台湾の黒社会組織の殺人兵器として養成された少女グラス・ハート。彼女は自殺を図るが、シティーハンターのパートナー、香の心臓を移植され一命を取りとめる。蘇ったグラス・ハートは組織を抜け出し、香の記憶に導かれるように新宿のリョウの元へ。やがて二人は香の心臓という絆で強く結ばれた、父と娘としての生活を送り始めるのだった。
■キャスト
グラス・ハート:川崎真央
冴羽リョウ:神谷明
槇村香:伊倉一恵
野上冴子:麻上洋子
海坊主:玄田哲章
■スタッフ
原作:北条司
監督/演出:平野俊貴
チーフプロデューサー:諏訪道彦
吉岡昌仁
植田益朗 ほか
制作著作:読売テレビ
トムス・エンタテインメント
アニプレックス
読売テレビエンタープライズ"
台湾マフィアに殺人マシンとして養成されたグラス・ハート。彼女は自殺を図るが、心臓移植を受けて一命を取りとめた。一方“シティハンター”こと冴羽リョウは1年前に最愛のパートナー槇村香を交通事故で亡くしていた。その直後、香の心臓が強奪されるという事件が起きる。
意識を取り戻したグラス・ハートは組織から逃亡。そして眠り続けていた間に夢の中で見た、香とリョウに導かれるように新宿を目指す。しかしそこでヤクザに絡まれた彼女は発砲し、車を爆破させる派手な事件を起こして警察に追われる。そしてまた何者かに導かれるように、リョウの親友・海坊主が営む喫茶店に現れる。
海坊主から「香が戻ってきた」と聞かされた冴羽リョウは、彼女を追って新宿の街をさまよう。そのころグラス・ハートは、リョウに会いたい一心でXYZの謎の暗号を探していた。そしてその暗号を新宿駅にある伝言板に書き込めば、リョウに会えると知ったグラス・ハートは、香の幻に導かれるように伝言板を捜し求める。
ドクの診療所に運ばれ意識を取り戻したグラス・ハートは、自分に移植された心臓の持ち主・香と対峙する。しかし、自分の体を乗っ取られたように感じるグラス・ハートは香に反発する。その頃、逃亡したグラス・ハートを追って台湾マフィア・正道会のボス・李大人が極秘に来日するが、李は何者かに狙撃される。
正道会のボス・李大人が狙撃され、危篤に陥った。正道会は狙撃犯と目されるグラス・ハートを血眼になって探し回り、新宿の街は殺気立っていた。一方、逃亡を続けるグラス・ハートは生きる理由を見失い、拳銃で胸を打ち抜こうとするが……。
リョウの前に、狙撃されたはずの李大人が現れた。実は狙撃されたのは影武者の李の双子の弟・謙徳だったのだ。グラス・ハートが自分の実の娘であることを明かし、自殺を図った娘の命を救うために、香の心臓を奪ったことを告白する。
グラス・ハートがついにリョウの前に現れた。青龍部隊の兵士たちが歌舞伎町に集結し、血眼になって2人を捜す。命がけで自分を守ろうとするリョウに、グラス・ハートは「奴らの狙いは私。私を殺して彼らに渡せばいい。私はあなたに心臓を返しに来たのだ」と告げる。
リョウは青龍部隊との銃撃戦に備え、グラス・ハートを連れて封鎖地区のホテルへとたどり着く。そこには海坊主や冴子、ドクら仲間たちがリョウとともに戦うため待ち受けていた。そこ青龍部隊の斥候が潜入し、グラス・ハートは単身で立ち向かってゆく。だがその男はかつて彼女が殺したはずの仲間だった。
グラス・ハートの命を狙う青龍部隊とリョウらとの戦闘が始まった。そんな中、訓練生時代に最終試験で殺し合いを命じられ、殺したと思い込んでいた信宏がグラス・ハートの命を守るため現れる。だが、その信宏こそが李大人を狙撃した男だった。
青龍部隊は李大人配下の玄武部隊に鎮圧され、リョウたちは窮地を救われた。李大人はそこで初めて我が娘をその腕に抱く。そしてリョウは、李大人を裏切ってその暗殺を指示し、グラス・ハートに狙撃犯の濡れ衣を着せた青龍部隊司令官の張を始末する。
グラス・ハートに実の父親であることを名乗らない決意をした李大人。リョウは自分が父親代わりになり、彼女を引き取ることにする。グラス・ハートは名前がないことに苦しんでいたが、香瑩(シャンイン)という名前だったということを知る。
