橘高校3年に進級した聖美々は、高校生活最後の1年間をバレーボールに打ち込もうとした。だが1年前、同校バレーボール部は過酷な練習のために部員が亡くなった悲劇があり、事実上活動を停止していた。美々はバレー部の再建を図るため懸命に新入部員を集めようとする。そして、転校生の一条明日香が以前の学校で強豪選手だったことを知り、入部するよう働きかけるのだが…。78年に日本で開催されたバレーボール・ワールドカップを臨んで企画されたスポーツアニメーション。
■キャスト
聖美々:小山まみ
一条明日香: 吉田理保子
杉原ゆかり:小宮和枝
西すみえ:横沢啓子
関谷君子:松金よね子
太田トミ子:青木和代
白木ルミ:信沢三恵子
原大介:井上真樹夫
伏島一郎:神谷明
ナレーター:富山敬
■スタッフ
監督:黒川文男
脚本:高橋二三 / 山崎晴哉 / 七條門
キャラクターデザイン:福田皖 / 奥山玲子
音楽:越部信義
作画監督:福田 皖 / 百瀬義行 / 北島信幸
美術監督:大山哲史 / 山本二三
プロデューサー:松土隆二
かつて優秀なコーチのもとで輝かしい成績を残してきた橘高校女子バレー部。しかし、1年前に起きた過酷なしごきによる死亡事故から、いまや廃部同然。3年に進級した聖美々は、高校生活最後の1年間をバレーボールに費やそうと部の復活を目指し、親友のゆかりと共に懸命な勧誘を続けるが、「部室には幽霊が出る」というあらぬ噂のせいもあって、部員集めは難航する。
「私をキャプテンにするならバレー部に入ってもいいわよ」。そんな明日香の条件を飲んで、なんとか6人になった女子バレー部。廃部の危機は免れたものの、美々とゆかりを除くメンバーは未経験者ばかりだった。さらにキャプテンとして入部した明日香も練習に真面目に参加する気はさらさらなく、ひねくれた態度をとってばかりで部員たちとの間で溝を深めていく。一つにまとまらないメンバーの心、美々の苦悩は続く。
ギリギリの部員数に顧問の不在。さらに前年度の実績不足から予算の獲得にも失敗し、依然としてピンチの続く女子バレー部。破れたネットの修繕はおろか、揃いのユニフォームすらもてない部の惨状に、部員たちは「これじゃ解散するしかない…」、「後援会さえあれば…」とため息をつくばかり。しかし、そんな中でもバレー部の姿を見つめ、応援する人物がいたのだった。
大介という優秀な監督を得たことで、徐々にではあるが明日香も練習に参加するようになり、息を吹き返した女子バレー部。そろそろ基礎練習だけでなく試合をしたいと思い始めていた彼女たちに、初めて練習試合の話が舞い込んだ。なんと相手はマグロ船の漁師たち。突拍子もない相手に戸惑う部員だが、「試合を通じてバレーの楽しさがわかれば」と美々は試合を承諾する。
漁師たちと試合をしたことでユニフォームを手に入れ、練習にも熱が入る美々たち。しかし、練習にはやる余り、下級生たちは授業中の居眠りなどで先生たちから目をつけられてしまう。さらに、体育館の使用権を巡ってルミたちバスケ部とも衝突してしまい、ついには部員同士のケンカに発展。美々とルミの二人は一週間の部活動停止処分を受けてしまう。
美々の部活動停止処分でメンバーを欠いたバレー部ではあったが、砂浜での自主トレという形で練習を続けていた。しかし、このまま美々の一ヶ月間の処分が解けないと、せまる公式戦への出場はかなわない。「バレー部が公式戦出場辞退!?」瞬く間に学校中に広まった噂は、まとまりかけた美々たちメンバーの絆さえも危うくさせてゆくのだった…。
