宇宙世紀0149年。サイド2にて建国したザンスカール帝国は地球に侵攻を開始。地球連邦はさしたる抵抗をすることもできず、民間の抵抗組織「リガ・ミリティア」だけがザンスカール帝国の「ベスパ」と戦っていた。ある日、戦闘に巻き込まれたウッソは、成り行きで「V(ヴィクトリー)ガンダム」を操縦することになり…。
■キャスト
ウッソ・エヴィン:阪口大助
シャクティ・カリン:黒田由美
マーベット・フィンガーハット:白石文子
オデロ・ヘンリーク:中田雅之
カテジナ・ルース:渡辺久美子
クロノクル・アシャー:檀 臣幸
マリア・ピァ・アーモニア:篠原恵美
フォンセ・カガチ:大矢兼臣
ナレーション:中田譲治
■スタッフ
原作:矢立 肇/富野由悠季
総監督:富野由悠季
キャラクターデザイン:逢坂浩司
メカニカルデザイン:大河原邦男/カトキ ハジメ/石垣純哉
音楽:千住 明
宇宙世紀0153年。“ポイント・カサレリア”では、13歳の少年ウッソ・エヴィンとザンスカール帝国軍“ベスパ”の士官クロノクル・アシャーが激しいMS戦を繰り広げていた。ウッソは一度は敗れるもののVガンダムの合体に成功し、クロノクルを撃退する。
シャクティは戦争に巻き込まれた3日前の事件を思い出していた。その日、ウッソは空を飛んでいるとクロノクルの操縦していたMSと遭遇した。偶然からMSを奪ったウッソはベスパの地上侵攻が始まったこと、そしてザンスカール帝国に抵抗するリガ・ミリティアの存在を知る。
ウーイッグの街は炎に包まれていた。ウッソは憧れの少女カテジナを助けるために街へ向かうもののベスパのMSから攻撃を受ける。奇跡的に避難所でカテジナに会うことができたウッソは、戦火の中から助け出した赤ん坊カルルマン・ドゥカートゥスとともに脱出するのだった。
カミオン隊は、コア・ファイター修理のため、カサレリアの森に隠れていた。べスパは、彼らを炙り出すために無差別爆撃を開始する。ウッソは、シャクティを守りカミオン隊を逃がすため、再びMSに乗り、撃退するのだった。そして今、ウッソ達はカミオン隊と共に居るのであった。
ウッソとVガンダムの戦果にリガ・ミリティアは沸き立つが、カテジナだけは子供を戦争に巻き込む大人たちを批判する。一方、べスパのガリー・タンが試作MSゴッゾーラで出撃。彼の歪んだ執念に戦慄を覚えつつもウッソは撃退する。その頃、クロノクルは工場に潜入していた。
カミオン隊のリーダーのオイ・ニュング伯爵とカテジナがクロノクルに拉致された。一方、争いを嫌ったシャクティは、ひとりカサレリアへ帰る。彼女を心配しつつも、ウッソはカミオン隊に同行した。ベスパのワタリー・ギラが仇討ちを仕掛けたが、相手が子供だと知って自害する。
シャクティを迎えに行こうとするウッソだが、カミオン隊がベスパに襲われているため、自分の意思に反してVガンダムで応戦する。そこへ宇宙から降りてきたトムリアット部隊が畳み掛けてきたがこれも撃退した。ウッソは偶然、ニュング伯爵の処刑を見てショックを受けるのだった。
ウッソは戦争が殺し合いである事を思い知りシャクティとともにカサレリアへ戻る。その頃、カミオン隊はピピニーデン隊の前に苦戦を強いられる。仲間の危機を知ったウッソは再び戦場に戻るが多勢に無勢で追い詰められたところをオリファー・イノエに助けられるのであった。
シャクティを心配するウッソはVガンダムで隊を抜け出し、カサレリアに向かうが、機体ごとベスパに捕まってしまう。奪われたVガンダムを取り戻すためにゾロを奪うウッソ。Vガンダムは取り返せたもののカサレリアの存在を知られたウッソ達は故郷を去るしかなかった。
カミオン隊に「DDに向かえ」という暗号が入った。ウッソは、カテジナのことやベスパの動きを気に懸け、敵を引き付けようと単独で出撃してしまうが、返り討ちに遭い次第に追い詰められていく。そのとき、突然現れたガンイージだけで構成されたシュラク隊がウッソの窮地を救った。