李大人の影武者として生きてきた双子の弟・謙徳の葬儀がひっそりと行われた。リョウにわけも分からず葬儀に連れてこられた香瑩は、リョウに促されるまま謙徳の遺灰を海にまく。その姿を見て、李は謙徳が喜んでくれているに違いないと感じ、涙をこぼす。
リョウと香瑩は“親子”として一緒に暮らし始めた。香の心臓を移植された香瑩は自分の命が長くないと感じ、リョウを悲しませるのではないかと不安を募らせていた。
リョウと香瑩の新しい生活が始まり、リョウはシティーハンターの仕事を再開する。その依頼第1号は遊び人風の若い女・凪砂。彼女は、ナンパした男に睡眠薬を飲ませて金を抜き取る常習犯だった。リョウにはやる気になれない仕事だったが、ある考えがあってこの仕事を引き受けることにする。
シティーハンターの仕事に興味を持ち始めた香瑩は、リョウが見落とした依頼を見つけ、一人で依頼人に会いに行く。だが依頼人に会ってみると小さな女の子で、依頼は父親を探して欲しいという。特徴を聞き出すと、それはまさにリョウにピッタリだった。リョウも「心当たりがありすぎて」と否定せず、香瑩は憤慨する。
ターニャの父親・倉橋が姿を消したのは、彼が秘書をしていた国会議員・岸本に利用され、横領の濡れ衣を着せられた為だった。香瑩は岸本を消せばいいと考え、一人で狙撃の準備を開始する。倉橋から全ての真相を聞いたリョウは、香瑩とは違う方法で事件を解決しようと考える。
香瑩は、リョウと香が初めて出会った時の夢を見るようになっていた。新宿の街で若き日のリョウが何者かに撃たれ、それを助けたのがドクの診療所で働いていた看護学生の香だった。だがリョウの免許証もパスポートも偽造だとわかり、香の兄で刑事の槇村はその身柄を引き渡すよう求めるが…
香瑩は夢の中で、リョウと香の出会いを見守り続けていた。意識を取り戻したリョウは、意識の戻らないフリをして、凶器を隠し持って身構えていた。だが香は眠り続けるリョウを胸に抱き寄せ涙をこぼす。リョウはこれまでに感じたことのない安心感に包まれる。そんな二人の心情を、幼い香瑩がそばで手に取るように感じていた……。
幼い頃から殺人マシンになるべく育てられた香瑩と信宏は、楽しく食事をするとか、心に余裕を持って生活を楽しむという人間らしい喜びを知らずに生きてきた。それを憂えるリョウは、正道会の陳侍従長が開店した中華料理店で、2人を働かせることにする。そこへ根堀組長と若頭の餅山が店に因縁をつけにやってくる。
茅野 夢という少女から、父親を殺した犯人を捜して欲しいという依頼が入る。彼女はかつて香瑩が暗殺した男の娘だった。夢は父親が本当は何者だったのか、それも調べて欲しいという。リョウは香瑩にこの依頼を断ってもいいと言うが、香瑩は傷つくのを覚悟でこの依頼を受け、夢と向かい合う決意をする。
夢がバイオリンコンクールに出場することになり、香瑩に自分の演奏をぜひ聴いて欲しいと招待する。ドッグウォーカーが夢の命を狙うには絶好の機会だが、夢は自分が狙われていることを知らない。コンサート当日、香瑩は、夢に警護を気づかれないよう最前列の席で彼女を見守る。
夢はドッグウォーカーの罠にはまり、父親を殺したのがグラス・ハート(香瑩)だと知ってしまう。ショックを受ける夢は、さらに香瑩を殺すよう仕向けられ、眠る香瑩に銃を向けるが、夢には引き金は引けなかった。意識を取り戻した香瑩は、夢がその事実を知ったことを聞いて愕然とする。
ドッグウォーカーを倒した香瑩はついに夢と対峙する。香瑩は自分に憎しみを抱く夢に拳銃を握らせると、自分を撃って父親の仇を討つようにと迫る。やがて銃から伝わってくる香瑩の心臓の鼓動が、夢をやさしく包み込んでゆく。夢はついに銃をおろすと、泣きながら香瑩の胸に飛び込んだ。
香瑩はこれまでの自分の過去を静かに回想していた。暗殺者として人の命を奪うことに苦しみ、自殺を図った彼女は、新しい心臓を与えられ、導かれるように新宿へとやってきた。そしてこの街で出会った冴羽リョウと彼の仲間たちによって、香瑩は人として生まれ変わり、その人生は大きく変わり始めた…
