『蒼天の拳』は、北斗1800年の歴史上、最も奔放苛烈で最強と呼ばれた ”第62代北斗神拳伝承者・霞拳志郎" の物語。
運命に導かれし者たちの新たなる闘いが始まる!!
■キャスト
葉 子英:渡辺 明乃
シャルル・ド・ギーズ:置鮎 龍太郎
潘 光琳:谷 昌樹
北大路 剛士:長 克巳
霞 羅門:榎木 淳弥
ヤーマ:甲斐田 裕子
シュケン:佐藤 拓也
狼:高乃麗
田 楽伝:島田 敏
河 馬超:堂坂 晃三
ヒムカ:小山 力也
シメオン・ナギット:杉田 智和
エリカ・アレント:上坂すみれ
■スタッフ
原作:漫画「蒼天の拳」(原哲夫・堀江信彦 監修:武論尊)
監督:鹿住朗生
シリーズ構成/脚本:尾崎悟史
CGキャラクターデザイン:勅使河原一馬、佐藤宏美
美術監督:吉岡誠子
色彩設計:梅崎ひろこ
撮影監督:中村圭介
編集:田部季美、佐久間達也
音響監督:高寺たけし
音楽:西村麻聡(FENCE OF DEFENSE)
アニメーション制作:ポリゴン・ピクチュアズ
製作:株式会社 蒼天の拳
時は193X年、「命の最も軽い街」上海。裏社会で勢力を二分する「青幇」と「紅華会」による抗争が激化を極め、ついに「青幇」の勝利によって終焉を迎えようとしていた。「青幇」を復活させた霞拳志郎と玉玲は、束の間の安息を喜んでいた。一方ハルピンでは、何かを大切そうに運ぶ流飛燕とエリカ・アレントの姿があった。針路を上海に定めた2人が目指す先は、フランス陸軍情報武官のシャルル・ド・ギーズ。しかし、そのギーズの前に不穏な人影が……。
俺は第62代北斗神拳伝承者! 雷鳴とともに吠える拳志郎。北斗の宿命が新たなる闘いをいざなう。その先にあるものは光か闇か――!?
エリカが持つ「希望の目録」を巡り、フランス軍やドイツ軍をはじめ、様々な思惑が動き出す。夢を実現するために「希望の目録」を手にしようとしていたギーズも、突如現れた謎の拳法家の前に命をおとす。
一方、飛燕は、エリカの屋敷で起きた惨劇を思い起こしていた。親子の「希望の目録」への強い想いを目のあたりにし、枯れていた涙を呼びおこしてくれたエリカを守りぬくことを誓った。
「力で命は守れても、心は守れない」
玉玲の言葉に突き動かされ、飛燕はあえて自らを鬼と化し、「死鳥鬼」として拳志郎と死合うことを決心する。
日本軍将校の射殺を端緒に、上海は緊迫し、世界大戦勃発の気配が立ち込めていた。迫る死期を感じとった飛燕はエリカを玉玲に託し、「希望の目録」に秘められた真実を語りはじめる。彼には、エリカの身を案じる悲壮な覚悟があった。
大新世界で「青幇」の構成員を相手に大立ち回りを演じる飛燕の前に、拳志郎が現れる。再び拳を交えることになった、拳法家同士の悲しい宿命とは……。一方、この二人の壮絶な命のやり取りを物陰から窺い見る一人の男の姿があった。
丘の上の教会で牧師となり、エリカと生きていくことになった飛燕。上海租界では政府軍が慌ただしく行き来し、戦争の不穏な気配が色濃く漂い始めていた。拳志郎は葉子英とともに、ギーズを手にかけた男を探しに、上海の表通りに繰り出していた。やがて路地にたどり着いた拳志郎は、シルクロードの匂いを嗅ぎ取る。
政府が西斗月拳を使う拳法家を雇ったとの知らせを聞いた拳志郎。かつて、旅したシルクロードで目にした白狼を思い出し、西斗と北斗の血塗られた宿命をゆっくりと語り出すのだった。
上海租界では、中国政府軍によって爆弾が撃ち込まれ、遂に戦争が勃発。潘の屋敷も爆撃の標的となった。
爆撃を避けた聖堂で、拳志郎はエリカから、昨晩から飛燕が戻っていないことを聞く。
「月氏の神は北斗を許さない!」
飛燕の前に現れた西斗月拳の使い手ヤサカは、西斗が舐めた二千年分の無念を晴らすべく、捕らえた飛燕を自ら解放し対決に臨む。激闘の末、飛燕が目にしたのは、ヤサカの繰り出す西斗月拳の秘奥義だった――。
「き、貴様あああっ!」飛燕の声が廃墟にこだまする。
ヤサカと飛燕の闘いの勝敗がまさに決しようとしていた時、一台の戦車が二人に近づいてくる。戦車から顔を出したのは、拳志郎!朋友・飛燕を助けるために、戦火の燃え広がる上海郊外をひたすら猛進してきた。
「お前……北斗に文句があるのか?」
西斗の神の意思に突き動かされる西斗月拳のヤサカと拳志郎の死合が、今ここに始まる!!
