遠い未来、銀河系宇宙に進出したものの、不毛な戦いをやめない人類――。人類のほとんどを支配する銀河帝国の貴族とは名ばかりの貧しい家庭に生まれたラインハルトは、姉を皇帝の寵姫として奪われて以来、たったひとりの友キルヒアイスと共に、銀河帝国を手中にするという野望を胸に軍人となり、その天性の軍才を発揮して頂点へと登りつめていく。一方、自由惑星同盟にあって、不本意ながら軍人となり、それでも功績を立て続けるヤン。互いに最大のライバルとなる彼らは、それぞれの立場で戦いに臨み、宇宙に新しい歴史を創ってゆく……。
■キャスト
【銀河帝国】
ラインハルト・フォン・ローエングラム:堀川亮(現・堀川りょう)
ジークフリード・キルヒアイス:広中雅志
ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ:勝生真沙子
グリューネワルト伯爵夫人アンネローゼ:潘恵子
ウォルフガング・ミッターマイヤー:森功至
オスカー・フォン・ロイエンタール:若本規夫
パウル・フォン・オーベルシュタイン:塩沢兼人
【自由惑星同盟】
ヤン・ウェンリー:富山敬、郷田ほづみ
ユリアン・ミンツ:佐々木望
フレデリカ・グリーンヒル:榊原良子
カーテローゼ・フォン・クロイツェル:三石琴乃
ダスティ・アッテンボロー:井上和彦
アレックス・キャゼルヌ:キートン山田
ワルター・フォン・シェーンコップ:羽佐間道夫
オリビエ・ポプラン:古川登志夫
■スタッフ
原作:田中芳樹
総監督:石黒昇
シリーズ構成・脚本:河中志摩夫
総作画監督:清水恵蔵
メカニックコンセプトデザイン:加藤直之(スタジオぬえ)、清積紀文
キャラクターデザイン:奥田万つ里、久米一成、清水恵蔵
美術設定:田中精美
美術監督:長尾 仁
撮影監督:岡崎英夫
音響監督:明田川 進
効果:倉橋静男(サウンド・ボックス)
録音:上林信芳(アオイスタジオ)
音楽:ドイツ・シャルプラッテン・レコード、風戸慎介
プロデューサー:田原正利
制作協力:マジックバス、アートランド
製作:徳間書店、徳間ジャパンコミュニケーションズ、らいとすたっふ、サントリー
宇宙暦796年/帝国暦487年。ラインハルト・フォン・ローエングラムは2万隻の艦隊を率いて自由惑星同盟領に進攻した。同盟軍は帝国軍に倍する4万隻の艦隊をもってこれを迎え撃つ。誰もが同盟有利を疑わず、帝国軍の内部からも撤退の声が上がる中、ラインハルトは同盟軍艦隊が集結するのを待たずに急進。第四、第六艦隊を各個撃破戦法にて葬り去る。意気の上がる帝国軍は、残る第二艦隊へと矛先を向けるが、そこにはラインハルトの戦略を見抜く、ヤン・ウェンリーの存在があった……。
同盟軍第四、第六艦隊を撃破して意気の上がる帝国軍は、残る第二艦隊に対し総攻撃をかける。予想外の方向から攻撃を受けた第二艦隊は、旗艦パトロクロスまでもが被弾。パエッタ司令官が重傷を負ってしまう。指揮権を委譲されたヤンは、ラインハルトの戦術を読み切っていた。勝利を完全なものにするべく中央突破を図った帝国軍に対し、ヤンは自軍が分断されたと見せかけた上で敵の背後に回り込み、猛烈な反撃を開始する。こうしてヤンは自軍の崩壊を食い止め、帝国軍に一矢報いたのだった。
同盟首都ハイネセンでの「アスターテ会戦戦没者追悼式典」を仮病で欠席したヤン。その会場にヤンの旧友、ジェシカが現れた。彼女はアスターテ会戦で戦死したヤンの親友、ラップの婚約者だった。彼女は舌鋒鋭くトリューニヒト国防委員長を弾劾する。テレビ中継でこれを見たヤンは、後輩のアッテンボローと会場に向かい、憂国騎士団なる集団に襲われそうになっていたジェシカを間一髪で救い出す。
