無計画で夢見がちな売れない漫画家・片桐聡(29)は、ある朝ふいに思い立って大阪から上京する。東京で生活するために部屋を探し始めるが、貧乏な片桐に勧められるのは、壁に血のりがついているような訳あり物件ばかり。やっと見つけた「松風荘」は、活きた毛がにを引越し祝いにプレゼントする愉快で怪しい住民達が暮らしているアパートで、遠くに東京タワーならぬ田無タワーが見える。住まいも気に入り、“おのぼり生活”が軌道にのりかけた上京4日目、片桐が唯一連載していた雑誌が休刊に!貧乏な漫画家から、いきなりただの漫画家を夢見る無職の男になってしまった。 それでも、変わり者の編集者やカメラマン志望の高校の同級生・野島由美子などとの出会いで“自分なり”に前を向く片桐に、ある日父に末期ガンが見つかったと連絡が入り…