一方、エリカはツバメの巣でヒナたちが鳴き騒ぐ教会で、飛燕の帰りを一心に待っていた。エリカが見上げた巣から、ヒナが次々と大空へと巣立っていく。
政府軍の砲撃に、水を刺された拳志郎とヤサカの対決。寧波の地に向かったヤサカを追うように、拳志郎も海を渡り、二人は北斗の菩提寺「泰聖院」で、再び相まみえることになる。2千年分の恨みをこめ、ヤサカが北斗神拳の伝承者たちが眠る鎮魂の塔を叩き割ると、強烈な光を発する勾玉が現れる。勾玉のまばゆい光の中に包まれたヤサカと拳志郎は、北斗と西斗の哀しみに満ちた凄絶な真実を知る。
「なぜ……」。
茫然自失となるヤサカが、光の中で見た西斗の憎しみとは一体……。
「さあ……死合おうかぁ」
拳志郎が身構える一方で、ヤサカは、恨み続けてきた北斗の血が自身に流れることを知り、絶望する。歪められていた怨念に翻弄されていたことへの怒りが、ヤサカを突き動かす。拳を交える中、拳志郎はヤサカの秘めた覚悟を感じる。
一方、玉玲とエリカは、「希望の目録」を追うドイツ軍に追われていた。絶体絶命の危機に追い詰められた時、突然、何者かが瓦礫から飛び出してきた。そしてその一部始終を、物陰から窺う巨漢の影がいた……。
「光り輝く拳……?」
拳志郎と葉親子とヤサカは、ギーズの体に残った「焼け焦げたような痕」から、とどめを刺した何者かの存在に行き当たり、ひとつの答えにたどり着く。教会近くの小高い丘では、飛燕の墓前でエリカが手を合わせていた。許しを請うべくエリカの前に進み出るヤサカ。エリカはヤサカの胸元に光る勾玉を目にし、勾玉に秘められた驚きの来歴を語る。拳志郎の周囲では、にわかにナハシュの民の存在感が色濃くなっていく――。
教会の霊園で起こった政府軍による襲撃を避け、上海の錯綜する路地へと逃げ込んだ羅門とエリカ。兄・拳志郎と交わした約束を果たすべく、「小さな守護者」として次から次へと攻撃してくる敵からエリカを守る羅門。しかしそこに、野獣のような巨体のシャムラが突進してくる。大通りでは、子英とともに政府軍の機銃掃射から逃れてきた玉玲も徐々に窮地へと追い込まれていく……。一方、拳志郎から逃げ惑う田楽田と河馬超の前には、外套を深く被った謎の人物が現れる――。
ドイツ軍が要求した羅門の交換条件は、ヤサカの持つ勾玉と「希望の目録」の重要な手がかりとなるエリカの身柄だった。拳志郎は一人、羅門を救うべく廃墟と化した寺院へ向かう。そこで拳志郎を待っていたのは、ドイツ軍に身をやつしたシメオン一派のシャムラだった。拳志郎と拳を交えるなかで、シャムラは「天斗聖陰拳」と口走る。
一方、拳志郎の屋敷では、羅門の身を案じたエリカが、ヤサカの持つ勾玉を持ち出して玉玲たちの前から忽然と姿を消した。
北斗と天斗、遠く同じ流れを汲んだ二人の漢、拳志郎とシメオン・ナギットが、遂に対峙することになった。
激しく繰り広げる攻防の中で拳志郎は、以前どこかで嗅いだ「ある匂い」をシメオンから嗅ぎ取った。ギーズの死の真相が、ついに明らかとなる!
