ルーマニアの洋館を買い取り、そのまま東京に運び込んできたら、その洋館には吸血鬼のドン・ドラキュラ、娘のチョコラ、召使のイゴールが住み着いていたからさぁ大変、といったコメディー・ホラーが展開します。手塚プロダクションとしては久しぶりのテレビシリーズとして作られたのですが、4話をオンエアしたところで広告代理店が倒産したため、放送中断となってしまった不幸な作品。フィルムとしては8話まで完成していて、これは地方局ではオンエアされました。
■キャスト
ドン・ドラキュラ伯爵:内海賢二
チョコラ:島津冴子
リップ・ヴァン・ヘルシング教授:滝口順平
イゴール:大山高男 ブロンダ:片山富枝
■スタッフ
原作:手塚治虫 製作:池田公雄
企画:手塚プロダクション、三京企画
構成、脚本:小山高男
チーフディレクター:落合正宗
演出:野村和史、二階堂敏行、平林淳、笠井達也
作画監督:内山まさゆき
美術監督:下川忠海
音響監督:鳥海俊材
プロデューサー:鳥海俊材、丹羽純一、由井正俊
なぜだか理由は分からないけれど、ルーマニアから日本に移り住むことになってしまった吸血鬼のドン・ドラキュラ伯爵と愛娘チョコラのドンドラ親子。ふたりは東京の辺境、練馬の地で平和に暮らしていた。ところが、オランダから吸血鬼退治の専門家ヘルシングがドラキュラ伯爵を追ってやってきた。
ルーマニアとはまったく違う日本の文化にはドンドラ伯爵はついて行けない。それでも娘のチョコラは退屈なルーマニアのお城生活よりもずっと楽しそうだ。今日もディスコへ遊びに行くというチョコラを心配して、ドンドラ伯爵も街に出た。そこでふたりは『日本吸血鬼友の会』と知り合うのだが・・・。
真夜中にドンドラ邸へと届けられた小包には、とんでもなく不細工な顔の男を描いた肖像画が入っていた。一度は壁にかけてみたものの、見ているだけでゲンナリしてしまい、外そうとする。が、額はもう外れない。外れないどころかその絵の中から抜け出した肖像画の男は、チョコラの部屋へと忍び込んで行く。
海辺を散歩していたチョコラとボーイフレンドのノブヒコは『吸血鬼撲滅研究所』と看板の出ている建物を発見する。いったい何をやっているところだろうと興味を持ったチョコラとドンドラ伯は建物の中へ潜入してみた。すると二人の前にビニールで出来た女たちが現われる。さて、彼女たちの正体は?
チョコラの通う学校の試験の日が近づいてきた。チョコラは猛勉強しようとするのだが、ドンドラ伯は夜毎に馬鹿げた大騒ぎをはじめてしまうので、ちっとも勉強が手につかない。チョコラに叱られたドンドラ伯は、娘の手助けになればとカンニング鉛筆を作って、そっとチョコラの鞄の中に忍ばせるのだが・・・。
チョコラの学校のSF研究会の部室が物置にされてしまうことになった。で、部室のなくなってしまった彼らは、新しい部室を探し、ようやく昔進学塾だった家を見つけて、そこを借りることにする。ところがその家は悪魔の住む家だった。次々に起こるポルターガイスト現象に悩む彼らを救うため。ドンドラ伯が調査に乗り出す。
夜道に美少女が倒れていた。ドンドラ伯に生き血を吸われたのだ。しかしこの日本でドラキュラに襲われたなんて誰も思わないから、彼女を発見した住民たちは、首筋に残る牙の跡を見て、動物に襲われたのだと誤解した。近くに輸送中に逃げ出した虎とパンダがうろついているとの情報もある。虎が人を襲ったのだ。人間たちはそう思った。パンダを捕獲し、虎を射殺しろ。そんな人間たちに対し、2匹と友達になったチョコラは怒る。何故、2匹をともに助けないのか、と。
ドンドラ伯は血に飢えていた。もう何日も美女の鮮血を口にしていない。このままでは飢え死にしてしまう。ようやくみつけた美女の寝室に入り込み、首筋に牙を立てようとしたら、彼女は夕食にニンニクたっぷりの料理を食べていた。こりゃたまらんと逃げ出したドンドラ伯は、ひもじさのあまりに倒れてしまう。かけつけた救急車には赤い十字架のマーク! この国はドラキュラが生きるのには厳し過ぎる環境のようだ…。