厳しい練習に耐えられなくなった1年生3人組が練習を放棄。しかし、その3人の前に現れたのが白バラ学園バレー部キャプテンで、1年前のしごき事件犠牲者雪子の旧友、花房みつるだった。橘高校バレー部に復讐を誓う彼女は美々たちにすさまじい威力のスパイクとともに、挑戦状をたたきつける。みつるに挑発されて1年生3人組も練習に復帰、美々たちはみつるの殺人スパイク対策に猛特訓を開始する。
地区予選も間近にせまってきた。大介は身長に勝る明日香をアタッカーに見せかけ、トスを真のアタッカー美々に回すという相手の隙をついた稲妻攻撃を提案する。美々たちはこれをものにするべく猛特訓を開始した。そんな時、橘高校バレー部は横浜港東高校から対抗試合を申し込まれる。そのキャプテン、羽鳥京子は顔面を狙って叩きつける弾丸スパイクの使い手だった。
超高校級アタッカー、京子を擁する横浜港東との対校試合がいよいよ開始。「先制攻撃をかけて相手の出鼻をくじくしか勝機はない」。序盤から美々は稲妻攻撃を指示するが、弱点である1年生トリオに狙いを定められ、思うように試合を運ぶことができない。1セット目を軽々と奪われたことで焦る美々。監督の大介に美々は作戦を求めるが、大介は「自分たちで考えてみるんだ」と突き放す。
「初めから負けがわかっている」と、練習に不参加を続ける明日香。そんな彼女の前に、白バラ学園の新キャプテンの二階堂が現れ再戦を申し込んできた。挑発されて試合を引き受ける明日香に対して、恨みや意地でする試合に気が進まない美々。二階堂にキャプテンの座を奪われた花房みつると偶然出会った美々は、みつるにキャプテンの座を取り戻してほしいと頼む。
県大会予選一回戦の相手は因縁の白バラ学園。しかし、試合開始直後に流れた消防車のサイレンに、突然明日香が硬直してしまう。実は明日香は中学2年の時に火事で母親と死別しており、サイレンによってその時の恐怖を蘇らせてしまったのだった。動きの硬くなった明日香は格好のターゲットになってしまい、集中的に狙われてしまう。一方、逆トンボレシーブをみつるに教えてしまった美々は自責の念にとらわれていた。
2セット目を迎えてもなお無得点、10対0と絶体絶命の美々たち。人間に対する不信と憎しみ…明日香の心の中に根付いた傷を知った美々は、たとえ彼女が拒もうと、ともにこれまで戦ってきた仲間として支えていこうと決意する。できる限りのことをこの試合にぶつけよう、悔いのない試合にしよう。そうしなければバレー部の危機は乗り越えられない、と美々は一度も練習したことのない秘中の秘、二段スパイクで反撃を試みる。
2回戦を前に練習に励む橘高校バレー部、しかしそこに明日香の姿はなかった。心の傷をさらしてしまったことを気にして無断欠席を続けていたのだ。他のメンバーも練習をさぼり始め、美々一人になってしまう。このままでは公式戦の出場はかなわない。人数合わせを気にしてばかりの部員たちを前に、大介は出場を辞退しようと提案。それを受け入れた美々はさっぱりとした気持ちで明日香の家を訪れる。
明日香の心の傷も癒え、新たにキャプテンに就任した美々の下、ようやく一つにまとまった橘高校バレー部。美々たちを大介は祝福するとともに、本格的な特訓を開始する。しかし、2回戦を翌日に控えることになっても具体的な対策を指揮しない大介。不信感を抱く部員たちだが、大介の真意はあくまで決勝戦、羽鳥京子率いる横浜港東高校との戦いが目的なのであった。大介の予想通り、美々たちは順調に勝ち上がっていく。
全国大会に出場することになった美々たちは国立体育館にやってきた。旅館への道中、美々たちは工事現場から落下した材木から子供を救うために飛び出し、バッグで叩き落した忍者のような少女に出会う。彼女こそ北九州代表の竜星高校バレー部のメンバーだった。竜星高校が得意とするのは、全アタッカーによる同時攻撃、竜踊り(じゃおどり)アタック。動きの読めない強力な攻撃に翻弄される美々たち…。