旧ベチエンの飛行場跡にカミオン隊は到着した。そこでウッソは父の名を耳にして動転する。そして父がリガ・ミリティアの創設に関わっていることを知った。一方、カミオン隊を追撃するベスパは、ベチエンへの攻撃を開始する。輸送機の発進を巡る戦いでシュラク隊は戦死者を出す。
敵を引き付けるため、ウッソは単身出撃し、追撃を振り切って旧バルセロナの港街へ降り立つ。そこでウッソは、戦争で息子を亡くした老漁師、ロブ・オレスケスに出会う。彼はウッソの姿に亡き息子を重ねて命を懸けてベスパからウッソを逃すのだった。
ウッソたちは、アーティ・ジブラルタルの宇宙引越公社へ向かっていた。同じ頃、ベスパもクロノクルを交渉役にして、公社に進駐を認めさせようと画策し、リガ・ミリティアのミスを突いて武力制圧を図る。仇討ちに逸るシュラク隊は、ベスパの挑発に乗って戦端を開いてしまう。
ウッソは空港でカテジナと再会し、戻るよう説得するが彼の言葉は彼女に届かなかった。ベスパは宇宙での攻撃に呼応してジブラルタルへの攻撃を開始。ウッソたちは応戦を余儀なくされ、宇宙へ上がるための宝であるマスドライバーを守るためにシュラク隊が犠牲となってしまう。
ウッソは両親を捜すため、カサレリアに戻るシャクティと別れてシャトルに便乗する。シャトルはハイジャックされた振りをしてマーベット達とVガンダムも乗り込む。シャトルは、無数のゴミが浮遊する宙域に進入。その中で、宇宙を漂流するベスパのゴッドワルド・ハインと出会う。
リガ・ミリティアは、宇宙戦艦リーンホースで宇宙に上がる準備を進めていた。艦内に忍び込むシャクティとスージィ。一方、ウッソたちのシャトルは、ベスパの哨戒部隊に発見されて拘束されていた。しかし、ウッソたちの機転で敵パイロットを捕獲し、シノーペを奪取するのだった。
リーンホースは一路、制止衛星軌道を目指していた。その頃、ウッソ達はハイランドに身を寄せ一時の休息を得ていた。一方、ムッターマ・ズガン将軍の率いるザンスカール帝国軍宇宙艦隊がサイド2連合艦隊に対する出撃準備を整え、士気高揚のための演説が地球圏に流される。
ハイランドで戦いに備えるウッソたち。一方、リガ・ミリティア艦隊もハイランドへの針路を取っていた。しかし、その動きはカイラスギリー艦隊に察知され、艦隊戦が始まる。その戦闘の最中、リーンホースに密航していたシャクティたちは、宇宙空間に投げ出されてしまっていた。
宇宙空間を漂流していたシャクティたちは、ベスパに保護される。カイラスギリーへと連行され、女王マリアの娘であることが判明するシャクティ。この状況を政治的に利用しようとするタシロは、クロノクルに命じて極秘の内にシャクティをザンスカール本国へ送ろうとする。
リガ・ミリティアは、カイラスギリー攻略の準備を着々と進めていた。ウッソが提案したハイランドのマイクロ波を利用する作戦のため、ハイランドも準備に追われる。無人のガウンランドを盾にして進撃する艦隊。ウッソたちは、第一陣としてカイラスギリー艦隊に突撃するのだった。
カイラスギリー攻略戦は、苛烈さを増していた。カイラスギリー艦隊に接近したリーンホースは、ガウンランドを自爆させて捨て身の艦船突攻を図り、作戦を成功させたのだ。一方、カテジナはシャクティが無事であるという伝言を残す。帰還したウッソは、その知らせに狂喜した。
ウッソは、シャクティたちの映像が残ったハロを発見。彼女を助けようと決意する。しかし、そこへゴッドワルドが現れた。戦場の厳しさを教えるかの如く襲いかかるゴッドワルドに対し、ウッソはその才能で彼を退ける。敵味方に別れたら、殺し合う現実にウッソは泣くしかなかった。
マルチナが急病に罹る。予断を許さない状況に、一行はザンスカール本国への潜入を決断した。危機を乗り越えて潜入したザンスカールの首都を歩くウッソが目にしたものは、軍国主義国家の実態であった。マルチナの無事を知ったウッソは偶然にもスージィと再会を果たす。
ウッソたちは、シャクティがマリアの娘と知り驚愕する。一方その頃、リガ・ミリティアは、敗走する連邦軍を救うため、ザンスカール本国への空襲を展開する。混乱に乗じてシャクティと再会したウッソは彼女に母親の元へ残ることを勧めて脱出するのだった。
