江戸時代屈指の剣の達人であり、剣を世渡りの手段(商売)としながら、軽妙洒脱に生きる秋山小兵衛の人生と事件を描いた、池波正太郎原作の本格時代劇。池波文学ならではの味わい深い人間ドラマに、ダイナミックな立ち回りシーンが魅力。
■キャスト
秋山小兵衛:藤田まこと
秋山大冶郎:渡部篤郎
佐々木三冬:大路恵美
おはる:小林綾子
弥七:三浦浩一
長次:木村元
嘉助:江戸屋猫八
おもと:梶芽衣子
田沼意次:平幹二朗
永井和泉守:勝部演之
牛堀九万之助:竜雷太
■スタッフ
監督:富永卓二
蔵原惟繕
岡屋龍一
三村晴彦
小野田嘉幹
井上昭
冨永卓二
舛田明廣
酒井信行
脚本:古田求
野上龍雄
井手雅人
下飯坂菊馬
田村惠
原作:池波正太郎
剣術指南の小兵衛は道場を息子・大治郎に譲り、隠居した。そのころ、旗本・永井の息子・右京と、老中・田沼意次が側室に生ませた三冬との縁談が進んでいたが、女剣士の三冬は自分より腕のたつ人を夫にしたいという。ところが右京は剣はまるでだめ。困り果てた永井家の用人は、剣客商売の大治郎にとんでもない話をもってくる。
井関道場の四天王の一人、渋谷が殺された。渋谷は腕は一流だが、欠点は大酒飲み。その日もしたたか酒を飲んでいた。井関道場では、道場主亡き後、後継者を巡って四人が争っていた。残る三人のうち、誰が一番強いか、田沼意次の前で雌雄を決する事になった。小兵衛は三冬の代理で、渋谷を殺したと思われる小沢と対決する。
金太郎は剣の腕はたつが腰の定まらない風来坊。その金太郎に、大治郎を五十両で殺してほしい、という仕事が舞いこむ。小兵衛が調べてみると、一件には先の武道試合で大治郎が討ち負かした男が関係していた。
三冬は意次の家来・平助が財布をすられるのを目撃。平助に黙ってすりからその財布を取り返した。ところが中には毒薬と思われる粉末が入っていた。小兵衛は何者かが平助を使い意次暗殺を計画しているとにらむ。
森川道場に山猿のような武芸者が現れ、門弟たちを一撃のもとに倒した末、道場主・森川をも倒して立ち去った。噂が広まれば、事は森川道場の死活問題になる。門弟たちは必死で武芸者を捜した。数日後、大治郎は、修行中、世話になった小諸の剣豪・孫介と出会う。消息を絶った息子の源太郎を捜しているという。先の武芸者は源太郎らしいのだが・・・。
町で悪さをした三人の無頼旗本が、おせきというばあさんに、川へ放り投げられた。おせきは近所でも有名な力持ち。三人が仕返しに来ると考えた小兵衛は、おせきの家を見張る事にする。だが、三人は、ただの無頼ではなかった。
小兵衛の剣友・横川には、彦蔵という息子がいた。折から小兵衛はまんじゅう屋夫婦が何者かに脅迫されている事件に関わっていた。この事件で、殺し屋として小兵衛の前に現れた浪人は、彦蔵だった。
小兵衛の恩人・村松には、伊織という息子がいた。何不自由なく育ったその伊織が、女遊びでヤケドをした。こともあろうに香具師の元締・辰蔵の一人娘・お照に手を出したのだ。娘を傷ものにされたと、辰蔵は激怒した。だが、お照は伊織と添い遂げる気でいる。小兵衛は伊織をかくまう事にする。
小兵衛が剣術を教えた千代太郎(片桐光洋)が江戸に戻ってきた。千代太郎は小兵衛の旧友・笹目庄平の息子だが、勝つ事だけに喜びを覚え、修行を積んでいた。千代太郎の目的は小兵衛に勝つ事だった。
町医者・村岡の娘・房野が誘拐された。犯人はどこかの旗本か大名らしく、娘の命と引き換えに毒薬を調合するよう、村岡に要求してきた。相談を受けた小兵衛は、弥七らに不審な動きのある屋敷を捜索させる。