全国大会2試合目の相手は優勝候補と目される、北海道代表の大雪山学院に決まった。その1回戦の試合を美々たちは観戦するが、キャプテン福原の左右どちらからも繰り出すことのできる予測のつかないアタックと、ネットすれすれに打ち込まれる地吹雪サーブは温存して使われなかった。対策が分からずに焦る彼女たちを大介はなぜか寄席に連れて行く。落語好きの君子は大喜びだが、この謎の行動に美々たちは呆気にとられる。
迎えた準々決勝、美々たちの前に立ちふさがったのは、超高速の光アタックを武器とする京都代表の四条通高校。だが、大介はベンチに座ったまま出場していないゼッケン2番の選手が気になる。調べてみると、彼女はキャプテンの双子の妹で、どうやら秘密兵器らしい。美々たちは新二段スパイクを編み出し四条通高校との試合に臨むが、第1セットは取ったものの、第2セットは疲労から落としてしまう。
全国ベスト8を決め、学校内外を問わず注目株となった橘高校。校内では祝賀会も予定されるフィーバーだが、あえて美々たちはその申し出を断り、休むまもなくインターハイに向けての猛練習を開始する。全国大会優勝校の四条通高校をターゲットに新たなる攻撃パターン、Vアタックの習得に向けて特訓を続ける美々たちではあったが、そんな折、バレー部の練習をビデオで盗み撮りする怪しげな男が現れる。
美々たちを付け狙う不審なビデオの男。インターハイ地区予選が始まっても彼のビデオ撮りは執拗に続けられる。稲妻攻撃も二段スパイクも全て研究されてしまうかもしれない。不安に怯えながらも予選を勝ち進み、決勝戦では再び羽鳥京子率いる横浜港東高校と対決する美々たち。京子のスパイクは威力を増しており苦戦する。たとえビデオに撮られたとしても負けたらそれまでだ。美々は新しい技を出すことを決意する。
ビデオの男の正体、それはかつて大介のスパイクで右手をつぶしてしまい、選手生命を絶たれた等々力だった。憎しみと執念で勝ち上がってきた彼が率いる林泉女子商業は、事前のデータ収集と分析で無駄のない動きを徹底したコンピューターバレーで美々たちの疲労を誘う。あらゆる攻撃が通用しない鉄壁の防御に苦しめられる美々たち。「コンピュータの欠点は新しい動きを予測できないことだ」。大介の指示で、ついにVアタックがそのベールを脱ぐ!?
ラインギリギリに叩き込むターゲットスパイクという新技で、春の雪辱を図る大雪山学院と激突することになった美々たち。しかし、国立体育館に現れた実業団のスカウトを見かけた明日香は、自分の売り込みにはやる余り、試合を前に右手を痛めてしまう。痛みを隠して試合に出た明日香ではあるが、それは敵味方ともに隠し通せるものではなく、明日香はターゲットスパイクの餌食となってしまった。
春の選抜では美々たちが完敗した前回の優勝校、京都の四条通高校に再び挑戦するときがやってきた。これまで光と影のアタック一本で勝ち上がってきたというが、新たな秘密兵器の気配もあり油断はならない。Vアタックもいまだ未完成だ。実業団の監督が見に来ているので、実業団入りを希望する明日香の印象が良くなるようにと、美々はできるだけ明日香にスパイクさせようとする。出だしは好調な橘高校だが…。
将来の進路に迷ってキャプテンとしての冷静な判断力さえ見失ってしまった美々。一本調子になった攻撃は完璧に四条通高校に読まれてしまい、瀬戸際まで追い詰められる。だが、大介の活とメンバーの言葉で自分の過ちに気付いた美々は、自分のバレーを取り戻した。明日香のアイディアの囮作戦もあり2対2と押し戻した試合はいよいよ第5セット。ついに四条通高校は秘密兵器を投入。これに対抗するにはVアタックしかない…!?