、残骸を破壊しようとする。
月に到着したロランは、幼馴染みのドナやハメットたちと再会。ディアナは、月に戒厳令が敷かれ施政が悪い方向に傾いていることを知り、月の管理者アグリッパを問い質そうとする。そのために、ホワイトドールをクジラに偽装し、運河を使って月の首都ゲンガナムを目指す。
ゲンガナムに潜入したロランたちはウィルゲムに合流。ディアナはアグリッパとの会談に臨むグエンに同行し、白の宮殿へと向かう。会談が行われている最中、ウィルゲムをステロのマヒロー部隊が攻撃。ウィルゲムはマヒロー部隊の攻撃を避けるため白の宮殿へと移動する。
ステロはグエンたちを人質にして∀の引き渡しを要求。一方、ギンガナムはメリーベルに命じてターンXを起動させ、アグリッパは月面における∀とターンXの直接対決で決着をつけるよう提案する。事態を収拾するためディアナは“黒歴史”の封印を解く決断をし、冬の城へ向かう。
ギンガナムとの戦いの最中、ロランは∀が古代の文明を破壊したモビルスーツであることや、ターンXとの因縁の関係を聞かされる。一方、冬の城にたどり着いたディアナは、黒歴史の封印を解き放つ。それは、かつての宇宙戦争を記録した膨大な映像資料だった。
黒歴史の映像に動揺した月の市民たちはパニックとなり、暴動状態に。闘争本能に目覚めた者は例外なく排除しようとするアグリッパをディアナとキエルは殺そうとするが、アグリッパはミドガルドの手により射殺される。さらにミドガルドは、新秩序を築くためディアナの命も狙う。
白の宮殿に戻ったディアナは、ターンXをはじめとするモビルスーツの引き渡しをギンガナムに要求。ギンガナムは表向きそれに応じる姿勢を見せるが、裏では地球の文明開化を目論むグエンと手を組んでいた。グエンは黒歴史のデータと一部の人員だけ乗せて地球へ戻ろうとする。
ロランからの報告でグエンとギンガナムの結託を知ったディアナは、ギンガナムの暴挙を阻止するため地球へ行くことを許して欲しいと月の民に呼びかけ支持を得る。ギンガナムが追撃を避けようと戦艦を破壊していったため、ディアナは民間人の協力を得て予備の戦艦を整備し、地球を目指す。
ギンガナム軍はノース・アメリア各地のミリシャを攻撃。リリはルジャーナとディアナが盟約を結び、グエンとギンガナムに対抗する勢力を作り上げることを提案する。一方、中立地帯にあるキースのパン工場にはグエンが訪れ、工場で働くムーンレィスの技術者が欲しいと持ちかける。
∀の“月光蝶”システムにより地上に大きな被害が出たことでグエンは危機を感じ、∀の量産化を理由に機体の引き渡しをギンガナムに要求。一方、ディアナの元にはコレンが馳せ参じ、戦列に加わることを許可される。コレンは以前にも、月光蝶を見たことがあるようだった。
奪還した∀にはジョゼフが乗り込んでいた。ジョゼフはフランが自分の子を宿したと知り、父親として手柄を立てたかったのだ。ターンタイプはターンXだけでよいと考えるギンガナムは、容赦なく攻撃。さらに、機械人形の量産化を目指すグエンにも矛先を向ける。
再び∀に乗り込んだロランは、ギンガナムのターンXと対決。ターンタイプ同士の戦いにより月光蝶システムが作動し、ディアナはソレイユのバリアで月光蝶の被害を食い止めようとする。相討ちとなって動きを止めた2機から降りたロランとギンガナムは、生身で剣を交える。