戦え。燃え尽き、ゼロになろうとも。
とある街でホラーを討伐する涼邑零。ある日、写真を愛する少女・尋海アリスと出会う。銀牙騎士ゼロの姿を目撃したアリスは、零に興味を抱きはじめる。時を同じくして、遥か彼方の橋を一台の馬車が疾走していた。荷台に載せられた棺の中には、一人の男が眠っている。その男こそ、太古の時代に竜の力を借りてホラーを狩っていた“竜騎士”であった。竜騎士の幾千年の眠りが、今覚まされようとしていた――。アリスに付き纏われては軽くあしらう日々を送る零。そんなある日、魔戒法師・烈花とともに「古の竜の卵を守れ」という指令を受ける。“竜の卵”という言葉に反応するアリス。竜の卵をめぐる戦いは竜騎士、そしてアリスを巻き込み、新たな事態へと発展していく。悠久の眠りから目覚めた竜騎士の目的とは? 新たな戦いの果てに、魔戒騎士として、一人の男として、零がみる景色とは――?
■キャスト
涼邑 零:藤田 玲
尋海アリス:青島 心
烈花:松山メアリ
カゴメ:芳賀優里亜
シルヴァ:折笠 愛(声の出演)
クレヒ:紅蘭
バクラ:ガダルカナル・タカ
エデル:弓削智久
■スタッフ
原作・総監督:雨宮慶太
脚本:梅田寿美子
監督:雨宮慶太、山岸一行、荒川史絵
アクション監督:大橋 明
製作:東北新社
制作プロダクション:東北新社、オムニバス・ジャパン
ポストプロダクション:オムニバス・ジャパン
VFX・CG:スタジオ・バックホーン
美しい海辺の街へやってきた尋海アリス。アリスは“あるモノ”を探し求めて旅をしていた。その夜、アリスはホテルマンのクガノ(モロ師岡)の案内でホテルに宿泊する。だが不運なことに、そこは無数のホラーが巣くう陰我にまみれたホテルだった。ホラーの魔の手がアリスに迫ったその時、ホラーを斬り裂く二振りの魔戒剣。アリスの前に現れたその男こそ、涼邑零であった。
売れないダンサーのリリイ(佐藤乃莉)は、同じ店の人気ダンサーへの嫉妬心と劣等感から、ホラーに憑依されてしまう。一方、撮られた写真を取り返しに再びアリスの前に現れる零。アリスはなぜかホラーの存在を知っており、零に対しても興味を抱く。その夜、バー・ルーポで零とバクラが他愛のない会話をしながら酒を飲んでいると、店の魔道具にホラーの気配を示す反応が表れて…。
冷たい雨が降りしきる路地裏に銃声が鳴り響く。拳銃を握り締めるジュン(荒井敦史)の前には、胸を撃ち抜かれた死体が転がっていた。ある日、道端で突然ハルカワ(菅田俊)に殴り掛かられる零。訳を聞くと、ハルカワには家を飛び出したきりの息子がおり、背格好がよく似た零を息子と見間違えたのだという。息子の帰りを待ち続けるハルカワに、零は励ましの言葉を掛けるが…。
オキナの手によって竜騎士・エデルが太古の眠りから目覚めてしまった。かつて竜の力を借りてホラーを狩っていたエデルは、竜の卵を探し始める。その事態を受けて、零の元に「元老院より遣わされし魔戒法師と共に竜の卵を守れ」という指令が舞い込む。魔戒法師との待ち合わせ場所へ向かう零だが、アリスが勝手に付いてきてしまう。アリスを撒いて待ち合わせ場所へ急ぐ零。そこで零を待ち受けていたのは…。
竜の卵を封印した篭の鍵となってしまったアリス。零は烈花から「竜騎士は必ずアリスを狙うはず」と忠告を受けると共に、魔戒法師たちを殺したエデルへの怒りを燃やす。そんな中、アリスの口から竜の卵を探していた理由が語られる。零はアリスの身を案じ、暫くはルーポから出ないようアリスに言い聞かせる。退屈を持て余すアリス。だが、物置の本棚から一冊の画集を見つけたことで…。
零とアリスの前に現れ、突如として攻撃してくるカゴメ。アリスを守る零と、アリスを狙うカゴメとの間に火花が散る。だが、零の魔戒剣がカゴメを追い詰めたその時、戦いを止めに入ったのは烈花だった。烈花はエデルの覚醒について事情を知るカゴメの行方を追っていたという。エデルを目覚めさせたオキナは、他でもないカゴメの実の兄だった。オキナがエデルを目覚めさせた理由、カゴメがアリスを狙ったその訳とは…。
エデルに攫われたアリスは、薄暗い廃墟で目を覚ます。竜の卵に執着するエデルに、卵を最初に見つけたのは自分だと主張するアリス。アリスの話を聞くうちに、エデルはこれまでとは違う顔色を見せる。同じ頃、アリスの救出へ向かう零たちの前に義竜の群れが現れる。烈花とカゴメが義竜と交戦する中、零は一人アリスの元へと急ぐ。エデルの言葉にいざなわれ、アリスは篭に手を伸ばすが…。
海の見える丘に佇む“祈りの鐘”。ホームレスのフクダ(柳憂怜)が鐘を鳴らすと、失ったはずの家族が現れる。妻と息子との幸福な時間にひたるフクダ。しかし、それはホラー・ライラ(桃瀬美咲)の仕業だった。無事に帰還し、自由の身となったアリスはルーポから出て行くことになる。零との別れを惜しむアリスは、最後に“あるお願い”をする。その願いとは…。
ホテルのベッドでピロートークをする男女。女のトワコ(星野あかり)があることを告白した直後、男に思わぬ悲劇が訪れる。所変わって、卵から孵った竜を我が子のように可愛がるアリス。竜もアリスを母親だと思い、アリスの後を鳥のヒナのようについて回る。零は必死にアリスを探すも、その途中でホラーの気配を察知する。アリスを追うかホラーを追うかの選択を迫られる零だが…。
アリスが去った後の部屋で、バクラは一冊のアルバムを見つける。最初は何となくページを捲るバクラだったが、写真を見る内に驚くべき事実に気付く。その事実をバクラから知らされた零は、ある決心をする。一方、アリスが気絶から目覚めると、竜が虫の息で倒れていた。アリスの懸命な看病もかなわず、竜は徐々に衰弱していく。捨て身の覚悟で竜を助けようとするアリスの前に現れたのは…。
竜を奪ったエデルは、廃墟の工場へとやってくる。そこは遠い昔、エデルが妻のノヴァと共に暮らした神殿の跡地であった。眠る竜を見つめながら、かつてその身に起きた悲劇を思い返すエデル。エデルを追おうとする零と烈花に、アリスは「私も連れて行って」と乞う。零はアリスを拒絶するが、アリスは頑なに引き下がらない。その時、烈花が取った行動は…。
竜に乗り、神殿から飛び出したアリス。零は疾走する竜の体に剣を突き立て、必死にしがみつく。エデルは竜を追おうとするが、その行く手に烈花が立ち塞がる。互いの信念をぶつけ合いながら、死闘を繰り広げる烈花とエデル。やがて、アリスと対峙する零。微笑みを浮かべたアリスの口から語られる真実とは…。
――ゼロ、あれはもうアリスじゃないわ!――。――俺は大丈夫だ…行け!――。――たく、無茶しやがって――。――もうすぐ…もうすぐ夢が叶う…――。――銀の狼…哀れな狼よ…――。――どこだ、アリス!――。それぞれの声、想い、希望、絶望が交錯する世界の先で、零が見る景色とは…。