ザンスカール領内から離脱したリーンホースJr. は、帰還中のズガン艦隊に針路を塞がれていたがウッソたちの活躍により無事、脱出に成功した。しかし、逃げそびれた魚の骨は、ザンスカールに潜入し、入港した艦隊を迎える女王マリアを人質に取るしか生き延びる道はなかった。
ウッソは女王マリアを人質にして脱出を図ろうとするが失敗した。敵に捕まったウッソたちは処刑されかけるが、危機一髪で助けられる。Vガンダムへ乗り込んだウッソへ容赦ない攻撃を仕掛けるMSリグ・シャッコー。そのコクピットには、ウッソの敵となったカテジナの姿があった。
ズガン艦隊の殲滅を図るためビッグキャノンの発射準備の最中、ジュンコが取り付けられた爆弾を見つけてしまう。外そうとした時、彼女は閃光の中に消えた。彼女によって守られたビッグキャノンのビームはコロニーをかすめ、ベスパの艦隊を巻き込んでいくのだった。
リーンホースJr. は、ザンスカールの勢力下にあるマケドニアへと漂着し、捕虜となっていた。敵の目を欺くため、オリファーとマーベットの結婚式が行われる。その夜、モトラッド艦隊とマケドニアとのいざこざが起こり、その騒ぎに乗じてリガ・ミリティアの仲間たちは脱走する。
捕虜となったウッソは敵の懐柔に乗らず、隙を突いて逃げ出す。しかし、先の戦闘で損傷したコア・ファイターは、空気漏れを起こしていた。さらにカテジナたちの追撃を受け、危機に陥るウッソ。だが間一髪で新型MS、V2ガンダムが届きカテジナたちを退けて退路を切り開いた。
リーンホースJr. は月への不時着を余儀なくされる。月面都市のセント・ジョセフに到着したウッソたちは、ザンスカールの秘密警察に追われていたウッソの母ミューラを助ける。久しぶりの母子の再会に席を外すオデロたち。ウッソは母の胸に抱かれながら、これまでの経験を語った。
モトラッド艦隊の地球侵攻準備の情報がリガ・ミリティアを震わせた。シャクティは、叔父のクロノクルを説得して地球侵攻を止めさせようと、ベスパの基地へと向かうが捕まってしまう。一方、攻撃をものともせずに前進を続けるモトラッド艦を止めるためオリファーは特攻をかけた。
モトラッド艦隊の旗艦アドラステアは、修理を行っていた。リーンホースJr. は奇襲を敢行する。一方、クロノクルたちは追撃を絶つため、ブロッホの駆る新型MA、ドッゴーラを中心とした部隊を出撃させた。ウッソはドッゴーラの常軌を逸した戦いに苦戦する。
地球降下を図るモトラッド艦隊。ウッソはカテジナ機を気にしつつも、地球への帰還を果たし、人工海洋都市のアンダーフックへと寄港する。しかし、この都市はマリア主義者の多い町でシャクティが拉致された。更にベスパの攻撃に、ウッソたちは海中での戦闘を強いられる。
タンピコに上陸したモトラッド艦隊は、逃げ惑う人々を踏み潰す地球クリーン作戦を開始していた。マリア主義を振りかざしてその残虐な行為を正当化するカテジナに、ウッソは激しい怒りをぶつける。母とシャクティを救うため、MSの核融合エンジンを爆発させるが効かなかった。
モトラッド艦隊は、タンピコの街を瓦礫にした。一方、リーンホースJr. は、捕虜をわざと脱出させて、敵艦内に潜入して人質を救出する作戦が進められていた。作戦は一時、成功したかと思われたが取り囲まれてしまう。ミューラは自ら敵に捕まり、子供たちを逃すのだった。
クロノクルは、地球連邦政府との停戦協定が交される前にリーンホースJr. を沈めるべく、ピピニーデンが立てた人質の盾作戦を許可する。ウッソは母を助けるために出撃するが、敵のミスからミューラは戦死してしまう。同時に停戦協定が結ばれ、ウッソは絶叫する。
停戦協定の締結で休暇をもらったウッソたちは海へ出る。一方、イクの艦隊艦は、停戦協定を無視して独自に動き攻撃を仕掛ける。死の現実に動転したマルチナたちは、防戦を続けるウッソたちを見て、きれいに生きていける環境を作るために戦っている事を悟るのだった。
