力石徹の死後、逃げるようにリングを離れ、街から街へ流れ続けた矢吹丈。しかしかつてのライバルたちに出会うことで、再びリングに立つことを決意する。カーロス・リベラ、金 竜飛といった数々の世界ランカーと死闘を繰り広げ、遂にチャンピオンに君臨するホセ・メンドーサとのタイトルマッチにまでたどり着く。
ボクシングに青春をかけたハングリーな生き様を描いた不朽の名作。真っ白に燃え尽きる感動のラストシーンは、見る者の心に深い感動を焼き付ける。
ボクシングに全てをかけたジョーのハングリーな生き様を描く不朽の名作
■キャスト
矢吹丈:あおい輝彦
丹下段平:藤岡重慶
白木葉子:田中エミ
林紀子:森脇恵
西寛一:だるま二郎
力石徹:仲村秀生
サチ:白石冬美
キノコ:堀絢子
ゴロマキ権藤:渡部猛
青山:小宮山清
カーロス・リベラ:中尾隆聖
ホセ・メンドーサ:宮村義人、他
■スタッフ
高森朝雄、ちばてつや
監修:梶原一騎
企画:吉川斌、川野泰彦
プロデューサー:高橋靖二、加藤俊三
文芸担当:飯岡順一
脚本:篠崎好、山崎晴哉、高屋敷英夫、他
演出(監督):出崎統
作画監督:杉野昭夫
美術監督:男鹿和雄
音楽:荒木一郎
テクニカルアドバイザー:高山将孝
力石徹をリング上で死に至らしめた矢吹丈は一人街を彷徨っていた。一方ヤクザの用心棒に身を落としたウルフ金串は、ゴロマキ権藤のゴロマキ殺法の前になす術も無い。見兼ねたジョーが止めに入るが…。
久しぶりに丹下ジムに戻って来たジョーは皆の歓待を受ける。力石の墓参りを済ませ、再起に賭ける。西とのスパーリングでかつての威力あるパンチを見せつけたジョー。いよいよ再起第一戦のゴングが鳴る!
圧倒的な強さで対戦相手を病院送りにするジョー。ボクシング協会はジョーを危険視し、ある陰謀を企てる…。タイガー尾崎との試合を控えたジョーは、段平の心配をよそに出稽古へ。そこには陰でジョーを観察する人間がいた。
いよいよ尾崎との対戦。しかし試合前、尾崎サイドの人間が「矢吹には致命的な欠点がある」と指摘!?力石を殺したトラウマから敵の顔面にパンチを打ち込めなくなったジョー!尾崎の猛攻を防ぎきれるのか?
屈辱的な敗北を喫したジョーは、紀子の暖かいサポートを受け練習に励む。段平の反対を押し切り、ジョーと原島の対戦が組まれた。原島の顔面にパンチが炸裂した時、ジョーに異変が…!?
ジムの皆が見守る中、ジョーは心身共に傷だらけにもかかわらず、更に猛練習を重ねる。さて次の対戦相手は?「絶望よりもたちの悪いピンチがある…」?!カーロスリベラがリングサイドで見守る中、ジョーは南郷と対戦!
「ボクサーとして矢吹丈はもう死んだんだ!」段平はジョーに引退をすすめるが…またしても嘔吐してしまったジョー。丹下ジムに戻ると、西が腕を負傷していて…!?
段平がジョーに無断でついにジムをたたんでしまった!!ジョーはどうする…?白木ジムを訪れたジョーは、カーロスとのスパーリングを志願する。互いの本音が…野性が…呼び覚まされる!!
カーロスと熱く拳を交えるうちに、ジョーはしだいに力石の亡霊から解き放たれていく…!!カーロス対タイガー尾崎戦が始まった!リング上でカーロスは、ジョーに向かって1ラウンドKOを予告!!
今日はクリスマス。ささやかな幸せに満ちたドヤ街で、闘志は静かに降り積もる。雪の降りしきる公園で、カーロスとの決着を申し出たジョー!一方カーロスは…。
カーロス対ジョーの試合がついに実現!大晦日の晩、除夜の鐘とともに熱き魂のゴングが鳴る!!息詰まる熱戦を繰り広げるカーロスとジョー。十八番のクロスカウンターを破られたジョーはロープ際で…!?
強烈なアッパーをお見舞いされ、失神したジョー!しかし、心の底から全力を出し尽くすまでは、絶対に負けられない…!!カーロスの必殺技「見えないパンチ」が炸裂!互いの持てる力のすべてをぶつけ合い、大激戦は続く…!
