1968年版『妖怪人間ベム』は、人知を超える能力を持ったベム、ベラ、ベロの3人の妖怪人間が、罪なき人々を狙う恐ろしい妖怪や悪霊、悪人たちに立ち向かう姿を描いた、記念すべきシリーズ第1作だ。善行を重ねることで人間になれると信じ、危険を顧みず異形へと変身して悪と戦う妖怪人間たち。だが、戦いで見せる彼らの異形と強力な力は人間たちから忌み嫌われ、流浪の旅を繰り返さねばならない悲しき運命を背負っている。「はやく人間になりたい」と願う彼らに安息の時は訪れるのか……?
■キャスト
ベム:小林清志
ベラ:森ひろ子
ベロ:清水まり
ナレーション:藤本 譲
■スタッフ
原作:さかい・さぶろう
監修:なつい・じゅん
脚本:A・L・C・A
演出:石黒 昇、若林忠生、柳田灸次郎、佐々木治次
作画:森川信英
泥沼に突き落とされた少年ピーターを助けたベロは、ある計画を知る。貧しいピーターに大富豪の祖父母がいると知った女一味が、ピーターの替え玉を用意して資産を横取りしようとしているのだ。ベロは老夫婦がピーターを迎えに来る列車のホームで一味と対決。応援にかけつけたベラは悪女に幻覚を見せる。骸骨仕掛けの枕木の上を疾走してくる列車!悪人たちの野望は見事に踏み砕かれた。
雷雨の夕刻、ベムたち三人は、無人のシャーウッド家の別荘で雨宿り。そこに入ってきたのは、シャーウッド家の継母アリスに雇われた殺し屋たちだった。アリスは息子のジミーを殺して財産を一人占めにしようとしていたのだ。アリスをこしめ、改心させようとするベロとベラは、次々と超能力で攻撃する。しかしジミーは継母をいじめる妖怪人間たちに憎しみの目を向けるのだった。
月に一度、子供を人身御供に出す習慣のある町。今月はベロと友達になった少女エミリーの番だ!ベラはエミリーの身代わりとして井戸に放り込まれる。しかし井戸の底でベラが見たのは町の男たちと楽しそうな子供たちの姿。実は一年前に死んだ旅の女の呪いで、毎月13日になると町の女たちが子供を襲うため、男たちが保護していたのだ。ベム、ベラ、ベロは呪いを解こうと、霊と対決する。
金庫破りから真面目なマネキン職人モンクを、再び悪の道に引きずり込もうとする一味の姿を目撃したベロ。一味の首領ジェロニモは、「金庫破りに協力せねば過去の悪行を娘のルルにばらす」とモンクを脅す。ベロはモンクの日記を警察に渡したことでルルに責められるが、実はそれはベロを陥れるジェロニモの策略だった。ベロは潔白を証明するため、ルルに自分の正体を見せる。
公園で殺人を目撃したベロは、現場に残されていた一本のろうそくを取りにきた女の後を追いかけた。そこは古い12階建てのビルの13階にある「サタンの神殿」で、最後の饗宴に招かれた信者たちが集まっていた。信者たちは肝を差し出せと言われて顔色を失っている。潜入したベロは巫女に捕まるが、鋭いカマの餌食になる寸前、ベムが現れた。巫女は死神のような姿に変身しベムと対決する。
恐ろしい幽霊船が出現する町。ベロは正体を探るために単独船に向かう。幽霊と呪いをかけられた船長たちに襲われたベロは、老人とその孫に助けられる。元市長だった老人は副市長のアレックスに騙され娘を奪われた挙げ句、海に転落させられたところを幽霊船に救出されたのだという。幽霊船長に魂を売って復讐を誓う老人とベロは、記憶喪失の娘の娘をアレックスから取り戻そうとする。
激しい雷雨の中、ベロはアントニオ少年とその母の場馬車に乗せてもらう。母子と御者は若い女主人の不気味な一軒家に泊まることになったが、ベロは近くの地面に人骨を発見して驚く。不審に思ったベロは屋根裏に忍び込み、女主人が実は人食い鬼婆であることを知る。アントニオ母子が危ない!ベロはベムに応援を求め、鬼婆を退治するのだった。
山の上にそびえ建つマンストール博士の屋敷を訪ねた悪党ゴーレムは、命令通りに動く人造人間を作って欲しいと注文する。ある晩、ベロは町で出くわした銀行強盗犯人の中に、ベラの姿を目撃した。ゴーレムは偽物のベラを博士に作らせ犯行を重ねていたのだ。怒ったベラはゴーレム一味を追う。マンストール博士が本当に人間の命を作ったのだとすれば、妖怪人間たちの生みの親は……?
