生まれつき霊脈が塞がり、霊力を持たない牧塵(ぼく・じん)。万物に霊力が宿る大千(だいせん)世界において、彼は蔑みの対象でしかなかった。学び舎である北霊院においては、同窓の譚青山(たん・せいざん)と唐芊児(とう・せんじ)の2人だけが、心を許せる友である。霊力はないものの霊陣に精通している牧塵が、とある湖のほとりで“霊縛陣”の修練をしていると、そこに剣を携えた美しい少女・洛璃(らく・り)が。「血神族め」――“霊縛陣”に動きを封じられた彼女は、憎らし気にそう言って剣を抜くと、その切っ先を牧塵に突きつけ…。
■キャスト
ワン・ユエン(王源)
オーヤン・ナナ(欧陽娜娜)
ルオ・ミンジエ(駱明劼)
マー・ユエ(馬月)
シュー・ハオ(徐浩)
ワン・イーティン(王奕婷)
ウェスリー・ウォン(黄愷傑)
ジアン・ホンボー(姜宏波)
ジャン・チョンハン(張誠航)
■スタッフ
原作:天蚕土豆
監督:ジャン・モン(張萌)
ジュー・イーロン(朱奕龍)
総脚本:タン・ジアユー(湯佳羽)
撮影監督:ファン・チャオ(范超)
ガオ・ウェンリアン(高文亮)
製作・美術監督:ラウ・サイワン(劉世運)
アクション監督:グー・シージュン(谷石軍)
衣装デザイン:ジャン・ウェンイー(張文怡)
生まれつき霊脈が塞がり、霊力を持たない牧(ぼく)域の後継者・牧塵(ぼく・じん)。万物に霊力が宿る大千世界において、彼は蔑みの対象でしかなく、学び舎の北霊院でも味方でいてくれるのは、親友の譚青山(たん・せいさん)と唐(とう)域の公主である唐芊児(とう・せんじ)だけである。ある日のこと。霊陣に精通している牧塵は、唯一霊力なしで発動できる“霊縛陣”の修練をしていた。するとそこへ、剣を携えた美しい少女が現われ…。
五大院入試前の最後の試験に挑むべく、牧塵(ぼく・じん)たち一行は秘境にやってきた。今回の試験で戦う霊獣は蛇類。蛇が苦手な唐芊児(とう・せんじ)は気が気ではない。そんななか、果物を探しに行っていた柳慕白(りゅう・ぼはく)が大きな牙を手にして戻ってきた。まさか蛇牙では――不安がよぎったその時、霊蛇の大群が彼らを襲う。しかし蛇たちは急に攻撃をやめ退散していくではないか。すると突如、地面が大きく揺れ…。
聚霊陣で修練を行っている最中、洛璃(らく・り)の霊力が暴走し始めてしまった。ただならぬ様子の洛璃を心配そうに見つめる牧塵(ぼく・じん)。すると彼女の額に青く光る印――洛神族の神女の証しが浮かび上がった。洛璃の正体を知った学生たちは驚きを隠せない。一方の牧塵は、幼い頃に龍宮で出会ったある少女が洛璃であることに気づき、思わず笑みを浮かべるのだった。そこに、事の次第を聞きつけた学院長の莫師(ばくし)が駆けつけ…。
強くなりたい――父・牧鋒(ぼく・ほう)から、母・清衍静(せい・えんせい)にまつわる、ある真実を聞いた牧塵(ぼく・じん)は、改めて五大院の入試を受ける意志を固めた。合格するには3つの難関を突破せねばならず命の危険も伴うが、修練を積み、いずれは天下無敵の強者になると誓った牧塵の心は揺るがなかった。同じ頃、義父の天邪神(てんじゃしん)から、人族を抹殺すべく邪眼の1つである“蒼穹の眼”を託された温清璇(おん・せいせん)は…。