「朋友の文句は……、俺に言ええぇぇいぃっ!」
凄まじい闘気が拳志郎を包み込み、シメオンの両腕はまばゆい光を螺旋状に放つ!交差した両者の拳の結末はいかに!!
戦禍の中国を離れ、インドネシア・ジャカルタで束の間の穏やかな時間を過ごしていた霞拳志郎らの前に、オランダ軍が迫っていた。そして、街では吸血鬼の噂が出回りはじめた。人々が誘拐され、ある実験が行われているというものだった。一方、拳志郎の前に、飛燕と同じ刺青を持ち、マントをかぶった男が現れた。男は突如、手刀を振り下ろし、拳志郎に襲いかかる。
「北斗の文句は……俺に言ええぇいいいっ!」
拳志郎の命を賭した最後の闘いが、今まさに始まった――。
マントに身を隠していたのは、極十字聖拳の流緋鶴。流飛燕を兄と慕う女拳士であった。飛燕の死を知り、その恨みを晴らすことだけが彼女の生きる意味となっていた。
一方、孤児たちと食卓を囲むヤサカとエリカの前に、謎の一団が現れる。突如、大音量で鳴り響くクラシックの調べ。駆けつけた拳志郎は、暗闇から現れたオランダ軍将校・コールと対峙する。
「僕は最強、最高の人間兵器を創造するのだ!」
人間を狂気へ導こうとするコールに拳志郎の怒りの拳が炸裂する。
コールにより改造された人間兵器たち。コールは自身にも光る指を突き立て、人体改造を行い、拳志郎に手刀を突き入れる。
「世界の『再創世』をおこなうのが目的だ~!」
コールが最後に口にした『ミガドルの雷』『再創世』とは一体……!?
一方、エリカの前にはシメオン・ナギットが現れた。エリカを守ろうと立ちはだかるヤサカだったが、エリカとともに連れ去られてしまう。エリカを待っていたのは、驚きの事実とシメオンの恐ろしい目論見だった――。
「北斗神拳は人の心を救う拳。だから復讐など忘れろ。」
玉玲から飛燕の最期の言葉を聞かされ、緋鶴は気持ちのやり場に戸惑っていた。その一方で、拳志郎はエリカとヤサカの行方を懸命に追っていた。
地下宮殿に捕らわれたエリカは、ジェネシスの幹部から『ミガドルの雷』の真相を聞かされる。エリカの記憶にある『ミガドルの雷』と、父でもあり天才科学者でもあったロバート・アレントとは…!?
拷問受けるヤサカの命を守るために、やがてエリカはある決意をする。
拷問部屋では、ボロボロになったヤサカが鎖で繋がれていた。エリカを守るため、ヤサカは鎖を引きちぎり、天斗聖陰拳の遣い手であるシメオンに奥義を繰り出す。血飛沫が舞うシメオンとヤサカの闘いの最中、まばゆい光に包み込まれ、威厳を増したエリカが、『ミガドルの雷』の鍵について口を開きはじめた。その時、突如ジェネシスの地下宮殿の天井が崩れ落ち、霞拳志郎が現れた。
「てめぇ、悪臭が増したなあ」
拳志郎の眼が怒りで光る!!