ベロは古い屋敷の地下室で棺桶と大きな鏡のある部屋を見つけた。そこへ、白髪の男と醜い娘ジュリエッタが現れた。ジュリエッタは子供のときから鉄格子に閉じ込められており、いつも鏡を見ては自分の醜さを悲しみ、父を責めるのだった。ベロが鏡に向かったとき、いきなり手が伸びベロを引きずり込む。死んでしまったジュリエッタの恨みと悲しみが妖気となって鏡に生きていたのだ。
生みで死んだ船乗りたちの悪霊は、人を殺すために黒影島に伝説の人魚を登場させた。人魚の正体はニーナという人間の少女なのだが、悪霊たちに脅されてやむなく人魚の格好をして歌を歌っているのだ。ベムがこっそり乗っていた船が難破、悪霊たちは次々と船員を海中へ引きずり込む。洞窟の中でニーナと出会ったベロは、ベムとベラの協力を得て悪霊退治に挑むのだった。
荒野の中、鞭を手にしたミイラたちに多くの人間が連行され、その中にベロの姿もあった。行き先はかつてマキシマム城があった場所。神の怒りによって埋められた王と王妃のミイラがあるという。王国再建のために人間たちは拉致され、発掘労働をさせられていただのだ。ベロが掘り起し復活した王は人間を皆殺しにしろ、と命令する。王の野望を打ち砕くため、ベムとベラが立ち上がる。
街を歩くベロの足下に落ちた一冊の絵本は、長い間原因不明の病気に悩まされているマリーのものだった。マリーはベロに森の中の湖の底に沈んでいる鐘をどかしてくれと言う。探し回るベロの前に森の支配者である巨大な大木が現れた。静かな余生を送っていた大木は、それを乱すベロたちを攻撃。だが、ベムのステッキが大木を倒し、やっと湖の底から引き上げた鐘からは一匹のコイが現れた……。
山のホテルに泊まっていた男が殺され、その悲鳴を聞いて部屋に飛び込んだベラに殺人容疑がかかった。殺された男の姉は、犯人はベムとベラだと供述する。真犯人を探すためベロが調査を開始したところ、実は男の姉は人肉を食らう狼の化身であり、ベムとベラに罪をなすりつけたのだった。ベロからの報告を受けたベムは、身の潔白を晴らそうと狼胎児に乗り出す。
博物館に飾ってあった気味の悪いお面を盗み出したケン少年。彼と出会ったベロはお面を元に戻すように一緒に博物館に付き合うが、どうも館内の様子がおかしい。やがてケンと守衛が忽然と姿を消した。光の洩れている部屋ではその昔ギロチンで殺されたお妃の霊が中世の鎧に「人間を殺せ」と命令している。ベロはたったひとりで事件を解決しようと躍起になる。
公園にあった彫像をうっかり壊してしまったベロ。しかし、その破片には人間の髪の毛が付いていた。ベムは人間を石膏で固めたのだろうと推理し、次の被害者が出る前にと、犯人捜しを開始する。その頃、彫刻家のダモンは画商から女の子の像を注文され、町をうろついていた。ルミという少女に目を付けたダモンは、それまでの優しい表情が激変し、突然殺人鬼と化した……。
ベムたちは雨やどりのため、ガスコン家を訪ねた。テリー少年の好意で馬小屋に泊めてもらった翌朝、ベロはテリーが重体になったと知って驚く。テリーの祖父が怪しい、と追跡するベロ。しかし祖父はヒミツの地下室にある古井戸で、自分の命と引き換えにテリーの命を助けてくれと祈りを捧げていた。祖父が去った後、古井戸から現れたのはテリーの母親になりすました化け物だった……。
町にそびえる鉄塔の建設関係者が次々に死んでいく。現場にいたベラが怪しい鬼火を見て追跡すると、たどり着いたのは鉄塔の下。鬼火の正体は、人間に墓を荒らされ、勝手に鉄塔を建てられたことに怒った亡霊だったのである。ベラは鉄塔の上にある水槽の中に引きずり込まれた。ベラを探すベロは、鬼火がビルの中に入っていくのを目撃する。怨霊たちを止めないと、また犠牲者が出てしまう!
