――大都市『柳木原』。
おびただしい数のひとと建物がひしめく、巨大な繁華街。
――季節は冬。
空を見上げれば、そこには無表情な白い空。
ありがちな悩みとありがちじゃない悩みを抱えた若者たち。
彼らが出会う、恋ともろもろ。
それはきっと何処にでもある、ありふれた物語。
これは“たとえば”の話だけど、
ぼくらが君に語るのは、たとえばそんなメルヘン。
■キャスト
渡来明日香/吉田真弓
玉泉日和子/小野涼子
鳳鳴/後藤邑子
羽田小鳩/又吉 愛
日野英里子/浅井清己
望月紀奈子/たかはし智秋
羽田鷹志/下野 紘
千歳鷲介/三浦祥朗
成田隼人/諏訪部順一
鳳 翔/日野 聡
森里和馬/荻原秀樹
軽部狩男/石川英郎
DJコンドル/杉田智和
ほか
■原作
Navel(『俺たちに翼はない』)
■キャラクター原案
西又葵
■監督
ウシロシンジ
■シリーズ構成
鴻野貴光
■キャラクターデザイン・総作画監督
石井久美
■アニメーション制作
NOMAD
■製作
おれつば振興会
貧乏フリーターの千歳鷲介は今日も喫茶アレキサンダーに来て、常連の翔や店員の英理子、紀奈子と戯れていた。そんな中、鷲介はマスターの狩男から合コンの話を振られる。夜の柳木原を徘徊する成田隼人。夜の柳木原の住人たちと挨拶を交わしながらいつもの店『パルクレープ』へと向かう。そして、今日も自身が経営している便利屋『成田工務店』に依頼がないか尋ねるが…。美空学園に通う羽田タカシは今日も平和に生きている。しかし、彼には秘密があった…。
隼人は夜の柳木原で自転車を探している少女・鳳鳴と出会い依頼を受ける。依頼は彼女が盗まれてしまった赤い自転車を捜して欲しいというものだった。鷲介は編集者・米田から仕事を受けた帰りに作家・玉泉日和子と知り合う。だが、鷲介は日和子を別の作家と勘違いし、失礼をしまくってしまう。気を取り直して、アレキサンダーで開かれる合コンごっこへ向かう鷲介だったが!? タカシは今日も平和な一日を送っている。友人と挨拶をし、委員会の仕事をし、そして、恋人の渡来明日香と談笑する。彼の目から見る世界は平和だった…。
夜の街で自転車を捜す隼人はYFBとR-ウイングの抗争の現場に遭遇してしまう。遊びの延長に見えたそれは一発の凶弾によって一変する。 鷲介は日和子との仲をなんとか改善しようとするが、どーにもこーにも裏目に出てしまう。そんな中、日和子の小説の話で英理子と口論になってしまい、その様子を日和子に聞かれてしまう…。タカシと妹の小鳩が囲む朝の食卓。いつもと同じく、それはどこか余所余所しかった…。
隼人は鳴と自転車を捜す途中、亜衣と遭遇する。夜のグローブ街で繰り広げられる乙女同士の恋の駆け引きと友情劇……。それに巻き込まれながらも隼人は先日の抗争の首魁、R-ウィングの情報を集めていた。鷲介と日和子の仲は微妙ながらも改善に向かっていた。だが、そんな中、事件が起きた。謎の帽子男に襲撃される日和子を庇う鷲介。鷲介はそのまま意識を失い……。そして、彼らの物語は交錯する。
平和な学園生活を送るタカシだが、気づかないところで彼の心には既に限界が近づいていた。心無いことを言われたとき、仕事を押し付けられたとき、タカシは咳き込み、黄金の輝きとともにグレタガルドへと旅立つ。隼人がいつものように夜の柳木原に繰り出すと、駅前に人だかりができていた。嫌な予感を抱きながら向かったその先には……。
何者かの襲撃を受けたマルチネスは病院へ運ばれる。隼人はその正体が大司教であると気づき、その心の内では怒りの感情が渦巻いていた。 大司教を捜し出そうと夜の柳木原を歩く隼人。自分を尾行する気配を察し、逆に不意を突こうとする――だが、そこにいたのは大司教ではなく、隼人が心配で来てしまった鳴だった。そこへ本物の大司教が襲撃してくる!
奈落から帰還したガルーダこと伊丹伽楼羅。 彼はタカシ、鷲介、隼人よりも先に生まれた存在であり、かつて鳳翔が出会い惚れ込んだ唯一の人間だった。そんな伽楼羅との再会に翔のテンションは最高潮に達する。クリスマスの柳木原を混沌と狂乱に陥れる恐るべき王の宴が始まろうとしていた……。
伽楼羅が去ったことでタカシ、鷲介、隼人はそれぞれの居場所で以前と変わらない生活に戻っていた。全て元通りになった……筈だった。 事件はタカシの学校で起きる。 学校で度々ストレスを受けるタカシはグレタガルドに行く時間が増えていた。昌子との卒業文集でのやり取りで、精神の限界にきたタカシは心配で見に来た明日香の目の前でグレタガルドへ旅立ってしまう。それを見た明日香は……。
鷲介が書いた日和子の作品のレビュー記事が雑誌に載った。その記事に控えめながら喜ぶ日和子だったが、英里子の厳しい言葉で沈んでしまう。鷲介は日和子と英里子の微妙な関係に気付くが……。 隼人と鳴の自転車捜しは行き詰まっていた。諦めようとしたそのとき、鳴と隼人は衝撃の事実と直面する。
未だ戻らないタカシ。それを補うような隼人と鷲介の日常が続く。タカシに代わり、学園へ通う一方で隼人は鳴との賑やかな日々を過ごしていた。一方、日和子のためにできることを探す鷲介。そんなとき、予想外の人物がアレキサンダーに現れた!?
目を覚ましたタカシはまたいつもの生活へと戻っていた。そして、そこには明日香がいる。一緒に辿る帰り道で明日香の部屋に誘われるタカシ。そこでタカシは自分がこの世界の人間ではなく、グレタガルドの住人であることを明かす。それを聞いた明日香はタカシにことの真相を打ち明けるのだった。
自分たちが抱えていた真実に向き合う決意をしたタカシ。カケルの手を借りながらも小鳩とともに過去の道筋を辿り始める。タカシが事実に直面し、その重みに押し潰されそうになったとき、小鳩は優しく語りかけるのだった。