台湾では、お祝いごとには屋外で宴席が設けられ、そこで腕を振るう、総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれるおもてなしの心を極めた宴席料理人がいた―
その中でも、“神”と称された伝説の料理人を父に持つシャオワンは、料理を嫌い、モデルを夢見て家を飛び出していたが、父の死をきっかけに帰省。そこで父がレシピノートに残した“料理に込めた想い“に心を動かされたシャオワンは、時代の趨勢で衰退の一途をたどっている宴席料理の返り咲きをかけ、全国宴席料理大会への出場を決意する。
しかし料理は初心者。
果たして、シャオワンは父の想いを引き継ぎ、人々のお腹も心も幸福で満たす“究極の料理”に辿りつくことができるのか?
■キャスト
パフィー/アイフォン(愛鳳):リン・メイシウ(林美秀)
イエ・ルーハイ(葉如海):トニー・ヤン(楊祐寧)
ツァン・シャオワン(詹小椀): キミ・シア(夏于喬)
道化師: ウー・ニエンチェン(吳念真)
蠅師:クー・イーチェン(柯一正)
鬼頭師:キン・ジェウェン(喜翔)
■スタッフ
監督/脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勲)
プロデューサー:リー・リエ(李烈)、イエ・ルーフェン(葉如芬)
撮影監督:チェン・シャン (銭翔)
美術:ホワン・メイチン (黃美清)
編集:チョン・カーワイ(張家維)
音響:フランク・チョン(鄭旭志)
音楽:オウエン・ワン (王希文)
主題歌:マー・ニエンシエン(馬念先)
台北で暮らす売れないモデルのシャオワンは、ファッションとお化粧が大好きなオシャレ命の女の子。そんな彼女の父は、南部で“神”とも称された伝説の宴席料理人“蠅(ハエ)師”だった。料理人が数点の調理器具だけを持って依頼人の元に出向き、主に屋外で催される宴会で料理を作るという“辦桌(バンド)”と呼ばれるそのスタイルは、台湾の伝統的な美食文化。
伝統を繋げたいと願う父は、幼いシャオワンの才能を見抜いて料理を仕込もうとしてきたが、料理に興味が持てぬまま成長した彼女は、父から死の間際に託されたレシピノートも持て余していた。
ある日、シャオワンが惣菜と電子レンジを駆使したご馳走を作って同居する恋人の帰りを待っていると、怪しい2人組の男たちがやってくる。男たちは恋人が作った莫大な借金の借用書と、保証人の欄にあるシャオワンのサインを見せて、3日以内の返済を迫るのだった。返済のあてがないシャオワンは、夜逃げを決意する。
持てるだけの荷物を抱え、呆然と街で座り込むシャオワン。そこに一人のホームレスが忍び寄り、紙袋をひったくった。中に入っていた父のレシピノートごと。実家へと帰る列車の中でそのことに気づき、ショックのあまり荷物を置き忘れて列車を降りるが、同じ車内に乗り合わせた男が親切にも追いかけて持ってきてくれたのだった。
やっとの思いで実家にたどり着くも、家はなぜか差し押さえにあっていた。夜逃げ先で食堂を開いていた継母のパフィーの話では、亡き夫を裏切った弟子ツァイとの料理対決で負けて、借金を負ったのだという。料理の才能がないパフィーの食堂はいつもガラガラ。2人が作った借金を返す目処も立たない。
数少ない常連客を相手に細々と商売をする2人のところに、蠅師を訪ねて高齢のカップルがやってくる。曰く、自分たちの結婚式のため、2人が出会いの場で食べた思い出の古早(クーザオ)料理を作って欲しいという。蠅師が死んだこと、自分たちには彼らが希望する古早料理が作れないことを理由に断ろうとするパフィーだったが、料理がないと結婚できないという2人の言葉を聞いたシャオワンは、「あなた方を幸せにします」と、無謀にもその依頼を受けてしまう。
安請け合いしたものの、料理のことを何も考えていないシャオワン。常連客の「どんな料理でも教えてくれる料理ドクターがいる」という情報を頼りに、その人物を呼ぶことに。やってきたのは、列車でシャオワンに荷物を届けてくれた男だった。“北方の16刀流 料理ドクター、イエ・ルーハイ”と名乗るその男は、鮮やかな手つきでたちまち老夫婦のリストの中の一品を作るが、他の古早料理は知らないという。そこでパフィーとシャオワンのおぼろげな記憶を頼りに、3人でしばらく古早料理を研究することになる。