アスターテ会戦の功績により、ラインハルトは帝国元帥に昇進した。王宮での元帥杖授与式の後、ラインハルトは姉であるアンネローゼとの面会を許される。彼と共にアンネローゼの館に向かうキルヒアイスの脳裏には、幼き頃の思い出が蘇っていた。美しい金髪の姉弟が隣の家に引っ越してきた日。三人で過ごした幸せな時間。そして、皇帝の寵姫としてアンネローゼが連れ去られた日のこと。彼女を救うため、彼ら二人は帝国の打倒を誓ったのだった。
銀河帝国の地方領主マクシミリアン・フォン・カストロプは、父親が不正に蓄財した財貨の返還を求められるが、これを拒絶し、帝国に叛旗を翻す。説得に訪れたマリーンドルフ伯を人質にした彼は、フェザーンより調達した無人戦闘衛星を頼みにカストロプ星系に籠城。ラインハルトの推挙を受け、彼の腹心であるキルヒアイスに叛乱鎮圧の勅命が下る。彼は大胆不敵な戦術を用いて無人戦闘衛星を無力化し、わずか数日で叛乱を鎮圧。この鮮やかな手腕に、帝国の提督たちも賛嘆の声を上げるのだった。
新たに創設された第十三艦隊の司令官となったヤン。彼に下された最初の任務は、帝国軍の軍事拠点、イゼルローン要塞の攻略だった。ヤンの幕僚には、美しく聡明な副官、フレデリカをはじめ、個性的な面々が揃う。中でも注目を集めたのは「薔薇の騎士連隊」の隊長、シェーンコップだった。ヤンは彼に、イゼルローン要塞攻略の秘策を打ち明ける。本作戦に対するヤンの思いを聞いたシェーンコップは、不敵な笑いと共に協力を約するのであった。
イゼルローン要塞に、同盟軍の攻撃により損傷した1隻の軽巡航艦が入港する。ラーケンと名乗る巡航艦の艦長は、同盟軍のイゼルローン要塞攻略作戦を入手したと語り、要塞司令官シュトックハウゼンに面会を求める。実は、彼こそが変装したシェーンコップだった。司令官を人質に取り、計画通り要塞を手中に収めたと思われたが、一士官の思わぬ抵抗で要塞の全機能が停止してしまう。このままでは第十三艦隊が危ない。シェーンコップらは、要塞中枢部を目指す。
難攻不落を誇ったイゼルローン要塞は、遂に同盟軍の手に落ちた。イゼルローン駐留艦隊の参謀、オーベルシュタイン大佐は、司令部で唯一の生存者として要塞陥落の責を負わされる。彼はラインハルトのもとを訪れ、自らが帝国を憎む理由を語った。ラインハルトはオーベルシュタインを自陣営に迎えると決め、帝国軍上層部に彼の助命を申し出る。しかしキルヒアイスは、オーベルシュタインの登用がラインハルトの覇道に暗い影を落とすのでは、と予感するのだった。
クロプシュトック侯は、帝国門閥貴族の名門だったが、フリードリヒⅣ世が即位する際の権力闘争に敗れて以来、社交界から追放されていた。この日、久しぶりにブラウンシュヴァイク公のもとを訪れた彼は、近々ブラウンシュヴァイク公が開くという皇帝臨席のパーティーへ自らも出席出来るよう懇願する。かつての仇敵に膝をかがめられた公はその願いを聞き容れるが、それは恐ろしい事件の幕開けでもあった……。
テルヌーゼン市にある士官学校の記念式典に招待されたヤン。しかし、代議員補欠選挙の主戦派候補者の出迎えを受け、その選挙宣伝に利用されてしまう。そんなヤンを今度は反戦派の対立候補、ソーンダイクの支持者が襲う。そこに駆けつけヤンを救ったのは、ジェシカだった。反戦派候補の選挙運動メンバーとして活動するジェシカ。二人は懐かしい士官学校を訪れ、過ぎた日々を振り返る。
ベーネミュンデ侯爵夫人は、かつて皇帝の寵愛を一身に受けていた。しかし、今や皇帝の愛情と関心はアンネローゼに移った。自らの地位を奪ったとして、アンネローゼを深く恨む彼女のもとに、フレーゲル男爵が近づく。ベーネミュンデ侯爵夫人は計略をもってアンネローゼを誘い出し、平民との心中を装って彼女を謀殺しようと試みるが、キルヒアイスらの素早い行動で事態は未然に防がれる。皇帝はベーネミュンデ侯爵夫人に自らの命をもって罪を償うよう命じるのだった。
