母親を亡くした透はテントで一人暮らしをしていたが、
その場所が由緒正しい『草摩家』の敷地だったことが縁で草摩由希、草摩夾と一緒に住むことに。
ところが、草摩家は何百年も前から忌まわしき『呪い』に縛られていた。
由希、夾、そして草摩家の皆と交流を深める透は呪いを解こうと奔走するも、
解決の糸口は全くつかめない。それどころか、草摩家の当主である草摩慊人が
女性だったという最大の秘密を知り言葉を失くしてしまう。
『神』の慊人と『十二支』の皆をつなぐ“絆”、それは儚く脆い悲しみの螺旋……。
しかし、終わらない宴はない――誰もが忘れた最初の記憶、最初の約束。
その向こうで由希を、夾を、そして透を待っているものとは……。
■キャスト
本田透:石見舞菜香
草摩由希:島﨑信長
草摩夾:内田雄馬
草摩紫呉:中村悠一
草摩楽羅:釘宮理恵
草摩紅葉:潘めぐみ
草摩潑春:古川慎
草摩はとり:興津和幸
草摩綾女:櫻井孝宏
草摩杞紗:上田麗奈
草摩燈路:大地 葉
草摩利津:河西健吾
草摩依鈴:豊崎愛生
草摩紅野:梅原裕一郎
草摩慊人:坂本真綾
草摩楝:折笠愛
草摩晶:石田彰
草摩藉真:森川智之
魚谷ありさ:種﨑敦美
花島咲:佐藤聡美
本田今日子:沢城みゆき
真鍋翔:江口拓也
倉伎真知:加隈亜衣
■スタッフ
原作・総監修:高屋奈月「フルーツバスケット」(白泉社・花とゆめCOMICS)
監督:井端義秀
シリーズ構成:岸本卓
キャラクターデザイン:進藤優
美術監督:神山瑶子
色彩設計:菅原美佳
撮影監督:蔡伯崙
編集:肥田文
音響監督:明田川仁
音楽:横山克
音楽制作:トムス・ミュージック
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:フルーツバスケット製作委員会
慊人は男性ではなく、女性だった。生まれた日から母親の草摩楝によって男性として育てられてきたのだ。その本意は不明だが、はっきりとしているのは慊人と楝が憎しみあっていること。そして、紅野が慊人から離れられないという事実。哀しさが螺旋のようにつながり、へたりこむ透。そんな透の前に現れたのは……。
慊人が女性だということ、母親の楝と確執があること、紅野が呪いから解放されていること……卒業式の準備で騒々しいなか、透はその話を口にしていいものか悩んでしまう。一方、紫呉は満と食事に出かけるも偶然、両親と鉢合わせる。どうやら同じ店で草摩本家の会食が行われるらしい。当然、そこには慊人の姿もあって……。
卒業式が近づくなか、由希は真知に関する不穏な噂を耳にする。なんでも、実の弟を死なせようとして家を追い出されたのだという。真鍋が言うには、その噂はかなり真相に近いようだ。しかし、それでも由希は信じられずにいた。こうなったら直接本人から聞いてみようと真鍋が提案し、2人は真知の家へ向かう。
由希から依鈴の入院先と容態を聞かれる潑春。だが、詳しくは知らないと答えて何やら上の空な様子。「どうにもなんなくなったら……慰めて」と言い残して楽羅の家に向かうも、潑春は燈路から依鈴はまだ戻っていないと聞かされる。その頃、紅野は草摩本家の座敷牢で驚愕の光景を目撃してしまい……。
女子生徒が廊下ですれ違った生徒に黄色い声を上げる。その生徒とは、急に成長して大人っぽくなった紅葉だった。まだ子供らしい一面も残っているが、背が伸びて嬉しいと話す表情からは今までのあどけなさは感じられない。一方、潑春の一件以来、部屋に閉じこもっていた慊人はとある夢を見て慌てて紅葉の元へと向かう。
藉真の家で療養する依鈴に、呪いはいずれ解けると紫呉は語る。その会話に、「いずれとは……いつですか」と割り込む透。次の春までに解けなければ夾は幽閉されてしまうのだ。しかし、そうなるのが猫憑きの役目だと紫呉は冷たく言い放つ。そして、「君は、夾のことを……」と問うが、透は思わず逃げ出してしまう。
蓋をしていた記憶に苛まれる夾。一方、紫呉は楝の話し相手になっていた。慊人の父親である晶と楝は出会うべくして出会ったという。だが、楝は生まれたばかりの慊人に嫉妬し、晶が亡くなってからこれまで彼の亡霊に取り憑かれている有様。紫呉との会話で取り乱した楝は、挙句の果てに刃物を手にして慊人と対峙する。
透は話があると夾を呼び止める。ところが夾も聞きたいことがあると言い、とある質問をする。が、その反応に嫌な予感が的中したと感じてその場を去る。追いかける透に、今日子のことを知っていたと語る夾。藉真に引き取られて間もない頃、2人は出会った。度々会う内に今日子から自身のこと、そして透のことを聞いて……。
透は小刀を持った慊人を前に語る。永遠や不変を繰り返し口にするのは寂しくて怖くて仕方がないからだと。放たれる言葉ひとつひとつが胸に染み入り、慊人は森へと逃げ出してしまう。追いかけ、友達になってほしいと手を差し伸べる透。そっと心に寄り添うような眼差しに慊人の心が傾きかけたその時、透の足場が崩れて……。
透が病院に運ばれた日以来、夾は行方をくらましていた。入院している透の元にも顔を出さず、透も何も話そうとはしない。透の退院当日、夾は家を出るため荷物をまとめていた。由希は「逃げるのか」と問う。そして、透を守れないと答えた夾に強烈な蹴りを見舞った。2人は取っ組み合い、今まで秘めていた感情をぶつけ合う。
退院した透は、夾を前にしてつい逃げ出してしまう。会ったら笑おうと決めていたのに。うじうじ引き摺らないように、皆を、夾を困らせないようにと笑う特訓までしていたのに、涙があふれて止まらない。しかし、夾の口から発せられた「一緒にいたい」という言葉が、透を、夾を無敵にする。それは約束の終わりを意味していた。
真知に会いたいと、由希は家から飛び出した。大勢の人がいる中で自分一人を見つけ、想ってくれるのは幸福なことで、由希と真知はお互いを奇跡みたいな存在だと自覚する。その時、「遠い遠い約束を……守ってくれてありがとう」という声が聞こえた。とうとう由希の呪いも……自然と流れる涙を拭い、由希は真知を抱きしめる。
卒業式が終わり、透と夾の新しい門出が近づいていた。部屋を片付けた透は初めてこの家にやってきた時を、宝石のような愛しい日々を懐かしむ。愛した分だけ、別れは寂しい……そう言って涙する透を抱きしめる夾。これから2人の、新しい宴が始まろうとしているのだ。そして由希も、透に本当の気持ちを、感謝の想いを伝える。