リョウと香瑩は、食堂の主人・裕介から、自分と双子の弟・裕司を一緒に殺してほしいという依頼を受ける。実の親に捨てられ、裕司は自分を捨てた両親や世間を恨み、いまや手のつけられない極道になっていた。裕介は、そんな弟を止めるには、一緒に死ぬしかないと考えた。リョウはその依頼を承諾し、香瑩を驚かせるが……。
極道の弟・裕司の暴走を案じる兄・裕介から、兄弟一緒にクリスマスイブの日に殺してほしいと依頼を受けたリョウと香瑩だったが、その裕司が組の本家から命を狙われていることを知る。香瑩はリョウが本当に兄弟を殺すつもりなのか、その真意を計れないでいた。
香瑩は公園で出会った画家・夏目をひと目見てなぜか無性に胸の鼓動が高鳴る。街角で彼の個展のポスターを見かけた香瑩は、そこに描かれた絵に目を奪われた。それは若き日の香の姿だった。夏目は中学時代に香を描き続けた同級生だったのだ。当時の香の話を聞きながら、ますます夏目に心惹かれていく香瑩。
香の中学の同級生だった画家の夏目と出会い、初めて恋をした香瑩。告白したものの、夏目に会いに行かずひとりで悩んでいた。そんな中、夏目から今夜画廊に来て欲しいと連絡が入る。呼び出された香瑩は、彼が中学のときに描いた香の肖像画を、彼女の代わりに受け取ってほしいといわれて驚く。
妹を捜してほしいと依頼をしてきた女性はなんと香の姉・早百合だった。香がすでに3年前に亡くなったと聞かされ愕然とする早百合は、香の心臓が香瑩に移植されていると聞いても、その現実を受け入れられなかった。さらに香がリョウとともにシティーハンターという犯罪者まがいの仕事をしていたことを知り……。
香の姉・早百合は、香瑩に危険なシティーハンターの仕事をやめさせ、最高の医療を受けさせるためにもニューヨークに連れて帰りたいと言い出す。だが香瑩は、香の思い出の詰まった場所へ早百合を案内し、香になり代わって、この街への熱い思いを語り始める……。
早百合は香の記憶を夢として見ていた。香の義理の兄で警察官の槇村は、実は裏でリョウと組み、法で裁けない人間を裁くシティーハンターとして活動していた。それを知った香は、父が殉職したときのような辛い目にはあいたくないと槇村に訴えるが……。
かつて信宏とともに青龍部隊にいた仲間・白蘭が突然彼の前に現れた。信宏が死んだと思っていた白蘭は、彼が生きていたことを知って喜びの涙をこぼす。部隊内で孤立していた信宏に唯一思いを寄せてくれたのが、彼女だった。自分の任務について一切語らない白蘭だったが……。
かつての仲間・白蘭が暴力団・隼鷹会に潜入し、死を覚悟して幹部・早川暗殺の手引きという危険な任務についていることを知った信宏は、彼女のため自分も組織に潜入すると言い出す。だが香瑩は組織に面が割れている信宏に代わりに自分が動くといい、熱くなった彼を止める。
早川暗殺の手引きをするため隼鷹会に潜入した白蘭だったが、今や早川を実の父のように慕い、組織を裏切ってでも彼の命を守ろうとしていた。香瑩からそれを聞いた信宏はショックを受ける。白蘭に会うため彼女の部屋を訪れた信宏は、白蘭から暗殺の決行日が1週間後であることを聞き出す。
信宏の助けで朱雀の暗殺者は撃退したが、すでに仕掛けられていた爆薬で、早川の別荘は炎に包まれていた。白蘭は早川を助けようと信宏の制止を振り切って単身中へ飛び込むが、そこには拳銃を構えた早川の姿が。だが白蘭はひるむことなく「あなたに撃たれるなら本望だ」と、その銃口に向かって進んでいく……。
新宿西警察署署長・冴子の自宅に、指名手配犯の潜伏場所の写真など、捜査の重要な手がかりとなる物が何者かから届けられた。冴子はそれが1ヶ月ほど前から自分につきまとっている不思議な女の子の仕業ではないかと感じていた。その女の子は「幸運の少女」と呼ばれ、都市伝説のようになっていた。
新宿繁華街の片隅。少女が絵本を読んでいるところに通りかかった海坊主は、その子の声になぜか魅了され、足を止めて聞き入った。その少女こそが冴子をも腑抜けにしてしまった不思議な少女・ミキであることを知った香瑩とリョウは、新宿地下街跡の廃墟に、ミキがひっそりと一人で住んでいることを突き止める。