エリカの前に、相まみえることになったシメオンと拳志郎。ついに北斗神拳と天斗聖陰拳、宿命の闘いが始まった。その混乱に乗じて、エリカを地下宮殿の廊下に連れ出したのは、ヒムカだった。エリカに、勾玉の在りかを執拗に迫る。果たしてヒムカの真の目的とは一体……!?
激しく打ち合うシメオンと拳志郎。互いに繰り出す拳を交え、シメオンの本質を見た拳志郎は引導を渡すのだった。
「お前の拳は大昔に止まったままだ。まるで脱皮しねえ蛇みてえにな……」
ジェネシスの宮殿は、自爆装置により崩壊が始まった。宮殿中に轟音が鳴り響き、柱や壁が崩落する。エリカと緋鶴を守る為、崩れ落ちてきた瓦礫の下敷きになったヤサカは爆炎に飲み込まれていった――。
一方、地下宮殿最深部にある研究開発室で、シメオンはヒムカの仮面の下に隠された素顔を知る。
「ヒムカか・・・・・・そんな名は、もういらぬ」
鋭く光る青い右目と金色に輝く左目のオッドアイを持つヒムカは、シメオンを欺き続け利用していたのだった。
鐘の音が鳴り響く高野山。北斗寺院の山門をくぐる者がいた。
霞拳志郎の父でもある鉄心の前に姿を現したのは、ヒムカの名前を捨てた霞拳心だった。かつて、拳心は崖から落ちて倒れていたところを鉄心に助けられ、鉄心のもとで修行を積んでいたのだった。鉄心と対峙する拳心から語られたのは、かつて味わったこの世界のあり方への大きな絶望から生まれた、新たな世界の切望、『再創生』への道であった。
「堕ちたな、拳心……」
鉄心から闘気が放たれる。
北斗七星の脇で蒼く輝く死兆星。夜空を見つめるエリカは、その星から飛燕とヤサカが自身を見守ってくれていると健気に信じていた。そんな折、拳志郎の屋敷に傷ついた羅門が勾玉を持ってやってくる。
父・鉄心が、拳心によって殺されたというのだった。拳志郎は父の最期を聞き、拳心に思いを馳せる。
拳心こそが、拳志郎が幼き頃より最も畏怖すべき存在だった。
再び、拳志郎の前に現れた拳心。
北斗の星の宿命のもと、拳志郎と拳心の死合いがここに始まる!!
「俺はこの腐った世界を終わらせる! この俺がリ・ジェネシスするのだああっ!」
拳心は放浪で目にした世界の身勝手さや愚かさを、この世の真実として拳志郎に語る。
拳心を前に防戦が続く拳志郎を見かね、エリカは強い覚悟とともに拳心に歩み寄る。そして2人は一陣の風とともに、こつ然と姿を消してしまう。
拳心との闘いで秘孔を突かれた拳志郎の命の灯火も消えようとしていた。拳志郎は拳心との決着に備え、羅門に延命の秘孔を突かせるのだった。
ノハァル・ナハ遺跡の玉座で、大小の勾玉に呼び起こされたエリカの記憶。核分裂装置の設計図は拳心が見下ろす羊皮紙に投影されて、徐々に描かれていく……。
自らの死を願うエリカの悲痛な願いを受け止める拳志郎は、エリカの額に優しく秘孔を突いた。
拳志郎の目から一筋の涙が頬を伝う。
「俺は、目の前の少女の笑顔を守る。闘う理由なんて、それで充分だ」
第62代北斗神拳伝承者としての最期の闘いが、いよいよ始まった。
天斗聖陰拳と北斗神拳を合わせた拳心の秘奥義が、拳志郎を呑み込む。
「これが最期の一撃……俺の歴史は、今ここから始まる!!」
「ならば俺は、この一撃に朋友の思いをかける……!!」
互角の拳を持つ強者相闘う時、その両者の頭上に死兆星輝く。
北斗の宿命のもと死合う拳志郎と拳心、2人の闘いの行方はいかに――!?
拳志郎の最期の闘いがついに決する!!