人に心がある限り、悩みを抱える者がいる。
そこに“怪”が入り込み、身体に奇妙な症状を引き起こす。
“怪病”と呼ばれるその病は、人知れず、だが確かに存在している
現代医学では治す手立ての見込めないその病に
弟子と共に立ち向かう医者がいた。
その名はラムネ
風貌は決して医者には見えず、どんな時も自由にふるまい、
さらに口まで悪い。
けれど ひとたび怪病に向き合えば 患者たちが心の底に隠していた悩みの原因を、瞬時に暴いて治療する
そしてその先には―― 。
■キャスト
ラムネ:内田雄馬
クロ:永塚拓馬
彩芽:植田佳奈
丹己:岡本信彦
紅葉:諏訪部順一
■スタッフ
原作: 阿呆トロ (講談社「シリウスKC」より刊行)
監督:大庭秀昭
シリーズ構成・脚本:久尾 歩
キャラクターデザイン:佐藤陽子
サブキャラクターデザイン:小林利充
音響監督:高桑 一
音楽:織田哲郎
音楽制作:キングレコード
アニメーション制作:プラチナビジョン
製作:「怪病医ラムネ」製作委員会
不思議な存在“怪”が人の心に作用してかかる病「怪病」。現在の医学では解明できないその病の専門医・ラムネのもとに、目からマヨネーズが出るようになり困っていた琴がやってきた。ラムネの弟子・クロに声をかけられ連れて来られたのだ。マヨネーズ以外にも調味料が出てくると言う琴に、ラムネは治療のためある怪具を差し出す。
ラムネのもとを訪れたのは、陰茎が竹輪になったという青年・健吾。何か理由があるはずだが、健吾はそれを語ろうとしない。「一時的にでも何とかしてほしい」と懇願する健吾に対し、ラムネはある怪具を手渡す。健吾はそれを手に、由美という女性とデートの相談を始めるが……。
ラムネから、怪具「障子目」を通して怪具屋に来ないかと声をかけられたクロ。クロが訪れた先にあったのは「怪具屋あかつき」だった。一見駄菓子屋のような店の奥で怪具を販売しているのだ。店主の丹己とその曾祖母で先代店主だった前世の記憶を持つ少女・彩芽と知り合い、怪具作りを興味津々で見ていたクロだったが、そこに見知らぬ男が現れる。
指先が唐辛子になった高校生・隆晴がラムネのところに相談にきた。隆晴は、自分が怪に憑かれた理由に心当たりがあるようだ。ラムネが貸し出した怪具「爪錐」は、自分を隠すことなく曝け出すと嚢中から出せるようになる。隆晴の手では嚢の紐を解くことすら叶わなかったが……。
神社に来ていた少年・理央。彼の母親は、耳が餃子になるという怪病にかかっていた。思い当たる理由がないと言う母親だったが、他人の声だけでなく理央の声さえも聞こえないことに困惑。ラムネはそんな彼女に、「聞こえる声と聞こえない声」があること、そして心の問題であることを告げ、「様子見」だと告げる。
母親の耳が餃子になったのは、誘拐事件にあった兄の優を想ってのことと知った理央。その原因は自分にあると責任を感じていた。優を探そうと崖から転落しかけた理央を、ラムネは身を挺して助け、自らが大けがを負ってしまう。ラムネを助けるため、ラムネが母親の治療のために渡した怪具「夜声真珠」を使い、理央の声が聞こえない母親に必死に語りかける。
クロのクラスメイト・青菜は、頭からポップコーンが飛び出すようになって困っていた。飛び出たポップコーンが消えてしまうことも悲しいと言う青菜に、ラムネはポップコーンを保管する怪具・怪守巾着を貸し出す。なぜポップコーンが出てきたのか、どうして消えたら悲しいのか。ラムネは青菜に自分の心に聞けば治す方法が見えてくると告げるが……。
青菜の頭からポップコーンが飛び出すようになったのは、大好きな創作を父親に禁止されたからだった。青菜の身を案じたクロは、青菜の母親に助けてもらおうと入院しているという病院へと駆け込むが、青菜はポップコーンでいっぱいになった怪守巾着を空に飛ばしてしまう。クロとラムネは怪守巾着を取り戻すため、病院を飛び出した。
有名な怪具作家・レネットから宝探しの招待状をもらったラムネは、クロとともにレネット邸を訪れる。そこには、同じく宝を探しに彩芽と丹己も来ていた。しかし、二人と一緒にいた人物を見て、ラムネは表情を凍りつかせ、その場から逃げ出そうとする。その人物とは、ラムネの師匠・紅葉だった!
幼い頃、普通の人には見えていないものが見えていたクロ。あるとき病院に連れて行かれて以降、家族に心配をかけてはいけないと、何も見えないフリをするようになる。しかし、年を経ても見えないものは見えるまま。さらに、砂を吐くようになり、食べることもままならなくなってしまったクロは、藁にもすがる思いでとある場所を訪れるが……。
教祖のお祓いで砂を吐かなくなったと信じるクロ。見た目が怪しいと判断してラムネを遠ざけていたが、教団はクロを修行として監禁し、断食させた。しかしクロの身を案じるラムネは、自分の身が爛れる代償のある怪具・嘘風呂敷を使って教祖に化け、教団に乗り込み、クロを助けようとする。邪魔をするなと頑ななクロに真正面から対峙したラムネは、クロの心の芯に触れる。
クロの患者としての診察の日。ラムネは医者として、クロの怪病は完治したと判断する。元々治療のかたわら弟子を務めていたクロは、診療所にもう来ない方がいいかラムネに尋ねる。本心では来てほしいと思うラムネだったが、紅葉の「お前のせいで周りの者まで不幸になる」という言葉を思い出し、クロに「無理して来なくてもいい」と言ってしまう。