同時に、50年前に老夫婦が食べたという宴席料理が蠅師の師匠である虎鼻(コビ)師の手によるものと知ったルーハイは、シャオワンとパフィーに〝人間レシピ本“と呼ばれる虎鼻師の元を訪れるようアドバイスする。
突然訪れた2人をお世話係のローズマリーとともに歓待する虎鼻師。ところが古早料理のレシピを教えてほしいというパフィーの願いを何故かスルー。機転を利かせたシャオワンの「得意料理が食べたい」というリクエストで、ローズマリーが作ったビーフンを食べた2人はあまりの美味しさにびっくり。他の得意料理もとせがむが、師はボケていて、自分が誰なのかもわからなくなっていた…。
店に戻った2人は早速ルーハイにビーフンを作ってみせる。その美味しさに感服したルーハイは、自分が料理人として呼ばれているビーフン好きなシュー社長の宴席でこのビーフンを作るよう、2人に提案する。その結果、料理の腕を認められたシャオワンたちは、政府が主催する全国宴席料理大会に出場するよう社長に薦められる。
次第に惹かれ合っていくルーハイとシャオワンだったが、一緒に遠出をしたときにある話題から気まずくなってしまう。間もなくルーハイは、彼の師匠に頼まれてパフィーの敵であるツァイのゴースト料理人として宴席料理大会に参加することに。
20年前、台湾にいたという3人の料理の達人は、北部の“人”、 中部の"鬼”、南部の“神”。シャオワンの父親は“神”と呼ばれた蠅師だが、ルーハイの師匠こそ”鬼“の”鬼頭師”だったのだ。一方、追いかけてきた借金取りに脅されたシャオワンも、優勝賞金を目当てに大会に出場することを決意。なぜか借金取りたちを助っ人として伴い、そこに家を追い出された虎鼻師とローズマリーも加わって、頼りない一行が台北へと向かう。
台北のホテルの裏口で、ひょんなことから父のレシピノートを奪ったホームレスと再会したシャオワン。ノートを返してもらうも、ほとんどのページが彼の薪代わりになっていた。そのお詫びにと、料理をご馳走になったシャオワンは、彼こそが残る伝説の料理人の“人”、“道化師”だと知る。人の心の味がすると言われる道化師の料理を味わい、なぜか涙が出てくるシャオワン。「料理で人を幸福にする」という道化師の考えに心を動かされるのだった。
2日後に迫る料理大会。未だに予選で出す前菜のメニューさえ決まっていない彼女は、どんな料理を作るのか? 失われたレシピノートに込められた父の思いとは? 借金返済と老夫婦の結婚式、そしてルーハイとの恋の行方が絡んだ、絶対に負けられない戦いが今、始まる―—。
台北で暮らす売れないモデルのシャオワンは、ファッションとお化粧が大好きなオシャレ命の女の子。そんな彼女の父は、南部で“神”とも称された伝説の宴席料理人“蠅(ハエ)師”だった。料理人が数点の調理器具だけを持って依頼人の元に出向き、主に屋外で催される宴会で料理を作るという“辦桌(バンド)”と呼ばれるそのスタイルは、台湾の伝統的な美食文化。
伝統を繋げたいと願う父は、幼いシャオワンの才能を見抜いて料理を仕込もうとしてきたが、料理に興味が持てぬまま成長した彼女は、父から死の間際に託されたレシピノートも持て余していた。
ある日、シャオワンが惣菜と電子レンジを駆使したご馳走を作って同居する恋人の帰りを待っていると、怪しい2人組の男たちがやってくる。男たちは恋人が作った莫大な借金の借用書と、保証人の欄にあるシャオワンのサインを見せて、3日以内の返済を迫るのだった。返済のあてがないシャオワンは、夜逃げを決意する。
持てるだけの荷物を抱え、呆然と街で座り込むシャオワン。そこに一人のホームレスが忍び寄り、紙袋をひったくった。中に入っていた父のレシピノートごと。実家へと帰る列車の中でそのことに気づき、ショックのあまり荷物を置き忘れて列車を降りるが、同じ車内に乗り合わせた男が親切にも追いかけて持ってきてくれたのだった。