イゼルローン要塞の奪取により、戦争が終結すると期待していたヤン。しかし、軍部はさらなる攻勢を計画していた。同盟政府の中には、人材の多くを軍に徴用されたことで社会システムが疲弊している、今は国力回復を図るべきと主張する者もいたが、次の選挙のため勝利を求める声はより大きかった。一方、軍部の作戦会議の席上では、作戦立案者のフォーク准将が空虚な演説を振るっていた。
同盟軍による帝国軍侵攻作戦の情報を得たラインハルトは、侵攻してきた同盟軍艦隊を帝国領深くに誘い込み、補給線が延びきったところを叩く方針を定めた。さらに同盟軍の兵站に負担をかけるため、同盟軍の進路にあたる辺境惑星から食料や物資を徴発するよう命じる。クラインゲルト子爵領に派遣されたケスラーの顔色は冴えなかった。ここには、彼がかつて想いを交わした女性、フィーアが嫁いでいるのだった。
帝国領内に進攻した同盟軍艦隊は、さしたる抵抗も受けぬまま占領地を拡大しつつあった。彼らが「解放」した惑星では食料や物資が極端に不足していたが、「解放者」を任じる同盟軍は、民衆に生活の保障と安定を約束する。しかし、占領地の拡大と共に、前線から要求される物資の量も増大していった。キルヒアイスにより補給部隊が撃滅されると、困窮した同盟軍は逆に民衆からの略奪を始める。そして、遂に帝国軍の反攻作戦が開始された。
補給線を断たれて物資が欠乏した同盟軍艦隊に、帝国軍艦隊が襲いかかる。同盟軍の各艦隊は大きな損害を出し、ウランフ、ボロディン、アル・サレムら、練達の艦隊司令官を喪う。ヤン率いる第十三艦隊も、眼前の敵に対応するのが精一杯の状況だった。同盟軍総司令部は、敗走する艦隊をアムリッツァ星域に集め、戦力の再編成を図る。帝国軍艦隊も次々と集結、戦いは最終局面を迎えるのだった。
アムリッツァ星域会戦にて幕を閉じた同盟軍の「帝国領進攻作戦」は、参加した3000万の将兵のうち、実に3分の2を喪う歴史的大敗となった。しかし、ラインハルトは不機嫌な表情を隠さない。黒色槍騎兵艦隊を率いるビッテンフェルトの失策により、またしてもヤンに完勝を阻まれたのだ。ビッテンフェルトに罰を加えようとするラインハルトを、キルヒアイスは諫める。そこに飛び込んできたのは、銀河帝国皇帝フリードリヒⅣ世崩御の報であった。
フリードリヒⅣ世崩御に伴い、帝国の門閥貴族の間では、皇帝の後継者を巡る争いが始まった。リヒテンラーデ公の陣営に与したラインハルトは、ブラウンシュヴァイク公ら、もうひとつの陣営との闘争の最中に同盟軍が帝国に侵攻することがないように、ある策を施す。それは、かつてのヤンの上官で、惑星エル・ファシルから民間人を見捨てて逃走し、帝国軍の捕虜となっていたリンチ少将を用いるものだった。
ブラウンシュヴァイク公、リッテンハイム侯を中心とした門閥貴族らは、「リップシュタット連合」を結成、ラインハルトとリヒテンラーデ公の陣営に対抗すべく動き出した。ちょうどその頃、ラインハルトの居室をヒルダが訪ねていた。彼女は、マリーンドルフ家はラインハルト陣営に味方すると語った。ガイエスブルク要塞に集結したブラウンシュヴァイク公ら「賊軍」を討つべく、ラインハルトが出撃する。リップシュタット戦役が始まったのだ。
アムリッツァ星域会戦の際、心身に失調を来たし予備役に編入されていたフォーク准将。病院を出た彼は、統合作戦本部長クブルスリー大将を襲い重傷を負わせる。その事件と時を同じくし、同盟領各地で暴動が発生する。この鎮圧を一手に任されたヤン艦隊。人使いの荒さに不平を鳴らしつつ出撃準備を急ぐ彼のもとに、遂にクーデター勃発の知らせが。「救国軍事会議」を名乗り、首都星を制圧した彼らの首謀者は、意外な人物だった……。
