大学の授業は全部終わり、就活をしていた26歳のドンミョン。面接に行く前、ドンミョンは病院で末期胃がんということを知る。やりたいことも多いし、まだ経験してないこともいっぱいあるの…ドンミョンの脳裏に、いつか諦めた音楽が思い浮かんだ。ドンミョンは病室でこっそりと音楽を創りながら、自分とは関係ないことだと思っていた死を迎える準備をする。初めて抗ガン治療を受けた日、ドンミョンはいきなり怪物たちがいる不思議な世界へ招待される。名前をなくしたドンミョンが、見たことのない世界で、怪物たちと一緒に砂漠の王を探しに、冒険を始める。
■キャスト
ジス|イ・ソル
イ・ジョンウォン
ユ・スンモク
オ・ヒョンギョン
■スタッフ
監督:キム・ドンハ
ハン・ジウォン
今日僕が面接の途中急に席を立ってしまった理由。 突然がん患者なってしまったから。 腰痛で行った病院で、末期がんと告知された。 家族にはどう話せばいいんだろう。 この台詞も練習した方がいいのかな。”お母さん、僕、がんだって。” 彼女のミンジョンには”ごめん、別れよう。” もし僕が27歳にがん患者になると知っていたら、今までこのようには生きてこなかったのに。 ふとこれまでの人生の中でただ諦めてきたいろんなことが頭を過ぎる。
抗癌治療の初日。急に高校の時組んでいたバンド「セブリ」のメンバー達の事が思い出された。 何年ぶりなんだろう、彼らとの思い出を噛み締めているうちに病院に着く。 僕は人生初の抗癌治療を受ける事によって未知の世界に落ち、そこから新しい冒険が始まったのである。
一ヶ月ぶりに帰ってきた家。久しぶりに昔の思い出を探る。 ミンジョンとの出逢いを思い浮かんでみる。 黄色のセーターから始まった僕たちの縁。 その時には彼女とこんな事になるとは思えなかった。 しばらく思い出にふけていたが、父の帰宅と共に私の27歳の誕生日パーティーが始まった。 がんになってから初めての誕生日。 しかし、なぜか皆スマホでひたすらこの瞬間をカメラに収めている。 まるで今日が最後の誕生日であるように。 まるで来年からはもう誕生日がないかのように。 そのように皆今という瞬間を忘れないようにしている。
目が覚めたのはがん病棟でだった。 こんなに早くここに戻ってくるとは思わなかった。 再び私ががん患者であることを実感する。 2年前から家出していた弟のドンヨンがお見舞いに来てもらったので、ちょうどよかったと思った。 どうせ抜けていく髪の毛なら弟の手を借りて自分から切りたいと思った。
兄の病室に向かうのはとても辛い事である。 底知れぬ思いが次から次へと私を締めてくる。 私達の終わりに関する疑問等が少しずつ寄せてくるけれど。どうせ私から兄に出来る事は一つもないけれど。 ただもう少し頑張ってもらいたい。兄に私の想いだけでも届いてほしい。
怖い。隣のベッドで苦しみのあまり見もだえする人のその姿が、僕の将来の様子であるという事が。いや実は、何もちゃんと果たせてないまま死んでいく、何の意味もない僕の人生が、僕の死が耐えられず怖い。何より今はただ、家に帰りたい。
僕は広い世界を望んでいた。狭苦しい病室のベットや病棟ではなく、もっと広い世界。 僕にはやりたいことがたくさん残っているのに、まだフィッシュ&チップスだって食べたことないのに。 これより遅くなるまで行かなきゃ。
怖い。怖い。怖い。 どうして僕なんだろう。どうして僕が死ななきゃいけないの。 僕のどこが悪いの。 そしてどうして皆そんなに簡単に諦めるの。悔しい。本当に悔しい。 恐怖と悔しさのあまりミンジョンに当たり散らした。 ミンジョンは言う、”私のほうがもっと怖いよ。”
27歳で死んでしまったら、僕の人生は一体何の意味があるのかな思った。 しかし、振り返って見ると僕の人生は愛する人達と共に過ごしてきたので、そこまで悪くはなかったと思ってきた。 最初病院に入った時には気づかなかったが、ここからの眺めはなかなか素晴らしい。 皆いつまでも幸せになってほしい。
失った名前を取り戻すためには砂漠の王様に会わねばならない! 神秘的な森の中から広がる幻想的な冒険。 果たしてドンミョンは自分の名前を取り戻せるのか。