グレースと小さなナタリー姉妹の家に居候しているベロたち。古道具屋から買ってきたカツラをかぶって寝たグレースは何者かに首を絞められる。ベムがカツラを返しに行くと、それは絞首刑になった女囚人たちの髪の毛で出来ていることが解ったが、カツラは突然舞い上がり、何も知らないベロとナタリーの前に落ちる。女囚の呪いにより次々と女たちを殺害していた恐怖のカツラ……二人はどうなる?
都市開発でゴーストタウンと化した町に、門のような形の建物が残っていた。ベムは怪しい気配を感じる。この門は、生きている人間たちと死者の世界をつなぐ霊界への入り口であり、死神が現実の世界に未練を残して死んだ若い母親ジェーンを利用して彼女の親類縁者を霊界に送り込もうとしていたのだ。ベムはベラとベロが見守る中、死の危険を冒して死神と闘いを繰り広げる。
大根役者カールは舞台で悪魔の役をもらうが、仲間からも馬鹿にされるほど上手くいかない。カールは演技のためなら悪魔に魂を売り渡してもかまわないと嘆く。一夜明け、ステージで打って変った見事な演技を見せるカール。しかし、本番に登場したのはカールではなく本物の悪魔。彼の芝居にただならぬ妖気を感じたベムは悪魔の世界に入り込み、一対一の決闘に挑む。
修道僧に囲まれ痛めつけられていた青年フーガを助けたベロ。フーガは僧侶にさらわれた父の救出をベロに頼む。一方でベムとベラは僧侶たちに協力を頼まれていた。半年前、狂暴な吸血鬼を捕らえたが、その息子が奪い返しに来るというのだ。夜、吸血鬼を見張るベムとベラの前に、短剣を忍ばせたフーガが忍び込む。フーガに味方するベロは、ベムとベラに鉢合わせしてビックリ!
満月の夜、広場に残された古い電車に入ったベムたち。それはベロが夢に見た電車で社内にはたくさんのミイラが山積みになっていた。町には無数のカラスが住みつき人間を襲っているらしい。少女リルに母親を埋葬するため電車に入ったベロにカラスたちの攻撃が始まった。ベムはカラスたちを操り人間の魂を食うカラス男を倒すために、無限の世界に入っていく。
人間の魂を抜き取って食べてしまう化物姉妹がいた。ベムたちはそれを知って姉妹の屋敷に忍び込むが、ベロが捕まってしまう。そこには魂を抜かれ屍となってさまよう大勢の亡者がいた。ベムとベラはさらわれた人々とベロを救出し、大苦戦の末、化物姉妹を退治。しかし事件解決に手をこまねいていた警察は、屋敷に火をつけてしまう。燃え盛る炎の中、妖怪人間たちは姿を消した……。
過去にいろいろとあった狩野英孝が、『妖怪人間ベム』の歴史を辿りながら“マトモな人間”になるためのヒントを探すお勉強ドキュメント。「はやく人間になりたい」と一心に願い続けた妖怪人間たちにとっての”人間”とはなにか。はたして狩野英孝はなるべき”人間”の姿を見つけられるのか!?貴重な資料やキャスト、スタッフのインタビューもあるのでお見逃しなく!