空に現れた邪眼――蒼穹の眼により、五大院の試験中だった学生たちの霊力が吸い取られていく。次々と意識を失う仲間を前にしながら、何もできない不甲斐なさに憤る牧塵(ぼく・じん)。皮肉なことに、霊力のない自分だけが無事なのである。ところが、そんな牧塵に異変が起こった。突如として彼の体から金色の光が立ち上り始めたのだ。そして、次の瞬間には光の塔となり上空へとほとばしる。その光によって、邪眼は跡形もなく消え…。
霊力を吸収していた卵から孵化した神獣・九幽雀(きゅうゆうじゃく)は、牧塵(ぼく・じん)めがけて羽ばたくと、猛然と襲い掛かってきた。必死に防戦する牧塵。するとその体から、以前に邪眼を一瞬で消した時と同じ光が。光はあの時と同様に空へと向かい、卵が吸い取った霊力を奪おうと開いていた蒼穹の眼を貫き破壊したのだった。その後、しばし上空を旋回していた九幽雀は、意識を失って倒れていた牧塵の体の中へと入っていき…。
仕切り直しで行われた五大院の入試。最終関門である試合の決勝戦に勝ち残ったのは、牧塵(ぼく・じん)と柳慕白(りゅう・ぼはく)だった。実力で優勝すると洛璃(らく・り)に誓った牧塵は気合十分だが、相手は自分よりはるかに格上の慕白―—力の差は歴然である。当然のように、劣勢に立たされる牧塵。彼の身中に潜む九幽(きゅうゆう)は、勝ち目がないのに粘り続けることに痺れを切らし、力を貸そうと動く。手出しはするなと必死で止める牧塵だが…。
従叔父の柳宗(りゅう・そう)が急死し、突然現れた素性も分からぬ無顔(むがん)道士が柳宗の後任として軍師の座に就く――。一連の出来事への不信感を露わにし、柳宗の死因を調べるよう訴える柳慕白(りゅう・ぼはく)を父・擎天(けいてん)は一喝した。それもそのはず、柳宗は無顔道士に刃向ったがゆえに殺されたのだ。慕白がその場を立ち去ったあと、擎天は無顔道士に問う。 “まさか私の実の息子を殺す気なのか”と…。
仮面の道士に扮した牧塵(ぼく・じん)の罠にハマり、“真言丹”――口にすると、真実を語ってしまう丹薬――が混ざった酒を飲んでしまった血弑(けつ・しい)。それにより、洛璃(らく・り)が嫁げば洛神族を襲わないという血(けつ)神族の族長・血霊子(けつ・れいし)の言葉は嘘で、婚儀が済めば洛神族を根絶やしにするつもりであることを知った洛璃は愕然とする。“意味を成さない犠牲は単なる愚行だ”。牧塵の説得に洛璃は…。
主力部隊が不在の牧(ぼく)都をなかなか落とせないことに柳擎天(りゅう・けいてん)は焦っていた。明日こそ城を落とせと言われても、霊力の消耗が激しい戦陣師たちをすぐに回復させるなど、できるはずもない。そう嘆く擎天に、無顔(むがん)道士はある秘策を授けるのだった。そして翌日。柳域軍の攻撃は激しさを増し、牧塵(ぼく・じん)も“護城大陣”を発動して抵抗するが、途中で霊力が尽きてしまう。もはやこれまでかと思ったその時…。
“低語の力”で、強さと引き換えに自我を失った捕虜たちを目にした牧塵(ぼく・じん)と唐(とう)域の域主・唐山(とう・さん)。柳(りゅう)域の兵たちがあの力を得れば、危機的状況は免れない。牧塵には秘策があるが、成功させるには柳慕白(りゅう・ぼはく)の助けが必要だった。その頃、当の慕白は無顔(むがん)の蠱毒に苦しんでいた。自分の命がどうなったとしても無顔の言いなりにはならないよう訴える彼に、父親の擎天(けいてん)は…。