エリシャの気を引こうとするオデロは、彼女を偵察飛行に連れ出した。しかし、レンダ・デ・パロマの部隊と遭遇してしまう。反撃もままならないオデロは、座礁していたタンカーの残骸に逃げ込む。ウッソの援護を得たオデロは反撃に転じイクのモトラッド艦を倒すのだった。
ウッソたちは懐かしき我が家へと向かう。その様子を窺っていたベスパのマチスはホワイトアークを攻撃する。その戦闘に気付いたウッソは、強くなった自分に戸惑いつつも、V2の光の翼を広げ敵を全滅させる。死にゆくマチスたちにかつての自分たち重ね、彼らの墓を作ったのだ。
久しぶりにカサレリアで夜を過ごすウッソたちの耳に謎の鈴の音が聞こえた。夜が明け、ウッソは、マチスの家族と出会い衝撃を受ける。一方、ラゲーン基地は、高空からの砲撃を受けていた。迫りくる戦いを前に、カサレリアに再び別れを告げるウッソたちはまた宇宙へ上がるのだった。
再び宇宙に上がったウッソ達は、ラゲーン基地を狙撃したファラのザンネックを退けた。ハイランドに集結した地球連邦軍宇宙艦隊の旗艦ジャンヌ・ダルクで、ウッソは捜し求めていた父ハンゲルグと再会するが、その父が真のジン・ジャハナムであると知って戸惑う。
リガ・ミリティアと地球連邦軍の連合艦隊は、ピピニーデン艦隊を一時後退させた。混戦の中で、ウッソは自らの理想の子供にしたがるルペの猛攻を受け困惑するが撃破する。彼女は権力にしがみつく愚かな男ピピニーデンを道連れにして、爆発の中に消えていった。
作戦会議を行うハンゲルグの姿に、ウッソは父が他人のように感じる。一方、ファラはウッソを弄ぶかのように、コクピットを飛び出し、生身に引き金が引けないことを嘲笑う。追い詰められたウッソを救ったのは、彼をいつも見ていたハンゲルグが用意した援軍だった。
ホワイトアークは、ザンスカール近衛師団のキスハールに発見されたため、彼を捕虜にして脱出する。キスハールが死んだと思い、彼を執拗に攻撃するカリンガ。二人は愛し合っていたが誤解が解けず相討ちになる。この悲劇を見てシャクティは、戦いを終わらせる決意を固めた。
エンジェル・ハイロゥでは、マリアがキールームに入りリング・サイコミュの試運転が開始された。ウッソは、鋭すぎるその感覚ゆえに、投射されるマリアの思念の影響を受け次第に白昼夢の中へと引き込まれていく。しかし、シャクティの歌声によって正気を取り戻すのだった。
連合艦隊の攻撃に乗じてエンジェル・ハイロゥに乗り込んだタシロは、カガチに対して反旗を翻した。タシロが語る真実に動揺するマリア。クロノクルは活動を止めたエンジェル・ハイロゥに疑念を抱く。タシロによってさらわれたマリアの代わりにシャクティをキールームに立たせる。
地球上にエンジェル・ハイロゥの影響が出始めた頃、ウッソはファラの猛攻に晒されていた。ウッソの窮地を感じ、ファラとの間に割って入るマーベット。ファラは、マーベットの内にもうひとつの命を見て、その感覚に怯える。ウッソはその隙を突いてファラを撃破するのだった。
ジャンヌ・ダルク艦隊は、タシロ艦隊を追い詰めていた。ウッソはタシロの艦に肉薄する。倒すべき敵を討てと叫ぶマリアをタシロの凶弾が貫き、ウッソは怒りのままに艦橋を破壊した。ウッソはマリアの死にゆく心を感じ取り、その亡骸ごとタシロの艦を撃沈するのだった。
仲間たちの助けを得て、エンジェル・ハイロゥを突き進むウッソの前に、カテジナの駆るMSゴトラタンとネネカ隊が立ちふさがった。ウッソはその罠に心を乱されながらも、自らの初恋と決別するかのように戦い、中心部へ向かう。そこへ居たのは歪んだ信念を振りかざすカガチだった。
エンジェル・ハイロゥの暴走を止めるため、シャクティはキールームで再び祈る。カテジナは自分を保つため、憎しみに任せて力を振るう。傷ついたリーンホースJr. の老人たちは、未来を若者たちに託して特攻をかけ、シュラク隊はウッソを守って散っていくのだった。
クロノクルやカテジナと最後の戦いを繰り広げるウッソ。彼はクロノクルを撃破したもののカテジナに騙されて刺されてしまう。朦朧とする意識の中で、散っていった仲間たちに導かれるままカテジナを倒す。時は流れ、冬のカサレリアに全てを失い忘却に縋ったカテジナの姿があった。