カーロス戦を終え、平和な正月を迎えたジョーたち。そんな中、西だけがくすぶる思いを消化しきれずにいた…。段平たちのはからいで、西の引退披露パーティーが開かれた!西は、ジョーと最後のスパーリングがしたいと願い出る…。
ファイト・マネーを受け取りに白木ジムへ出向いたジョーは、そこでカーロスが再起不能になった事を知る…!!雨上がりの公園で二人きりになったジョーと紀子。紀子はジョーのことを思い、「ボクシングやめたら」と進言するが…。
なかなかジョーの対戦相手が決まらないことに段平は焦り、葉子を頼った。葉子が用意したボクサーとは…?ジョーの次の対戦相手は東洋5位のボクサー、ウスマン・ソムキッド!カーロスへの思いを胸に抱き、序盤から猛ラッシュのジョー!
ウスマン・ソムキッドを見事ノックアウトしたジョー!そんなある日、須賀というルポライターがジョーに近づいて「俺はあんたよりもあんたを知っている」と…。カーロスの仇でもあるホセと一日でも早く対戦したいジョーは、東洋三位を相手に怒涛の攻撃…!
テレビ関東の大橋運動部長から、ジョーの試合の独占放送が発表された。そして祝賀会には意外な男の姿が…!!祝賀会を終え、ホセを新たな標的に定めたジョー。丹下ジムへ戻り、シャツを脱いだジョーの両腕には…。
「ヤブキはどこから来、どこへ行くつもりなのか?」須賀が伝えたホセの言葉は、ジョーの本質をついたものだった…。東洋チャンピオン金の公開練習を見物した段平。その冷酷な試合運びに嫌な予感を抱く段平だが、ジムへ帰ると、そこには金が待っていた…!
葉子は須賀に依頼して金の情報を探らせる。一方、金サイドも盗み撮りをしながらジョーの情報を集める…。金は2階級上の剣持と対戦。チャンスにも敢えて攻め込まず、冷静に相手の疲労を伺う金に、ジョーと段平は背筋に冷たいものを感じる。
東洋タイトル戦まであと3週間。思うようにウエイトが落ちないジョーは、ジムを閉め切ってストーブを焚くなど、危険な減量を始める。段平に減量を止められたジョーは、絶食するために屋根裏に引きこもる。
葉子からジョーの所在を知った段平は、無理やりジョーを連れ出そうとするが、失敗する。減量が極限状態まで達したジョーは、在りし日の力石のように、水を求め苦しみだす。その顔は、死人のように痩せこけ、唇だけが腫れていた。
試合当日の朝、10時になり、コミッショナーの計量が始まる。金が計量をパス。しかし、ジョーは計量オーバーしていた。そこで初めてジョーはジムの秤に細工がされていたことを知る。そして、下剤を飲み、サウナに入り、血を抜くことによって計量をパスした。
試合会場の蔵前国技館で、ジョーは一眠りしていた。起きたジョーを段平はレストランへ連れて行く。段平と入れ替わりに、金が現れた。金はジョーの前の席に座り、自分の過去を話し出すのだった。
試合直前、玄は記者のインタビューを受け、勝利宣言をする。控え室の段平と西はジョーを励ますが、そこにいるのはいつものジョーではない……。案の定、試合でも防戦一方のジョー。しかし何度ダウンを奪われても、再び立ち上がるのであった。
限界を超えてなお倒れぬジョーに、金の冷徹な計算が狂い始める。一方、なぜ立ち上がれるのか自分でも分らずにいたジョーは、その答えが力石への思いにあることに気づく。その壮烈な死に立ち会った者としての矜持が、倒れることを許さないのだ。
金竜飛から東洋太平洋タイトルを奪取し、ジョーの次なる目標は世界チャンピオンのホセ・メンドーサ。かつて、日本にも一人だけ、ホセと闘ったことのあるボクサーがいると、須賀から情報を聞かされたジョーはその男に会いに行く。
ジョーに敗れてボクシング界を去ったウルフ金串。彼と再会したジョーは、知人のボクシングジムでトレーナーをしている事を知り、ウルフの再起を素直に喜ぶ。資金難に苦しむそのジムの為、ジョーは段平から金を借り融資するが、返済の期日にウルフは現れなかった。
東洋太平洋タイトルを手にしたジョーは、ハワイで初防衛戦を行う事になった。海外での対戦を面倒がるジョーだが、ホセがハワイで試合をすると聞きその気になる。しかし、待ち受けていたのは「カーロスを廃人にした男」ジョーに興味を持つ報道陣だった。
リングサイドのホセを意識しすぎて、2ラウンドKOを予告するジョー。しかし、ガードを固める挑戦者に対し思うように戦えず、大振りのパンチを出し続けカウンターの餌食になる。だが、予告失敗で開き直ったジョーは渾身の左で勝利をもぎ取る。