柳慕白(りゅう・ぼはく)と唐芊児(とう・せんじ)の結婚式当日。花嫁衣裳に身を包んだ芊児に笑顔はなかった。事情を何も知らない芊児にとって、慕白は友を殺し、仲間を裏切った悪の手先でしかないのだ。「あなたには失望したわ」――そう慕白に告げた芊児の目から一筋の涙がこぼれる。心がすれ違ったまま結婚式が進行する裏では、作戦を実行に移すべく、牧塵(ぼく・じん)が九幽(きゅうゆう)の力を借りて“大千化魔陣”を発動させ…。
家族も柳(りゅう)域も失ってしまった。柳慕白(りゅう・ぼはく)にとって、それは生きる意味をなくしたも同然だった。絶望と自責の念にとらわれ、命を絶とうとする慕白。すんでのところでそれを止めた牧鋒(ぼく・ほう)は、霊陣に入りながらも死なずに済んだのは、父の擎天(けいてん)が、我が身が灰と化すのを覚悟のうえで救ってくれたからだと慕白に告げるのだった。一方、無顔(むがん)道士から黒瞑血呪をくらい失明した牧塵(ぼく・じん)は…。
柳慕白(りゅう・ぼはく)に会うために柳域を訪れた牧塵(ぼく・じん)・譚青山(たん・せいさん)・洛璃(らく・り)。荒れ果てた柳域の様子に戸惑いながら慕白を探す3人だったが、彼の姿はどこにも見当たらない。どうやらすでに唐芊児(とう・せんじ)と共に旅立ったあとのようだ。やむを得ず柳府で夜を明かした彼らは、五大院の最上位・北蒼霊院へ。師姉の葉笋児(よう・じゅんじ)に学院内を案内されている最中、牧塵は強い霊力を感じ…。
北蒼霊院に来てからというもの、柳慕白(りゅう・ぼはく)は一心不乱に鍛錬を重ねて身体を酷使し続けていた。すべては強くなって柳域の再興と仇討ちを果たすため。そのあまりに痛々しい様子を心配し、寄り添おうとする唐芊児(とう・せんじ)だったが、慕白はそんな彼女すら拒絶するのだった。一方、牧塵(ぼく・じん)の目を治したい洛璃(らく・り)は、治療に必要な玉結草のある雷(らい)域に入るべく、牧塵には内緒で霊値稼ぎをすることを決め…。
柳慕白(りゅう・ぼはく)は沈蒼生(しん・そうせい)と対峙した。実力は確かながら、北蒼霊院で最も優秀と名高い蒼生にはかなわず、敗北を喫する慕白。伸びしろはあるものの心が魔にとらわれてしまっている慕白を見て、このまま放っておけば道を誤りかねないと危惧した蒼生は、彼の力になろうと試みる。しかし、その心を開かせることは難しかった。事の次第を聞いた牧塵(ぼく・じん)は、“僕に良策があります”と蒼生に告げ…。
謎めいた女に突然攻撃された牧塵(ぼく・じん)は、奇妙な場所に閉じ込められてしまった。「僕たちは今どこにいる?」――目が見えない牧塵は体内の九幽(きゅうゆう)に尋ねるが、彼女にも感知できないようだ。一体ここは何なのか。霊陣で作り出した空間のようだが、陣の核がない。何か見落としているはずだと、牧塵はあたりを手探りで調べ始めるのだった。一方、沈蒼生(しん・そうせい)から指導を受ける柳慕白(りゅう・ぼはく)は…。
牧塵(ぼく・じん)の霊力が暴走しかけていた。北蒼霊院の学院長・霊溪(れい・けい)が抑え込んで事なきを得たが、この現象は暴虐に満ちた暗赤色の霊力が経脈に流れていたことが原因らしく、さらには鶴邀(かく・よう)の治療法とも関係しているという。牧塵の目を治したとはいえ、禁術を研究している鶴邀を危険視する霊溪は、副作用が大きく、九幽(きゅうゆう)までも浸食するような治療はやめるべきだと、牧塵に忠告するのだった…。