やっとの思いで実家にたどり着くも、家はなぜか差し押さえにあっていた。夜逃げ先で食堂を開いていた継母のパフィーの話では、亡き夫を裏切った弟子ツァイとの料理対決で負けて、借金を負ったのだという。料理の才能がないパフィーの食堂はいつもガラガラ。2人が作った借金を返す目処も立たない。
数少ない常連客を相手に細々と商売をする2人のところに、蠅師を訪ねて高齢のカップルがやってくる。曰く、自分たちの結婚式のため、2人が出会いの場で食べた思い出の古早(クーザオ)料理を作って欲しいという。蠅師が死んだこと、自分たちには彼らが希望する古早料理が作れないことを理由に断ろうとするパフィーだったが、料理がないと結婚できないという2人の言葉を聞いたシャオワンは、「あなた方を幸せにします」と、無謀にもその依頼を受けてしまう。
安請け合いしたものの、料理のことを何も考えていないシャオワン。常連客の「どんな料理でも教えてくれる料理ドクターがいる」という情報を頼りに、その人物を呼ぶことに。やってきたのは、列車でシャオワンに荷物を届けてくれた男だった。“北方の16刀流 料理ドクター、イエ・ルーハイ”と名乗るその男は、鮮やかな手つきでたちまち老夫婦のリストの中の一品を作るが、他の古早料理は知らないという。そこでパフィーとシャオワンのおぼろげな記憶を頼りに、3人でしばらく古早料理を研究することになる。
同時に、50年前に老夫婦が食べたという宴席料理が蠅師の師匠である虎鼻(コビ)師の手によるものと知ったルーハイは、シャオワンとパフィーに〝人間レシピ本“と呼ばれる虎鼻師の元を訪れるようアドバイスする。
突然訪れた2人をお世話係のローズマリーとともに歓待する虎鼻師。ところが古早料理のレシピを教えてほしいというパフィーの願いを何故かスルー。機転を利かせたシャオワンの「得意料理が食べたい」というリクエストで、ローズマリーが作ったビーフンを食べた2人はあまりの美味しさにびっくり。他の得意料理もとせがむが、師はボケていて、自分が誰なのかもわからなくなっていた…。
店に戻った2人は早速ルーハイにビーフンを作ってみせる。その美味しさに感服したルーハイは、自分が料理人として呼ばれているビーフン好きなシュー社長の宴席でこのビーフンを作るよう、2人に提案する。その結果、料理の腕を認められたシャオワンたちは、政府が主催する全国宴席料理大会に出場するよう社長に薦められる。
次第に惹かれ合っていくルーハイとシャオワンだったが、一緒に遠出をしたときにある話題から気まずくなってしまう。間もなくルーハイは、彼の師匠に頼まれてパフィーの敵であるツァイのゴースト料理人として宴席料理大会に参加することに。
20年前、台湾にいたという3人の料理の達人は、北部の“人”、 中部の"鬼”、南部の“神”。シャオワンの父親は“神”と呼ばれた蠅師だが、ルーハイの師匠こそ”鬼“の”鬼頭師”だったのだ。一方、追いかけてきた借金取りに脅されたシャオワンも、優勝賞金を目当てに大会に出場することを決意。なぜか借金取りたちを助っ人として伴い、そこに家を追い出された虎鼻師とローズマリーも加わって、頼りない一行が台北へと向かう。
台北のホテルの裏口で、ひょんなことから父のレシピノートを奪ったホームレスと再会したシャオワン。ノートを返してもらうも、ほとんどのページが彼の薪代わりになっていた。そのお詫びにと、料理をご馳走になったシャオワンは、彼こそが残る伝説の料理人の“人”、“道化師”だと知る。人の心の味がすると言われる道化師の料理を味わい、なぜか涙が出てくるシャオワン。「料理で人を幸福にする」という道化師の考えに心を動かされるのだった。
2日後に迫る料理大会。未だに予選で出す前菜のメニューさえ決まっていない彼女は、どんな料理を作るのか? 失われたレシピノートに込められた父の思いとは? 借金返済と老夫婦の結婚式、そしてルーハイとの恋の行方が絡んだ、絶対に負けられない戦いが今、始まる―—。