リップシュタット連合とラインハルト陣営の戦いが始まった。「賊軍」艦隊を率いるのがシュターデンと知ったラインハルトは、かつて士官学校で彼に用兵を学んだミッターマイヤーに相手をさせる。「疾風ウォルフ」の異名に似つかわしくない戦術に不審を抱いたシュターデンは慎重に兵を進めようとするが、血気にはやる若手士官たちが急進、敗北を喫する。シュターデン艦隊が逃げ込んだレンテンベルク要塞には、卓越した白兵戦技を誇る猛者、オフレッサー上級大将がいた。
救国軍事会議に制圧されたはずのハイネセンから一人の男が脱出し、ヤン艦隊に合流した。バグダッシュと名乗る彼は、救国軍事会議が送り込んだ刺客だったが、フレデリカの並外れた記憶力のおかげでその企ては阻止された。救国軍事会議のメンバー、ルグランジュ司令官率いる第十一艦隊はイゼルローン要塞を攻略するべく進撃していたが、ヤンはこれをドーリア星域で捕捉、撃破する。同じ頃ハイネセンでは、ジェシカらがクーデターに反対する市民集会を開催していた……。
リップシュタット連合の副盟主でありながらブラウンシュヴァイク公と袂を分かったリッテンハイム侯は、麾下の艦隊5万隻と共にガイエスブルク要塞を離れ、辺境星域に向かっていた。わずか800隻の艦隊でこれを迎え撃ったキルヒアイスは、ワーレン、ルッツとの連携によって、勝利を収めた。追撃を受けた彼は、レンテンベルク要塞に逃げ込もうとするが、進路上には彼の味方である補給部隊が展開していた……。
ブラウンシュヴァイク公は、自らの領地である惑星ヴェスターラントで叛乱が起こり、領主である甥が殺害されたことを知った。彼は激怒し、ヴェスターラント全土を熱核兵器で焼き払うように命令。これを知ったラインハルトは、直ちに阻止を命じようとするが、オーベルシュタインは異を唱える。敢えて核攻撃を看過し、その非人道的な行いを帝国全土に知らしめることで、リップシュタット連合から民心を離反させるべきというのだ。苦悩するラインハルト。そして、遂に……。
第十一艦隊の敗北、「スタジアムの虐殺」事件などにより、救国軍事会議は民心を失いつつあった。さらにヤンが「救国軍事会議はラインハルトに使嗾された集団」と発表したことが、人々に大きな衝撃を与える。ヤンは、救国軍事会議が最後の頼りとする軍事戦闘衛星「アルテミスの首飾り」を一撃で破壊し、彼らの士気を挫いた。救国軍事会議の幹部らは、自らの正義を主張しつつ自決。こうして、自由惑星同盟軍のクーデターは終息した。
リッテンハイム侯を倒し、ガイエスブルク要塞に帰還したキルヒアイスを出迎えるラインハルト。しかし、キルヒアイスの表情は硬かった。政治宣伝に利用するため、ヴェスターラントへの熱核攻撃を黙認したと認めたラインハルトに、キルヒアイスはむしろ悲しげにその行いを諫めた。しかし、ラインハルトは彼を退け、以後はオーベルシュタインの助言通り、彼を他の部下と同列に扱うことを決める。自らの分身ともいうべき友を遠ざけた、この決断が大きな悲劇を招くことになる。
リップシュタット盟約軍を討ち果たし、戦勝記念式典に臨むラインハルト。ブラウンシュヴァイク公の忠実な部下、アンスバッハは、主君の死体と共に現れる。突然、ラインハルトを襲うアンスバッハ。キルヒアイスはラインハルトの盾となって、その攻撃を受け止めた。忠実な友の死に茫然自失となるラインハルト。一方、オーベルシュタインは、この機を逃さず、かつての盟友リヒテンラーデ公を排除する。銀河帝国の国璽を手にしたラインハルトは、銀河帝国の実権を握った。だが、その夢を共に目指した親友は、もはやどこにもいない……。