地下街跡に戻ったミキを追ってきた香瑩。だがミキには香瑩の中にいる香の姿が見えていた。香はミキの母も自分と同じく、心だけの存在となって、いつも一緒にいるのだ……と話して聞かせ、死というものを易しく伝えようとする。明け方、ミキを呼ぶ声に目覚めるとそこには優しく微笑むミキの母親の姿があった。
来日中の女優ジョイ・ロウから、休養のため1週間自分に成り代わってスケジュールをこなしてほしいとの依頼を受けたが、暴漢に襲われ誘拐されそうになる。何者かがジョイを狙っていると知った香瑩は、ジョイとプロデューサーのチャンに「はじめから襲われることを知っていて、隠していたのではないか?」と詰め寄る。
消えたジョイ・ロウを探すため、ホテルから飛び出した香瑩とプロデューサーのチャンのもとに冴子がパトカーでやってくる。そこにもジョイに変装した香瑩を狙って、敵が襲撃してきた。パトカーが爆破されるほどの騒ぎとなる。そのころジョイはキャッツアイを訪れ、海坊主にここに匿ってほしいと頼んでいた。
ミキが住んでいた地下街跡からの帰り、バー・キリエに寄り道するジョイと香瑩。ジョイは愛した国王の落とし胤であるミキを見つけ彼女が幸せだとわかった今、自分がすることは全て終わり、自分の居場所がもうこの世にないと語る。そんな彼女に、酔って寝てしまった香瑩の中から香が現れ語りかける……。
女の子専用携帯電話を落として落ち込むリョウ。だが拾い主と連絡がとれ会いに行くと、拾った女性はニュースキャスターの浅倉朋美だった。携帯に何十人もの女性から電話がかかってきたことから、リョウを勝手に売れっ子ホストだと思い込み、今ホスト業界を取材しているから協力して欲しいと強引に頼み込んでくる。
坂東から、彼はリョウが「闇のスィーパー、シティーハンターだ」と聞かされるが朋美は信じない。その帰り、朋美は何者かに誘拐されてしまう。昨晩リョウを襲ったヒットマンが持っていた部隊章を香瑩から手渡され、リョウは驚愕していた。それは傭兵部隊・黒豹の部隊章で、その女頭・楊芳玉からのリョウへのメッセージだった。
自宅にいた香瑩のもとに楊が飛び込んでくる。楊が会いに来たのには他にも理由があった。それは楊の持つアタッシュケースに関係していた。
生物兵器のワクチンを作らせるために楊が軟禁していた学者たちが何者かに連れ去られた。それが傭兵のマックスの仕業だとにらんだ楊は、リョウたちに彼を捕まえさせ、眠らせている間に体内にGPSと盗聴器を埋め込み、黒幕と接触をするのを待つ作戦をとる。
チェンが自分をだましていたことを知った楊は怒りのあまり海に飛び込み、泳いでチェンがいる船に向かってしまう。リョウと香瑩が追っかけ船に到着すると、すでにチェンと対峙する楊の姿が……。
町で偶然ぶつかった女性が、香瑩を見るなり「もうすぐ暴走車が渋滞に突っ込んで大惨事になる」といって助けを求めてきた。しばらくすると彼女のいうとおり暴走車が走ってきて、香瑩はとっさにサイレンサーつき銃でタイヤを撃ち抜く。その後、偶然再会したその女性は人気占い師・麗泉だった。
新宿署勤務の島津は、上司からの縁談を断わって、恋人スジョンと結婚したが、ほどなくして春日村の駐在所に左遷された。人の未来が見える占い師の麗子には、この結婚が島津の人生の歯車を狂わせ、1ヶ月以内に死が待っていることを予見していた。それを知った信宏は、なんとか島津を救おうと奔走する。
銃声を聞いて自転車で急ぐ島津。一方、香瑩も犯人と思しき男を追っていた。向かっている先はどちらも島津が拳銃で撃たれて死ぬと麗子が予知した場所。現場では信宏が待機していたが、先に現れたのは酔っ払った麗子だった。だが次の瞬間、逃げてきた男が飛び出してきて、麗子が人質にとられてしまう・・・。
クリスマス直前でにぎわう新宿。ワクチンが完成して楊芳玉が帰ってきた。だが楊には他に目的があった。それは、香瑩をある結婚式に連れてゆくことだった。わけもわからず式場にやってきた香瑩は控え室で花嫁のスゥチンを一目見た瞬間、心臓の鼓動が高鳴り、涙が止まらなくなる。