防衛戦を終えたジョーは、ハワイで束の間のオフを過ごす。一方、葉子は、ホセが持つ世界タイトルの防衛戦の興行権を獲得する為、ホセに密着していた。そんな葉子の紹介でジョーは、休日を家族と過ごす余裕たっぷりのホセと対面する。
ジョーたちが見守る中、ホセの試合が始まった。しかし、ホセは、対戦相手に好き放題にパンチを打たせ周囲を驚かせる。段平はそんなホセに底知れぬ脅威を感じた。その後、リングの上で起きた光景に観衆は凍りついた。
世界への階段を上りはじめたジョーに世間の注目が集まり始めた。そんな中、段平の念願だった新ジムが完成する。しかし、ジョーと段平は新しい部屋に寝付けず旧ジムに戻ったところで鉢合わせる。二人は言葉少なに酒を酌み交わす…。
バンタム級統一王座を賭け、ホセがもう一人のチャンピン・ゴメスと対戦する事になった。ジョーは、その勝者と対戦する権利を賭け、ニューヨーク出身のボクサー・レオンと戦う。しかし、ホセの事ばかり考えているジョーは、実力を発揮できない。
レオンの猛攻に守勢に立たされるジョーだが、持ち前の喧嘩屋魂に火がつき試合は乱戦になる。何とか僅差の判定で勝利を手にしたジョー。試合後、互いの健闘を称えあうジョーとレオン。その後、レオンに悲劇が襲いかかった。
ホセとゴメスの統一タイトル戦を観戦するジョー。世界チャンピオンのゴメスに敬意を払うというホセの余裕のパフォーマンスに反感を隠せない。しかし、神業的なディフェンスを終えたホセは必殺技のコークスクリューパンチでゴメスを倒す。
テレビやイベントに引っ張りだこのジョーに、本来の野生の鋭さが薄れていくのを感じた葉子は、タイトルマッチに先立ちもう1試合開催する事を条件に興行権を譲渡する。そして、その対戦相手を探す為に、アジア全土に「野生の獣のような挑戦者」を探すべく社員を派遣した。
ジャングルの奥地で育ち、凄まじい闘いかたでKOの山を築いているハリマオという男がジョーの対戦相手に決まった。ホセとの試合を前に、他の事に気乗りしないジョーは、挨拶に来たハリマオに不意をつかれ殴り倒されてしまう。
野性児ハリマオに二度までも屈辱を味わされたジョー。自身の気の緩みを自ら認め、ハリマオ戦を承諾するジョー。ボクシングの枠に収まらないハリマオ戦の準備の為に、ゴロマキ権藤を訪ね。助力を乞う。そして、権藤の常識破りのトレーニングが始まった!。
野生児・ハリマオと喧嘩屋・ジョーの闘いのゴングが鳴った。常識を超えたハリマオの動きに撹乱されるも、ストリートファイターとしてのカンを取り戻したジョーには敵ではなかった。しかし、パンチドランカーとなったカーロスの登場にジョーは…。
葉子の計らいで箱根のサナトリウムに収容されたカーロスだが、「回復不能」という冷酷な診断を受けた。そんな中、ジョーの身体にも異変が起き始める。ジョーもパンチドランカーではないかと不安に怯える段平。どうなるジョー!?
ようやく長年の思いを実らせ紀子と結婚する事になった西を、苦楽を共にしてきた仲間として祝福するジョー。ささやかな幸せを感じるのも束の間、全てを賭けたホセとの対戦に闘志を燃やすジョーはカーロスに勝利を誓う。
ジョーの体調の異変に気づいた葉子は、パンチドランカー症の権威に調査を頼む。カーロスを廃人にしたのはホセのパンチだった。試合を止めようとする葉子だが、ジョーは連絡を絶ってしまい、黙々と練習を続けるのだった…。
何とか本人に症状の事を伝えたい葉子は、雑音から遠ざかり八ヶ岳で合宿をするジョーを訪ねるが、運悪くロードワークに出ていて会う事ができなかった。葉子は力石の墓前にて霊に助力を請が。運命の歯車は残酷に時を刻む。
世界タイトル戦当日、会場にはかってジョーと関わった人々が集まっていた。少年院で一緒だった面々、他にも権藤、ウルフ。そんな中、葉子はようやくジョーと会う。しかし、そこには命の危険など顧みず試合に向かう男の姿しかなかった…。
ゴングが鳴った。猛ラッシュに出るジョー。完璧なディフェンスで、ジョーの攻撃をかわし、確実にヒットさせるホセ。万事休すかと思われたその時、ジョーのパンチが当たりだす。予想外の反撃にホセの計算が狂いだす!
ジョーの反撃に戸惑うチャンピンだが、パンチドランカー症状に蝕まれ右眼の視力を失いかけている事が原因と気づき勝利を確信する。死角に回り込まれ、パンチを浴びるジョー。もう誰にもジョーを止める事はできないのか!?
ホセの勝利を誰もが疑わなくなったリングに、変化が起こり始めた。死闘の中でジョーは、ホセと同じようにディフェンスをし、コークスクリューまで繰り出す様になった。倒されても這い上がってくるジョーの姿に、ホセは未知の恐怖を抱き始めた…。